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TS魔女さんはだらけたい  作者: 相原涼示
133/211

閑話 風雲! 女神城!~参~

アリサ「情報に疎くてごめんΣ(>Д<) みんな地震は大丈夫だったかな?(; ・`д・´)」

アイギス「私達は応援する事しかできませんが、どうか頑張って頂きたい!(`□´)」

ドガ「安否を祈りつつ三日目じゃ( ´ー`) 少しでも元気をお裾分けするゾイ!( ´∀`)」

ゼルワ「皆、頑張ってくれよな!Σb( `・ω・´)」

サーサ「これを読んで、少しでもみなさんが笑顔になってくれれば幸いですヽ(*´∀`)ノ」

レイリーア「さあ行きましょう!(*´∇`*)」

アリサ「うん!o(*⌒―⌒*)o 『風雲! 女神城!』の続きだよ♪( ゜∀゜)」

アイギス「どうぞお楽しみ下さい♪(*´・∀・)つ」

────────────────────────────

【守り切れ】~城壁の戦い~

────────────────────────────


ポポポーンッ!! ポンポンッ! ポポンッ!!

ヒュヒュヒュンッ!! バシバシバシィッ!! もにーん!


「こ、これはぁぁっ!? これは凄まじい攻防だぁぁーっ! 聞こえてくる効果音はとっても可愛らしいもののおぉぉーっ! 向かい合う『聖獣』と勇士達のその姿はまるで神話の一場面の如しぃぃーっ!!」


ウオオォォーッ!! 第一関門からこんな熱い展開を観れるなんて思わなかったぜぇーっ!


 うん。飛び交う銃弾に振り回される剣と盾! 城壁の上で繰り広げられる戦いを見ればとても殺伐としているように見えるね。しかし、銃弾は『弾性空気弾(もちもちエアもっちー)』だし、みんなが振るう剣と盾はそれを弾くために使われているのであって、実は結構平和な遊びである。

 あい、みなさんこんにちは♪ アリサです! 『風雲! 女神城!』の第一関門。『城壁』で繰り広げられる、挑戦者達と、それを迎え撃つ『ガルーダナンバーズ』との攻防が始まったところだよ!


「ふっ、いくら撃とうと無駄だ!」

「アタイ達は『セリアベール』でその弾の対応ってのは身に付けてんだぜ! オラァッ! お返しだ吹っ飛びな!」


 バシバシと取り囲むグリフォン達が持つ『エアもっちカノン』から撃ち出される『弾性空気弾(もちもちエアもっちー)』を悉く弾き飛ばすバルドくん。それに負けじと続くセラちゃんは迫る弾を打ち返し……


もにぃぃーんっ!! グワーワッ!!?


 逆に撃ってきたグリフォンの一羽にぶち当てて吹っ飛ばす! カウンターを食らったそのグリフォンは情けない叫びをあげてヒューンッ! と吹っ飛んで行き、ボチャァァァーンッ!! と派手な水柱を立てて泉に落ちていったのだ!


「よっしゃぁーっ! 俺達が一番乗りだぜぇぇーっ!!」

「やったぁ! えへへ、守ってくれてありがとうブレイド!」

「助かったわ! デュアードありがとう。みんなも!」

「クリアァァーッ!! クリアだ『黒狼』ぉぉーっ! 第一関門『城壁』を真っ先に攻略したのは『黒狼』達だぁーっ!!」


ウオオォォーッ!! おめでとうーっ!!


 そんな快進撃を見せた『黒狼』が見事一番乗りでゴールにたどり着きクリア! メンバー全員でその喜びを分かち合っているぞ! うんうんお見事! ミストちゃんにシェリー、ミュンルーカと魔法が使えない子達を守りきったみんなは偉いね! イェーイ! ってピースするブレイドくんにミストちゃんが、ふぅ、って息をつくデュアードくんにシェリーがお礼してる姿は、仲間同士、結束の固さがよくわかるよ。


「ふははは! なんだこれ面白いな! そーら、お前も受けてみろフェニックス!」

《なんと!? まさか正面から受け止めるとは! 流石は『黒竜』で、にゅわぁぁ~んっ!?》


ビュオオォォンッ!! もっにいぃぃーんっ!!


《レイミーアぁぁーっ!!?》


 おっと、こっちでも状況が動いたみたいだ。


「うおぉぉーっ!? これは凄い! 放たれた弾をがっしりとキャッチしたゆかり様がレイミーアに投げ返すと言う荒業ぁぁーっ!!」

「わぁーっ! 凄いゆかりちゃん!」「おーおー、レイミーアが彼方に吹っ飛んじゃった!」


 なんとゆかりがドッジボールの如くレイミーアの撃った弾をガシィッ! って、正面からキャッチして投げ返したのだ! 思わぬ反撃に回避が遅れたレイミーアは先のグリフォン同様に吹っ飛んで行き、ドボォォーンした。これにはユニも私もビックリだ! 叫ぶゼーロの焦った顔がまた面白いね♪


「よしゃぁぁーっ! ゴールでっすよぉぉーっ! マスター待っててくだぁさいねぇ~♪ 必ずこのアリスちゃんがお救いしまっすからぁ~♪」


わぁぁーっ! パチパチパチーっ!!


「お見事ぉぉーっ! 猛攻を潜り抜け、二番手にクリアしたのはアリス組だぁぁーっ!! おめでとうーっ!!」


 これで二組目もクリア。あんまり目立たなかったけど、アリスもカインも上手く弾を逸らして、シェラザードとリールとフォーネに当たらないように守り通した!


「うおぉぉーっ! 走れ走れ走れぇぇぃっ!! おらぁっ! 根性見せろエミル!!」

「ぬあぁぁーっ! こ、こんな全力疾走『誉』時代以来ですよぉぉーっ!!」

「せいっ! ふんっ! 御安心召されぃ! お二人の背中はこのビットが守り通してご覧にいれます! 迷わず駆けませぃっ! そうりゃぁっ!!」


ドドドドォーッ!!


「うおっっと!? 凄い勢いで走るのはゼオンとエミルゥーッ! 二人共に必死の形相だぁぁーっ! そしてその後ろを守るのは聖騎士ビットぉぉーっ! 敵陣の真っ只中をゴール目指して駆け抜けていくぞぉぉーっ!?」


────────────────────────────

【主神様の】~八つ当たり~

────────────────────────────


 バシィッバシィッ! と迫る弾を弾き飛ばしながら猛進してくるのはゼオンとエミルくん、そしてビットの三人だ。囲むグリフォン達の包囲網を抜け出すには立ち止まってなどいられないって判断したんだろう。一直線にゴール目指して突っ走っている! どうやら先頭のゼオンと殿のビットが弾を弾いて中央のエミルくんを守る形のようだ。


《これ以上やらせません! レイヴン小隊撃ちー方! 始めぇっ!!》

「「「ぐわーぐわーぐわっ!!」」」


ポポポーンッ!!


 しかしそこに待ち構えていたのがレイヴン小隊! 縦に延びる三人の横っ腹に『エアもっちカノン』が火を吹いた!


「ああっあぶなぁぁーぃぃっ!! 直撃するぞこれはぁぁーっ!!?」

「う、うわあぁぁーっ!!?」


 ワアアァァーッ! って観衆の叫びとエミルくんの叫びがハモる! レイヴン達の見越し射撃は正確で、的確に三人の直撃コースを『弾性空気弾(もちもちエアもっちー)』に辿らせる! ゼオンとビットはともかく、エミルくんは対応する術がない! ここで初の脱落者か!?


もににぃぃーんっ!!


ええぇぇーっ!? なんだそりゃあぁーっ!?


「ははは! 持っといてよかったぜ、サンキュー『あるちぃ』!!」

「んなぁぁーんとぉっ! これはなんという皮肉っっ! ゼオンを守るために遣わされた『自律人形(オートマタ)』! アルティレーネ様を模したその人形がゼオン達を守ったぞぉぉーっ!!」

「ちょっとアルティ!! あんたこっち来なさい! お説教よ!?」

「そ、そんな!? イヤですよ! 今のは不可抗力です!」


 あはは♪ 『あるちぃ』がゼオンのピンチって判断して『神の護り手(イージス)』を発動させて弾を防いじゃった! こうなるともうゼオン達はこの場において無敵だ。『エもっちカノン』じゃ手出しできないからね。この事態にお怒りなのがティリア。ようやく取ったと思ったところをまさかアルティレーネを模した『あるちぃ』に止められたもんだから、八つ当たりしているぞ?


「ゴォォールゥーッ! ゼオン、エミル、ビットの三人! 余裕のクリアぁーっ!」

「ははは……た、助かりましたよ~はぁ……」

「わはは! 『あるちぃ』の使用不可なんてルールはなかったよなぁ? 女神様方!?」

「流石は陛下! 土壇場での見事な機転、お見事でした!」


ワアアァァーッ!! やるじゃねぇかゼオンーっ! 見直したぞぉーっ!?


「うぐぐ……観客達めぇ~一緒になってはしゃいでからにぃーっ!?」

「お、お遊びってわかっていてもハラハラしちゃいました!」

「面白いのです! 面白いのですーっ! ポコも参加したいのですよ!!」

「見てて凄く楽しいわねこれ! しかもまだ始まったばかりよ! あーワクワクするぅ~♪」


 思わぬ展開に観客も一緒に盛り上がり、ここまでを観ていたアルナにポコ、ヴィクトリアもワイのワイのと楽しそうだ。


「ちょっと! まだ一人も脱落者出てないじゃん!?」

「ゼーロ! しっかりして!」


 一方で未だに誰一人として落とせていないことに悔しがるのが妹達。ティリアははしゃぐゼオン達と観衆を恨めしそうに見て、フォレアルーネは焦ったように叫びだし、レウィリリーネがゼーロを叱る。アルティレーネはティリアのお説教を回避するため、口を接ぐんで大人しくしてるね。


「ゴォォールゥゥッ!! 作戦失敗の汚名を返上するかのごとく、獅子奮迅たる働きを見せた『帝国三人衆』! 主のルヴィアスを守り通して今クリアだぁぁーっ!!」

「イェーイ♪ ティリア見てるぅ~? ほらほら~その悔しがってるご尊顔を観衆にも見せてあげなよぉ~?」


 おっと、妹達の方に目をやっている間にルヴィアス達『帝国組』がゴールしたようだ。あのアホぽん、ここぞとばかりにティリアを煽ってる……この先どうなっても知らないよ~?


「うるさいわよこのアホぽん! そうやってヘラヘラしてられるのも今のうちだかんね!? 『ガルーダナンバーズ』! 残る連中を叩き落としなさい!」

《承知した主神様!! 往くぞ『ガルーダナンバーズ』! 全霊を持って残りの挑戦者達を打ち倒す! いいか、これ以上ゴールさせるなぁっ!!》

「グワーワッ!」「グワグワーッ!!」「グワッ!?」


ポポポポーンッ!! もにぃぃーんっ!!


「グワワーッ!?」

「えっ!?」《何だと!?》


 んんっ!? 何が起きたの今!? ティリアの檄を受けたゼーロが気合いを入れて、残った挑戦者達に向かう、正にその瞬間、ゼーロのお伴のグリフォンが一羽吹っ飛ばされた!!


────────────────────────────

【そんな!】~まさか!?~

────────────────────────────


「そうはさせません! さぁ、参りましょうエスペルさん、翼さん、ユナイトさん! 私の息子アイギス達と協力し、大手を振ってゴールをくぐろうではありませんか!?」


えぇぇーっ!? セレスティーナぁぁーっ!?


「こ、これはっ! 寝返りだぁぁーっ!! おおっ! なんということだ!? まさかエスペルだけでなく翼とユナイトまでもセレスティーナに寝返り、グリフォンを吹っ飛ばしたぞぉぉーっ!?」

《馬鹿なっ!? 貴様達どういうつもりだ!?》

「そ、そうよ!! あんた達何裏切ってんのよ!?」


 これにはアリサさんもびっくりこいた! 『猫兎(キャットラビット)』達と、ガルディング様、セレスティーナ様を襲撃したはずのエスペル、翼、ユナイトの三体が何故かセレスティーナ様の指揮の下、ゼーロの配下のグリフォンを吹っ飛ばしたじゃないか! ゼーロもティリアも、いや……観衆達も、残った『白銀』達まで驚愕を隠せずにいる!


(いやぁ~ゼーロさん。ごはんくれる人に銃口は向けられませんよぉ~?)

《ははは! 悪いなゼーロ、女神様達! 俺っちはやっぱアリサ様につくわ!》

「ふっ、そう言うことだ。このお二人はアイギス殿の両親。そしてアリサ様もまた特別に慕っておられる御夫婦故な!」


 あー、そういやちょっと前にセレスティーナ様に頼まれて、エスペル含むモコプー達のごはん係りを代わったっけ。何でも、モコモコでもっふもふのモコプー達と仲良くなりたくて仕方ないセレスティーナ様が考えたのが、毎日のごはん係りだったのよね。その甲斐もあってか、今じゃモコプー達はセレスティーナ様と仲良しこよしなのよね♪


「な、なんですって!? セレスティーナ! あんたの仕業!?」

「あら、いやですわティリア様。私はちょっと説得させて頂いただけですわ。エスペルちゃんにはごはんと愛でる事を条件に、翼さんにはどちらに付けばより面白いのか、ユナイト殿には騎士のありかたについて……」


 すっご……この局面で相手を説得して味方につけたってこと!?


「おぉぉーっ! 恐るべしぃーっ! 恐るべしだセレスティーナぁぁーっ! 流石は公爵夫人! 人心掌握もお手のものかぁぁーっ!!?」


うおおぉぉーっ!? マジかよぉぉーっ!? 直ぐ落とされると思ったのに! とんだダークホースだぜぇぇーっ!!


 わぁぁーっ! って、まさかの展開に会場も大いに盛り上がる! いや、マジにセレスティーナ様がここまでの遣り手だとは思わなかったよ! 流石はアイギスのお母様だ!


「相変わらずだなぁ~セレス様♪」

「うむ。昔からその者が何を欲しているかを見抜く、その眼力には幾度も助けられたものよ」

「マジ? ちょっとアイギス! あんたのお母さんって凄いのね!?」


 そして合流する残りの挑戦者達、『白銀』と『猫兎(キャットラビット)』、ラグナースにガルディング様とセレスティーナ様だ。レジーナ達は元々セレスティーナ様に雇われて、『ランバード家』のお抱え冒険者だった事もあり、彼女の有能さは知っていたんだろう。ガルディング様も領地の経営とかやってくなかで協力してもらったりしてたのかな?


「ああ、母上は幼い頃より数々の勉学にいそしんだ才女だったそうだ。それは『ランバード』に嫁いだことで更に磨きがかかり、『ランバードの真の支配者』なんて囁かれたりもしていたんだ」

「へぇーっ! そりゃスゲェ! 俺も様付けして呼ぼうっと……」

「うふふ、素敵ですね! 夫を影で支える素晴らしい奥様じゃないですか♪ 私もそうありたいです!」

「僕も凄く勉強になったよ。「その人が何を求めているか」これを見抜けるようになれれば、商いも捗る。『聖域』にいる間だけでも色々と教えてもらいたいな!」

「ほっほっほ! こりゃもう勝ったも同然じゃな!」


 そんな説明を聞いたレイリーアがセレスティーナ様を凄いと称えれば、アイギスはちょっとした昔話を聞かせてくれた。いや、『真の支配者』て……いやぁ~凄いわぁ、ゼルワもサーサも感心しまくり、ラグナースに至っては弟子入り志願だ。そして、ドガの言葉に呆けていたゼーロと妹達が我にかえった!


「くぅーっ! やってくれたじゃんセレスっち! こうなりゃゼーロ!」

「誰か一人でも脱落させるのです!」

「ん! 『ガルーダナンバーズ』の総大将としての意地と誇りを見せて!」


 気付けば周りのグリフォン達にレイヴンまでもがエスペル、翼、ユナイトの裏切りによる不意を突いた射撃により落とされ、残る『ガルーダナンバーズ』はゼーロのみになっていた! 完全に形勢逆転されたこの状況でどう動く? 妹達が言うように意地を見せるのか?


────────────────────────────

【意地と誇りをかけて】~ゼーロ! 執念の一撃~

────────────────────────────


《よかろう!! ならば我を越え見事ゴールして見せよ! このゼーロ! 最後の一兵となれど退かぬ!!》


ポポポポーンッ!!


「おぉぉーっ!! 見事な覚悟だゼーロぉぉーっ! 全員刮目せよぉーっ! かの誇り高き『ガルーダナンバーズ』総大将の勇姿をその眼に焼き付けろぉぉーっ!」


ワァァァーッ!! 頑張れ頑張れゼーロぉぉーっ!


 ……うん。水差す事になるから口には出さないけどさ、よくもまぁお遊びにここまでガチになれるもんだわね? まるで決死の戦いに挑むかのようなゼーロに観衆の応援が止まらないよ。


「来るよみんな! 油断しないでゴールまで駆けよう!」

「了解よミミ! ダーリン遅れないでね!」

「ゼーロさんの凄い気迫を感じる! 皆さん気を付けて!」


 ダッ!! っと、一斉に駆け出す挑戦者達、しかしゼーロが物凄い速度でゴールを塞ごうとする! だがそれを読んでいたのがユナイトだ! 既にゴールに向けて『弾性空気弾(もちもちエアもっちー)』を打ち出していた。たまらずゼーロは急停止からの垂直に急上昇し被弾を避ける! すっご! あんな速度であんな動きやったら身体壊れるよ普通?


《くっ! おのれユナイト! やってくれたな!? このまま終わると思うな!?》


ポンポポポーンッ!!


《不味い! 直上から撃たれてるぞ! エスペル急げ! 俺っち達で盾になるんだ!!》

(おー! セレスティーナさん(ごはん係り)はワタシが守りますよぉ~?)


もももっにぃぃーん☆


《おわぁぁーっ! スゲェ吹っ飛ぶなこれーっ! わはは面白ぇぇーっ!》

(わぁ~♪ ワタシの巨体も飛んできまーす! お役目は果たしましたよぉぉ~?)


 いやいやちょっとゼーロのマニューバどうなってんのよ? 水平から直角に上昇するあれをマニューバと呼んでいいかわからんけど、そこから更に射撃までかまして、しかも狙いが正確っていう化け物っぷりだ。駆ける挑戦者達の斜めから迫るその弾を咄嗟に翼とエスペルが割って入り、代わりにもにーんって吹っ飛ばされていったよ? 笑いながらすっ飛んで行くその様は中々にシュールだった。


「ゼーロ殿! これ以上はやらせぬ!」

「おぉーっと! ユナイトがゼーロの背後を取ったぁーっ!! 絶好の射撃位置だぁーっ!」

《ユナイトか!? ふんっ! 舐めてくれるな!》


ポポポーンッ!! ブワアァーッグルリーンッ!


 うおぉっ!? あれは『聖域』で空戦ごっこやってる時に私が見せた……


「アリサ様のバレルロールからの失速反転急降下! 馬鹿な! ゼーロ殿いつの間にモノにしたのだ!?」


うわあぁぁーっ!! すげぇーっ! なんだ今の動きぃーっ!?


 うむ! 一体いつの間に覚えたのよゼーロ? あれは結構難しいんだぞ? っと、それよりだ!


「ああっ! ゼーロちゃんがみんなの後ろに! 大変だよ撃たれちゃう!!」


 ユニが叫ぶのと同時、ユナイトを上空に置き去りに急降下したゼーロが狙うのは、ゴール目指して走る挑戦者達の真後ろだ! 挑戦者達は走るペースを上げるもののっ!!


《とった! 食らえぃーっ!!》


ポポーンッ!!


 撃たれた! 駄目だこれは流石に避けられない!!


もにぃぃーんっ!!


「ぬわあぁぁーっ!!?」


ドガぁぁーっ!!


「吹っ飛ばされたぁぁーっ!! なんということだぁぁーっ!? ゼーロの誇りと意地を掛けた執念の一撃にドガが!! またしてもドガが吹っ飛んだぁぁーっ!!」

《フハハ! どうだ!? 我が意地と誇りを示したぞ女神達!》

「「ゴールでぇぇーす♪」」


────────────────────────────

【飛び入り参加!?】~見てるだけじゃ我慢できない!~

────────────────────────────


え?


《な、何……?》


 は? え、なに? どういうこと、どういうこと? なんかゴールにいるうっふぅん♥️ なポーズしてる水着姿のアルセイデス二人が楽しそうに声をハモらせて妙なこと言い出した。


「ですからぁ~♪ うふん♥️ ドガちゃんゴールでぇす♪ おめでとうございまぁす☆」

「ゼーロさんに吹っ飛ばされた時~このゴールを潜ったんですよぉん? あはん♥️」


なんだそりゃあぁぁーっ!!?


「はいはーい♪ 皆さんもゴールでぇす♪」

「おめでとうございまぁす! 御褒美に投げキッスなんて如何~♥️」

「あ、いや……遠慮しておきます。はい……」


 あ、アハハ……これはなんて言うか……元気出せぇ~ゼーロ。

 《そんな馬鹿な》とか言ってガックリするゼーロに、「なんかごめん」って言わんばかりの眼差しが挑戦者達から注がれる。

 ドガは挑戦者達の最後尾についていた。そして、ユナイトを振り切ったゼーロがその後方から射撃したのだが、当然挑戦者達が目指していたゴールはその先の直線上にあったため、ゼーロの射撃を背中で受けたドガはそのまま真っ直ぐに吹っ飛び、前を行く他の挑戦者達の頭を飛び越えて、ゴールを潜り抜け遥かその先まで飛んでったわけだ。


「終了おぉぉーっ!! 第一関門終了おおぉぉーっ!! おお! なんというミラクルだぁぁーっ!? 挑戦者の誰一人として脱落することなく全員が突破ぁぁーっ!!」


ワアァァァーッッ!! すげぇすげぇーっ!! こいつはこの先どうなっちまうんだぁぁーっ!?


「それではここまでのご感想を来賓の女神様達にお伺いしちゃうぜぇぇーっ! 先ずはアルナ様ぁぁーっ! よろしくおなしゃぁぁーすっ!!」

「ふぇっ!? わ、私ですか!?」


 いや、もう司会のエルフの「勢いとノリで進めちまおう」感がひしひしと伝わってくるね。結構強引に第一関門の終了を伝えて、感想をアルナ達にお願いしてるあたり、彼もこの結果を実況し続けるのが苦しいんだろう。


「えぇっと……終始ハラハラとドキドキ。そして沢山ワクワクさせてもらいながら観戦させて頂きました。挑戦者の皆さんの協力し合う姿勢、知恵に技術の素晴らしさに感銘を受けましたし、ゼーロさんの意地と誇りを掛けた最後の攻防は特に忘れられそうにありません! この先の関門も見逃すことなく拝見しますね♪」


ワアァァーッ! ありがとうアルナ様ぁぁーっ! 可愛いーっ!


「あっざぁぁーっす! 流石はアリサ様の娘さんだぁぁーっ! 拝聴していた我々も胸が熱くなる感想に感謝ぁぁーっ!! 続いてぇ~ポコ様ぁぁーっ! おなしゃぁぁーすっ!」


 パチパチパチパチ!! 素敵! 素晴らしい感想だったよアルナ! あぁ~もうめっちゃ自慢したい! 「この子私の娘なんですー!」って、周りに言い回りたい!


「ふふ♪ アルナちゃんとってもいい笑顔♪ ホントに楽しかったんだろうね?」

「うん! ユニに負けないくらいいい笑顔だよ! ユニもアルナのこと、「自慢の妹だー」って言っていいよ!」


 アハハ♪ って、私とユニは笑い合う。さぁ、次はポコの番だ。あの子はこの催しをどう感じたんだろうね?


「ポコは~ポコは~!! もーう我慢できないのですぅ~! なんですかなんですか!? こーんな楽しそうなゲームを黙って見てろなんてもう無理なのですーっ! さぁさぁさぁーっ! 今すぐポコも交ぜるのです! でないとティリア達の恥ずかしいあれこれ! ないことないことを如何にもあったことのよーに言いふらしちゃうのですよ!?」


うおおぉっ!? まさかの参加表明!?


「ちょっ!? ポコぽんやめてよぉ!?」

「さ、参加を認めますから! 変な事言っちゃ駄目ですよ!?」

「なんとぉーっ!? ここで飛び入り挑戦者の参加が認められたぞぉーっ!? 『幼女神』ポコ急遽参戦決定ぃぃーっ!!」


わあぁぁぁーっ!! こりゃ応援するっきゃねぇぜーっ! ポコ様可愛いーっ! 頑張ってぇーっ!!


 あらら! うふふーん♥️ ポコってばそんなに楽しそうって思ってくれたんだ? こりゃ妹達も嬉しいんじゃないの~? 口では困ったような事言っても表情にやけてるし♪ 勿論お母さんもそんな元気なポコが大好きだけどね♪


「アリサおねぇちゃん。なんでアルセイデス達のポーズ真似してるの?」

「……ユニちゃんや。チミは時々容赦ないね? オホン! ちょっとあの格好したアルセイデスを見て、アイギスが鼻の下伸ばしてるように見えたもんだから、私も対抗して悩殺ポーズを……って! 言わせないでよ!?」


 わーわーと沸き立つ会場に、ポコが来賓席から挑戦者達の輪に入って行けば、みんな笑顔で彼女を歓迎して更に盛り上がる。さぁ、次はヴィクトリアの感想を聞く番だね。


────────────────────────────

【悪役は楽しい♪】~でもオヤツ抜きはイヤ!~

────────────────────────────


「ポコ様も次の関門から挑戦者だぁーっ! 是非頑張ってもらいたいぃーっ!! さぁーっ! 盛り上がってきたところでぇぇーっ! ヴィクトリア様ーっ! おなしゃぁぁーすっ!!」

「最高ね♪ これだから『下界』は面白いのよ! 『神界』じゃこんなお祭り騒ぎなんて絶対と言っていいほど見られないわ! 続く関門も楽しみしてるわね? みんな頑張って! 応援しているわ!」


 ほほう? 『神界』にはこういったお祭りってないのか? そりゃ退屈そうだね。


「あざぁーっしたぁぁ! 以上! お客様からのありがたぁぁーいお言葉でしたぁーっ! 全員盛大な拍手をお贈りくださぁぁーいっ!!」


ワァァァーッ!! パチパチパチパチパチパチィーッ!!!


「何よ~ヴィクトリア? ちょっと無難過ぎるんじゃないの?」

「あら、いいじゃない? 事実だし本当に思った事を言っただけよ?」

「ヘヘっ! 楽しんでもらえてるようで嬉しいようちは♪ でもまさか全員生き残るなんて思わなかったね?」


 観衆達の拍手に笑顔で手を振って応えるヴィクトリアに、ティリアがニヤニヤと近寄って話しかけている。確かに無難な感想だったけど、面白いって思ってもらえて良かったじゃん? そして第一関門を全員がクリアしたことにはフォレアルーネも予想外だったようだ。


「ん。問題ない。次の『運命の扉』で篩い落とすだけ」

「うふふ、そうですね。誰かを選別して。とまでは出来ませんが、私達の城を攻略出来る人数は限らせて頂きますから……」

「フフフ、そう言うことよ。今のうちに一時の喜びを噛み締めておくがいいわ。挑戦者達よ」


 うわぁ~めっちゃ悪役してるなぁ~? この妹達ってばホントにノリがいいんだから。


「もう、貴女達。すっかり悪役にはまって……どうしてそんなに楽しそうにしてるんですか?」

「あっはっは! そりゃ楽しいからだよアルナっち!」

「ふふふ、豪奢なソファーに腰かけて猫を撫でる。あら? 飲み物が足りないわねぇ?」

「うなぁ~ん♪」


 あ、ミーナは妹達のとこにいたのね? ティリアの膝の上で丸くなって欠伸してる。


「そして迫る挑戦者達を高見から見下ろすのですね、ティリア姉様? 足りないのでしたら持ってきて頂きましょう。捕らえたお姫様に、ね?」


パチンッ☆


「あーアリサ様、ユニ様? 聞こえますでしょうか? ムラーヴェです。女神様方からオーダー入りました~何かお飲み物を人数分お持ちくださーい!」


 おいぃ? アルティレーネが指パッチンしたらムラーヴェがモニターに映し出されて注文お願いしますとか来たんですけど? ってか、あんた姿見えないと思ったらそんな執事服着てなにしてんのよ? それは爽矢に着せなさいよ! 絶対似合うから!


「あはは! なんだか女神様達もノリノリだねぇ~? えっと、イチゴ牛乳でいいかな? 持っていこうアリサおねぇちゃん♪」

「あいあい。まったくしょうがないんだから……いっぱい用意したし、使用人さんと、妖精さん達にも手伝ってもらって会場のみんなにも配ってもらおうね? あ、お代わりも受け付けるから安心してね?」

「畏まりました! おいガウスーっ!?」


 モニターのムラーヴェにそう伝えると、彼は頷いてガウスに声をかける。この二人も挑戦者側に立つのかと思ったけど、妹達の小間使いみたいな事してたのね? 他にも姿が見えない連中はみんな仕掛人になってるのかな? まぁ、取り敢えず飲み物とかお菓子とかいっぱい持っていってやろうかな? アリアも私のオプションと交替させて一休みしてもらおう。


「お待たせ~色々と持ってきたわよ、このおふざけに全力な妹達めが~?」

「待ってました! ありがとう~アリサ姉さん♪ って、違う違う! テイクつぅ~!

 ふふ、待っていたぞ姫達よ? さぁ、この杯に注げ。偉大なる主神の私に供物を捧げよ」


 ……なに言ってんだコイツ? 何がテイクつぅよ? あんまり構うと調子に乗るから無視して、みんなに配ろう。


「はい、ガウス、ムラーヴェ。イチゴ牛乳入った瓶ね。アルナ達に注いであげて? ユニはクッキーとか小さいお菓子をお願い、アルナとヴィクトリアにはケーキ焼いて来たわ」


 妹達とアルナ達来賓がいるのは、「引きこもりハウス」の屋根の上だ。屋上なんて作ってなかったのに、妹達が勝手に増設して、なんとも豪華な席になっている。ふっかふかのソファーに、買ったら高そうな高級なテーブル。前方の屋根は長い軒のようなひさしのような判断つけづらい物になっており、中空にでかでかとモニターが浮かんでいて各ステージの様子が観れるようになっている。


「あ、あのぅ~アリサ姫、ユニ姫? 私達も頂戴したいのですがぁ~?」

「だまらっしゃい。あんた達これ終わったらちゃんと屋敷を元に戻しなさいよ? ミーナおいで? チーズあげるから」

「にゃにゃ~ん!」

「あ、あのねアリサ姫~今もこれ映されてるから、その~」

「あ、そうなの? 丁度いいや、あんた達~お昼何食べたい? はしゃぐのはいいけど、問題起こしちゃ駄目よ~?」


 アルティレーネ食べたいの? ふーん……どうしようかしら、人ん家を勝手に改造しおるような悪い子だもんねぇあんた達は? 取り敢えずミーナにチーズあげて回収しときましょうね。んで何よフォレアルーネ? 撮影中? んじゃみんなにお昼はなに食べたいか聞いておこう、ついでに注意もしないと、羽目外す輩が出るかもだし。


トンカツーっ! コロッケぇーっ! ピザぁーっ! カプレーゼぇーっ! ケーキぃーっ!


「これは嬉ぃぃーっ! なんとアリサ姫が昼食をご用意くださるぞぉぉーっ!! いいかみんなぁーっ! 節度をもって騒ぐんだぁぁーっ!!」


イエェアアァァーッ!!


「ああ……あたし達の悪役ムーヴが……」

「美味しい~♪ あはは、まぁそんなに落ち込まないでレウィリリーネ? アリサさんだってそんなに怒ってないわよ?」

「アルナ様。どうぞイチゴ牛乳でございます。ふふ、楽しまれておいでのようで何よりですな?」

「ありがとうムラーヴェさん。はい、とても楽しい催しですね♪」

「どうぞケーキもご賞味ください。アリサ様がお作りになられたケーキは何度食べても飽きませんからな?」


 もーレウィリリーネまで落ち込んで、そんなに悪役がたのしいのんか? ヴィクトリアの言うように大して怒ってなんていないけどさ、甘い顔ばっかしてちゃ駄目なの!

 ムラーヴェとガウスはアルナにイチゴ牛乳やケーキを差し出し、甘やかしている。うむ、もっともっと甘やかしなさいね♪


「ユニ! ユニからもアリサ姉さんを説得して頂戴! 私達だけオヤツ抜きなんてあんまりよぉぉーっ!?」

「あはは、アリサおねぇちゃん~ティリア様もはんせーしてるみたいだし、お菓子あげてもいーい?」


 おぉ、ユニに泣きついてしまうとは情けない! しかも撮影されてるというのに……ティリア。あんたそこまでプライド捨てられるのは正直凄いって思うわ?


「はいはい。観衆の前でそこまで情けない姿見せるあんたの食い意地には恐れ入ったわよ……」

「わーい! ありがとぉぉ~アリサ姉さん!」

「すみませんアリサお姉さま。断りもなく「引きこもりハウス」を改造してしまって」

「ん。ごめん……終わったらちゃんと戻す」「ごめんなさーいアリサ姉ーっ!」


 ふふ、私こそちょっと意地悪だったね、ごめんね、可愛い妹達♪ なんだかんだと素直なごめんなさいもらったし、これ以上意地悪することないだろう。そしてちょっとみんなで談笑♪

 さぁ、次は第二関門だね。一体どうなることやら?

アルセイデスA「え?(´・ω・`; ) この水着を着て、傘を差して?(゜A゜;)」

アルセイデスB「あのゴールの両端に立って……( ´~`) 待ってればいいんですか?(,,・д・)」

フォレアルーネ「そうそう!(°▽°) そしてゴールした人達におめでとーって言ってあげるんだよ♪(*´艸`*)」

ティリア「まぁ、レースクイーンとかサーキットクイーンって呼ばれるお仕事ね(^_^;)」

アルティレーネ「お二人ともとても綺麗なスタイルですし、きっと似合うと思うんですよ♪(*`艸´)」

アルセイデスA「女神様にお褒め頂き光栄です!( 〃▽〃)」

アルセイデスB「勿論お引き受けします!ヽ(*´∀`)ノ♪」

ティリア「おぉ(゜Д゜;) 意外とノリノリじゃないの?(; ゜ ロ゜) 昨今じゃ「性差別だー!」とか言われたりするもんだけど( ̄▽ ̄;)」

フォレアルーネ「あー女を見せ物にすんなー的な?(・о・) そんなの人によんじゃないの~?┐(´д`)┌」

アルティレーネ「そうですね(_ _) 無理強いは論外ですが、あまり過敏に反応するのもよくありません、大切なのは当人の意思を尊重することです(゜ー゜*)」

アルセイデスA「私は全然オッケーですよ♪(ノ≧∀≦)ノ」

アルセイデスB「うふふ(*´艸`*) 私達の水着姿で場が少しでも盛り上がるなら嬉しいですもの!(*´▽`*)」

レウィリリーネ「むぅ、おのれ( ゜皿゜) たわわの持ち主の余裕か?(T^T) ガウスとムラーヴェにゲヘヘされてしまへ!ヾ(*`⌒´*)ノ」

フォレアルーネ「レウィリ姉~(;´∀`) ゲヘヘってなにさ?(*´艸`*)」

アルセイデス達「それもいいですねぇ~♪(*ノ▽ノ*)」

ティリア「えっ!?Σ(゜ロ゜;) あんた達まんざらでもないって感じ?(;゜0゜)」

アルセイデスA「え~♪(〃ω〃) だってあの二人面白いし~♪(*`艸´)」

アルセイデスB「結構紳士だし~(///∇///) 他の子に取られちゃう前に唾つけとくのもアリかなぁ~って、キャー(艸ε≦●)♪」

アルティレーネ「ほ、本当に結構な人気者だったんですねあの二人(゜∀゜;)」

レウィリリーネ「(  ̄- ̄)」

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