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TS魔女さんはだらけたい  作者: 相原涼示
115/211

閑話 メビウスの四季 冬~前編~

ユニ「はーいヽ( ・∀・)ノ みんな~おあよぉ~(・о・)」

アリア「えっと……(・д・`;) ユニークアクセス四万突破記念の小話、です(*´ω`)」

ゼオン「おお(^∇^) 閑話だな!ヽ(*´∀`*)ノ どんな内容なんだ嬢ちゃん達?(^ー^)」

ユニ「えへへ~♪(*´艸`*) メビウスでみんながどう過ごしてるか~ってのと~(°▽°)」

アリア「ん(^-^) 後、あるじ様が四季を作る(*´∇`)」

ゼオン「あ~あの時かぁ( ̄▽ ̄;) いやまさかあんな強烈な魔装具があるなんて思いもしなかったぜ( ゜∀゜)」

ユニ「あはは♪(*`▽´*) みーんな出てこれなくなってたもんね!(((*≧艸≦)ププッ」

アリア「(*´ω`)あのぬくもり……抗う方が難しい、ですよ♪(^-^)」

────────────────────────────

【そう言えば……】~季節がないよ~

────────────────────────────


ジャアァァーッゴボボボ……


「ふぅ~快調快調! ようっアリサの嬢ちゃん、コイツぁ最高だなぁ? どうにか『セリアベール』にも普及できねぇもんかね?」

「ああ、ゼオンおはよーさん。そんなにウォシュレットが気に入ったのかね? 広めたいってなら、上下水を今以上にしっかりしないと難しいわよ?」

「ちょっと……詳しく聞きてぇな、教えてくれるか?」


 あいよ~って、とある朝に朝一番をスッキリさせたゼオンの質問に答えながら、みなさんおはやうございます。今日はね、ちょいと『無限円環(メビウス)』内でのみんなの鍛練だの訓練とはまた別の、私生活なんかの部分を紹介していきたいなって思います♪

 『無限円環(メビウス)』は私の創り出した、プライベートな小世界。『ユーニサリア』における創造神が妹達なら、この『無限円環(メビウス)』の創造神は私ってことになる。といっても、『ユーニサリア』ほど広大じゃないし、精々が『聖域』のような孤島サイズだ。それでも、何から何まで私の自由にクラフトできる自由空間ともなれば、もう、そりゃ好き勝手させてもらっております♪


「はぁ~なるほどな、水に含まれる様々なもんがこのノズルを詰まらせちまうのか……んじゃ、それを取り除いてやれるような何かを付けてやらねぇと駄目なんだな?」

「そう言うこと。水分中に含まれるもんが悪さするからね、それをフィルターか何かで取ってやらないと」


 ゼオンに教えているのは私の前世であった、クリーンなトイレ、ウォシュレットだ。『ユーニサリア』のトイレ事情はお世辞にも綺麗とは言えない、ぼっとん便所。便はスライムやアメーバくん達が処理してくれるので大丈夫ではあるんだけど、その個室がね……正直汚い。


「この便座だけでも広めてぇな……腰掛けた状態で用を足せるのは楽だし、膝が痛くならねぇし……」


 ぷふっ♪ やだも~ゼオンってばオッサンくさいぞ! まぁ、私も前世でそんな経験あるからわかるけどね。


「一つ見本としてこのトイレあげるから、街で頑張って作って見るといいよ?」

「マジか!? ありがてぇ、感謝するぜ嬢ちゃん! やっぱ衛生面にも気使わねぇとなんねぇしな」

「ふふ、それでしたらお風呂についてもご相談させて頂きたいですね」


 私がこのウォシュレットをあげる~って言うと、ゼオンは嬉しそうに笑い感謝してきた。うむうむ、清潔を心掛ける事はとても大事なことだからね。そして、そんな私達に声を掛けてくるのはラグナースだ、彼もまた早起きさんだね。


「おはようございますアリサ様、ゼオンさん。僕が朝早いのは、店の開店準備で習慣がついているからですよ」

「おう、おはようラグナース! オメェも便所か?」

「ゼオン、ちょいとお下品……おはよラグナース。そういや『セリアベール』にはお風呂もあんまりないんだっけか?」


 声を掛けてきたラグナースに返事して笑顔を交わす、どうも彼としては街にあまり普及していないお風呂について考えているみたいだ。確かに『聖域』に『白銀』達がやって来たとき、サーサとレイリーアが「お風呂に入るのは貴族くらい」とか言う話を聞いたけども。


「この引きこもりハウスにはとても立派な浴場がありますよね? それだけじゃなくて、サウナやジェットバスなんかもあって魅力的ですよ」

「おー、ありゃ気持ちいいもんだよなぁ~♪ 体も綺麗に洗われて清潔になるし、なんか良く寝れるし、起きたら体軽い感じもするし、良いことづくめだぜ!」

「そうだね、あったかい湯に浸かることで体の血行が良くなったり、リラックスできたりするからね~私の前世じゃ『風呂は命の洗濯』なんて言われたりもしたんだよ?」


 まぁ、かの有名なアニメのセリフだけど、これって結構当たってるらしいし、あながち間違いじゃないよね。その話を聞いたゼオンとラグナースが『セリアベール』にも普及したいと、なんだかんだと話し合うのを話し半分に聞きつつ、私は露天風呂なんかも造りたいな~って考えてた。


「──風呂はいいよなぁ~♪ なんかよ、最近肌がツヤツヤしてきたように思うぜ?」

「セラは元々モチモチツヤツヤスベスベでしょう~? ハーフリングはいつまでも若くていいよねぇ」

「それは本当に羨ましく思うわ。でも……そうね、私も最近肌にハリが出てきたように思うわ」


 みんな集まっての朝ごはん。ゼオンとラグナースが早速とばかりにお風呂の話を持ち出したら、『黒狼』の女の子達、セラちゃん、ミュンルーカ、シェリーが反応してきた。


「それはお風呂効果だけじゃなくて、アリサ様がご用意下さったすきんけあ用品によるところもありますよね?」

「私も娘くらいの歳の頃からケアしていれば、このモチモチが今も続いたのかしら? ねーシャフィー?」

「お母さん! ごはん食べてるんだからむにむにしないで!」


 あはは♪ 確かにナターシャが言ったように乳液だの化粧水だのスキンケア用品を多数取り揃えて自由に使ってもらってるってのは大きいだろう、って、ファネルリアは娘のシャフィーちゃんのほっぺをむにむにするのは食べ終わってからにしてあげなよ? あーほら、怒られた。


「若いってだけでトゥルントゥルンの卵肌……あーイヤね、歳なんてとりたくないわぁ~」

「何にしたってお風呂とスキンケア用品の相乗効果よね? それに髪の手入れするにもやっぱりお風呂があるからじゃない?」


 朱美はどこぞのOLみたいな事言わないの。気持ちはわからんでもないけど……そいでもってレイリーアが発した意見には女性陣がこぞって頷く。うむ……みんな髪のお手入れもしっかりやるからより綺麗になったもんね~♪


「儂も風呂は好きじゃなぁ~あの温かい湯がまた沁み入るのが最高じゃぁ~♪」

「何より疲労が取れていくのが心地いいな」

「毎日頭洗うようになったから痒くならねぇし!」


 そして今度は男性陣だ。ドガは結構長湯するんだけど、今の発言通りじっくりと全身に沁み渡るように湯船に浸かっているんだろう。それにウンウン頷くのはバルドくん。わかるよ、お風呂に浸かってると疲れが溶けていくよね。そしてブレイドくんはちょくちょく頭をボリボリ掻く事があったけど、痒かったからか。クセなのかと思ったよ。でも、確かに最近掻かなくなったよね。

 他にも、汗を洗い流せるのが心地いいとか、折角体を綺麗にしたから、服装も清潔を心掛けるようになったとか、概ね好評の様子だね。


「そんなに好評なら露天風呂も頑張って創りましょうかね? あれはいいものよ~♪

 海辺を臨むオーシャンビュー、日の出日の入りなんかと一緒だと最高ね!

 山々を眺めるマウンテンビューもいいわ、特に花咲く春とか紅葉溢れる秋の絶景を肴に清酒を飲んだりしたらもうね? ドガや爽矢みたいなお酒好きは大満足しちゃうんじゃないかな?」

「なんという夢のような話じゃろうか!」

「うむ! 想像するだけで素晴らしいとわかるぞ!」


 露天風呂の魅力はなんと言っても溶け込んだ景色と一つになれるとこよね! 話を聞いていたドガと爽矢も目を閉じて想像を膨らませているみたいだ。うむうむ、更に付け加えるなら、夜中に満天の星空を拝みながらなんてのもいいし、頭に雪積もらせて仲良く浸かるおサルさん達を楽しむのもいい。


「……おう、しまった。私ってば季節を創ってなかったじゃんよ」


 そこまで話してようやく思い至った。この『無限円環(メビウス)』に季節を用意するのを忘れてたってことに。


────────────────────────────

【冬】~雪遊び~

────────────────────────────


「アリサ様。是非とも冬から……冬を始めにお願いします!」

「随分必死じゃないのリリカさん? 冬になんぞ拘りでもあるんかね?」


 ジトー……え? なんぞその「まったくもう! この人は!?」とでも言いたそうなジト目は?

 露天風呂の話の件で『無限円環(メビウス)』に四季を取り入れる事にした私は、早速その作業に取り掛かろうとしていたんだけど、シュタタタッ! ってリリカさんが走り寄ってきてそんなことを言い出したんだよね。何で冬なんだろ? 春から順に始めて桜や梅とか季節毎の色彩を創造していこうかなって思ったのに……


「お忘れですかアリサ様!? 私は『雪女(スノウリリィ)』なのでございます! 最近の穏やかな気候も勿論好きなのですが、やはり! 雪! 雪を囲い、雪に囲まれてこその私なのでございますぅぅーっ!!」

「……あ~、うん。そこまで強く懇願されちゃったなら仕方ないね。んじゃ冬からスタートさせるかぁ」

「はい! 冬を長めに夏を短くお願いします!」

「それはダメ」


 そんなぁ~!? とか言ってがっがりするリリカさんである。申し訳ないけどチミのアイデンティティーのために季節毎の長さを調整する事はできんのだよ。


「冬の過ごし方ならどんとこいです!」「僕達には慣れ親しんだものだしね」

「南方出身の方達は大丈夫かな?」


 冬と聞いて元気になるのがやっぱり北方の『ルヴィアス魔導帝国』の三人。バロードくん、オルファちゃん、カレンちゃんだ、聞けば北方には夏でも雪が残っている地方もあり、その代表的なのが『ランバード公爵領』だったりするそうだよ。


「逆に俺達は夏が心配だよ。『ユグライア大陸』の夏は凄い暑いって聞いてるし」

「私も『セリアベール』の街に逃げのびて、初めての夏をむかえた時は信じられない程の暑さだと感じたものですよルヴィアス様」


 そう言って苦笑するのはルヴィアスとアイギスの二人だね。

 逆にゼオン達の『ユグライア大陸』は真逆の南方に位置することもあり、夏場は非常に暑いんだそうだ。広大な大陸と言う事もあって、地域によって蒸し暑かったり、結構カラッとした暑さだったりと、まちまちらしい。その辺は私の前世でもあったことだけど、なんか世界変わっても共通するとこあってちょっと面白いなって感じてしまう。


「ほいほい、んじゃ早速雪でも降らせてゆっくり気温を下げていくから、みんなは体調崩さないように注意してね?」


はーい!


 みんなの元気な返事を聞いて、早速私は『無限円環(メビウス)』に雪を降らせ始める。勿論、みんなの負担にならないようゆっくりと気温も下げていき、徐々に寒さに馴れていってもらおうと思う。

 そして数日が過ぎると……


「さささっ、寒い! アリサちゃん寒いよぉぉ~!」

「お布団から出るのが辛すぎるんですけど……寒くし過ぎじゃないアリサちゃん!?」


 まずリールとフォーネがぶーたれ始めた。服を数着重ね着して、両腕で肩を抱き、ぶるぶる震えて嘆いてる。そんなに寒いのかね? 室内だし、私としては暖房つけるほどでもないってレベルの寒さだけど……


「いやぁ~寒みぃな! でも雪遊びって面白ぇや!」

「あはは♪ 雪だるまいっぱい作っちゃったね!」

「んぅ~♪ 雪ウサギ可愛かった」


 ちょっとリールとフォーネの寒がり方に呆気にとられていると、ちびっこ達が外から帰ってきた。降り積もった雪を見てわーい! って元気いっぱいにはしゃいで、遊んでみたいって言い出したので、私の知る雪遊びを一通り教えてみたんだ。

 ブレイドくんとミストちゃんは二人で仲良く雪だるまを量産して、この『アリサさんの引きこもりハウス』のお庭にズラーっと並べてくれた。アリアはその雪だるまの頭に可愛い雪ウサギを作っては乗せていくと言う事をしてたみたい。


「あはは! 頭にウサギさん乗せた雪だるまさんがいっぱーい♪」

「雪合戦も楽しかったけどね! 今度はそっちもやってみようよ~♪」

「うん! レジーナちゃん達は雪だるま作ったことある~?」

「ふふっ! 雪だるまはないけど、ちょっとした山みたいなのは作った事があるよ?」


 うむうむ。元気があってよろしい! シャフィーちゃんとネーミャちゃん、ユニは『猫兎(キャットラビット)』達と一緒に雪合戦して遊んだみたいだね。レジーナが言う雪山みたいなのはかまくらみたいなのだろうか?


「お帰りなさいみんな。濡れた服を着替えてらっしゃいね? 今あったかいごはん作るから。リールとフォーネはほら、どてらあげるから羽織ってなさい?」

 はーい! って元気な返事をしてみんなが着替えに部屋に戻っていくのを微笑ましく眺め、テーブルにぷるぷる震えて座るリールとフォーネにどてらを渡してあげる。


「ありがとーアリサちゃんあったかーい♪」

「うん、でも……足が寒いよぉ~!」


 おやま。なるほどなるほど……確かにどてらはあったかいけど、ふむぅ~足まではカバーしきれないもんね。


「んじゃ、しょうがないね。もうちょい後で御披露目するつもりだったけど、最終兵器を出しますか♪」


────────────────────────────

【はしゃぐ陽キャと……】~熊と狼~

────────────────────────────


シャアアァァーッ!! ザザーッ!! シャッシャッシャーッ!!


「ヒョーッ! 面白えぇーっ!」「この滑走感! クセになりそうだ!」

「こいつで派手にジャンプすんの楽しいぜーっ!!」


 ……ちぃ、このパリピな陽キャ共め。スキーだのスノボだのではしゃぎおってからに! デュアードくんまで! チミは陰キャの代表格じゃなかったのかね!? 見損なったぞ!


「……ふんっ!」


ビョーンッ! クルクルザザーッ!


「うおぉ! デュアードくん凄い! ジャンプして一回転してからの華麗な着地にターンしてのストップ!」

「素人とは思えないですね!」「凄いカッコいいですよ!」


 失望したぞデュアードくん! 完全に陽キャの仲間入りしてんじゃないか!

 ……って、あらやだ!? 私の黒い部分が顔を覗かせちゃったわん! 落ち着いて、落ち着いて……っと。

 最終兵器を準備しようとして、ふと窓から外を覗いたら彼等が目に入ったのだ。最初に雪山からスキーで楽しそうにはしゃぎながら滑って来たのは、ゼルワにバルドくん、そしてセラちゃんの三人。そしてスノーボードでかっちょよく大ジャンプしての一回転決めて、華麗な着地とストップを見せたデュアードくん。これには教えてた帝国三人衆も拍手喝采だった。


「ふーんだ! いいもーん、どうせ私は滑れませんよーだ」


 どうも私は前世じゃそれなりに雪が降る地方に生まれながら、この類いのスポーツがてんで駄目で敬遠していたのだ。どうも『ユーニサリア』にしては珍しく、スキーだのは昔から伝わっているらしい。アイギス達『白銀』にも「アリサ様も一緒にどうですか?」なんて誘われたけど、冷たい雪の上に尻餅つくのが目に見えていたし、ヤダって断った。


「きゃーっ! ゼルワゼルワーっ止まりませーん! 助けてーっ!」

「任せろサーサ! 今行くぜーっ!」

「あははは! サーサカッコわるーい」「ははは、笑っちゃ駄目だよレイリーア♪」


 ん~サーサもゼルワもレイリーアもラグナースも楽しそうね? 怪我とかしないといいけど。


「よし、デュアードには負けられんな! 私もやってみるか!」


シャアアァァーッ! ビョーンッ! クルンクルクルーッ! ザシャッ! シャアァーッ!


 おぉぉっ! すげぇ~♪ なんぞ今の!? アイギスってばスキーでジャンプかました後二回転くらいしなかった今!? どこの体操選手だ君はーっ!?

 思わぬアイギスのスーパープレイに、べたぁって窓に張り付いてがっつり見ちゃったよ♪ いやぁ~すげぇわぁ私の恋人(仮)は、鼻が高くなる思いだね!


「……んでも、あんな雪山いつの間にできたんだべ? 私創った覚えないんだけどな……」


 ちょっとばかりアイギスに見惚れててから、ふと思う。それは彼等が滑っている雪山についてだ。まぁ、山というよりは少し小高い丘なんだけど、あれって私が用意したもんじゃないんだよね。一体どっからわいたのん?


「アオオーッ!!」「ウオォォーンッ!!」


ガッガッガッガ!! ボフボッフッ!


 なんて事を疑問に感じ、お庭をよく観察すると、一ヶ所、地面から雪だの土だのを巻き上げて一心不乱に穴掘りしているリンとその掻き出された土をバンバンッ叩いてアオアオッ♪ って、嬉しそうにはしゃぐジュンの姿があった。どっちも白いからよく見ないとわかんないよ。

 しかし、なるほど……ああして雪山ができたのか、めっちゃ楽しんでるわねリンとジュン。

 妙に納得。「庭駆け回り~♪」っていう歌の如く、穴掘りにあきたのか、リンとジュンはこの広い庭でおいかけっこを始め、雪煙が立ち上っては消えていく。時々頭からズザァァーッ! ってヘッドスライディングしたりしてお互いの滑走距離を競ったりしてるみたい。


「可愛いし、面白いしで、ぷふふ♪ 見てて飽きないわぁ~♪」


 なんで動物達のじゃれあいっていつまでも見てられるんだろ? 思わず頬がにやけてしまうね!


「どうだリリカ! 余の方がジュンより長いであろう!?」

「そんなことないんだぞ! オイラの方がちょーっとだけ長く滑ったんだぞ!?」

「うふふ、お待ちくださいませね? 今計りますわ」


 おやおや、よく見れば言い合う狼と白熊の間にリリカさんがいるじゃないの。もしかしたら、リンとジュンの遊びに付き合いつつ、雪山作らせたりもしたのかね? なんにしてもいきいきしてるようでよかったよかった♪


────────────────────────────

【最終兵器】~こたつ~

────────────────────────────


「はいよ~♪ お待たせ! 最終兵器『こたつ』の登場だよ~♪」

「『こたつ』? なにそれ~?」「テーブルに……お布団?」


 一度自分の部屋に戻り、即席で作った魔装具。最終兵器『こたつ』をリールとフォーネ、子供達のいるリビングに数台設置する。勿論床に直座りで寛げるようにカーペットも用意したし、座布団も完璧だ。それなーに? ってリールとフォーネの疑問に私はセッティングしつつ答える。


「この魔装具はね、とある危険性があるから出すのを迷ってたんだけど……あんた達めっちゃ寒そうにしてるから仕方なくね。ま、取り敢えず入ってみ?」

「危険なのかよ? 大丈夫なのかアリサ姉ちゃん?」

「ん。なんの問題もない……むしろ最高」「ほわぁ~♪ こりゃあったかくて気持ちいいねぇ♪」

「素敵な暖房器具です!」


 危険性があるって言葉にブレイドくんを始め、リビングに集まってたみんなは躊躇するんだけど、いつの間にやら妹達がこたつに入り込み揃ってほわぁ~って寛いでいる。こりゃ早くも沼に落ちたかしらん?


「あらあら! あらあらあら~♪ これはなんて素敵な暖房器具でしょうか!」

「なんと心地よい……このまま寝てしまいそうですな」


 二階から降りてきたセレスティーナ様と、ガルディング様もこたつに入ってのほほんとしている妹達を真似して入ってみると、直ぐにその良さに気付いたようだ。それを見てた子供達も続々とこたつに吸い込まれて行く。


「はわぁぁ~♪ 気持ちいいよぉ~♪」「ぬくぬくとして温まります」

「おわぁっ! こいつはいいや!」「だね! あったかいしお布団柔らかくて気持ちいい♪」

「おぉ!? なんだぁ嬢ちゃんこれ!?」

「うおー♪ なんかみんなして気持ち良さそうにしてるじゃん? 俺もまぜてよ♪」


 ユニ、アリア、ブレイドくん、ミストちゃんがこたつに魅了されていると、その賑やかな喧騒を聞き付けて、ゼオンとルヴィアスの二人が。


「あら? アリサってばまたなんか面白そうなの用意したのね? なぁにそれ?」

「なかなか居心地が良さそうな作り……寝具とは違うようだが?」

「あったかそう~♪ 私達も入らせて下さい!」

「いや……待て! お前ら止まれ!」


 朱美、爽矢、水菜、大地の四人、『四神』達もやって来て一緒に入ろうとする……のを、大地が止めた。ほほう……コヤツめ、なかなかに察しおるわ♪


「なーんで止めんのよ大地ぃ~?」「暖房器具らしいぞ? 何を警戒する必要がある?」

「大地どうしたの? あの『こたつ』って呼ばれたの知ってるの?」

「いや、知らねぇけど……姐御! これぜってぇヤベェのだろ!? コイツに捕まったら最後! 俺は虎の誇りを失う! そんな予感がビンビンするぜ!?」


 腰を落として身構える大地を見て、朱美達は「なにそれわけわかんなーい」「大地は大袈裟だな、どれ我もお邪魔しよう」「私も~寒い寒い~♪」とか言って相手にすることなく、こたつに入っていく。


「大地。あんたのその予感は正しいわ。だけど……ここで逃げたらあんたの誇りとやらも所詮その程度でしかないのよ? 受け入れた上で抗ってこそ、誇りは保たれるんじゃないかしら?」

「うぐっ!! あ、あ、姐御……とんでもねぇ試練用意してくれたな……クソッ! こうなりゃやけだ!」


 はい、一名様ごあんなーい♪ それっぽく意味不明なこと言ったらまんまと引っ掛かりおったぞこの駄虎めが♪ ふはは、貴様は猫科! 猫はこたつには抗えないのだよ!?


ほへぇぇ~気持ちいいぃ~♪


 ホレ見たことか。こたつに入った瞬間、完全敗北した大地である。虎の誇りとやらはどこ飛んでったのやら♪

 他のみんなも同様だ。寝転がったり、顎をテーブルに乗せ、温かさに目を細めたり。乗せといたみかんをもしゃもしゃ食べて談笑したりと、だらけまくっとる。


「ただいま~♪ いやぁ~遊んだぜ!」「楽しかった~♪」

「あんな遊びがあったとはな、今度は本場の帝国で滑ってみたいものだ!」


ガチャ! わいわいわーい♪ ガヤガヤ。


 と、そんな風にみんながこたつの餌食になっているところに陽キャ共が帰ってきた。随分と堪能したらしく、みんな雪を頭から全身に積もらせているじゃないの。はらはらって程度にしか雪降ってないのにね。


「あ、アリサ様~ただいまでーす!」

「ただいま戻りましたアリサ様♪」

「ふふ、あんなに運動したのは久し振りでしたよ」

「あいよ、お帰り~まさかあんた達三人も滑って遊ぶとか思わなかったわ」


 出迎えのため玄関まで来てみたら、ミュンルーカとシェリーにラグナースがただいま~ってしてきたわ。正直この三人はインドア派だと思ってたもんで、意外や意外でびっくりしたよ。


「実戦じゃ動けてなんぼですからね~いい運動になりましたよ♪」

「流石にゼルワさんやデュアード、バルドにアイギスさん達には及びませんけどね」


 ほほーう。なるほどね! 冒険者やってる以上魔物との戦闘は日常茶飯事だから、一見大人しめの女の子でも、あのくらいの運動はお手のものってわけか。


「商人は足で稼ぐものだとディンベル先生から教わっていますから、結構体力使うんですよ?」


 お~営業ってあちこち行ったり来たりするもんね。そう考えるとラグナースもそれなりに動くのか。


────────────────────────────

【思わぬいちゃラブ】~寄せてくっつく~

────────────────────────────


「ハイハイ! ほらみんなこたつから出て! ごはん食べるわよ~?」


はーい! ザッ……ストンッ! ヤダ~出たくなーい!


 おい? 今「はーい」って返事したべ?

 私がこたつで寛いでいるみんなに、ごはんができたから食堂に移動して食べるように、声かけたんだけど……最初こそ「ごはんだ!」って感じで嬉しそうに立ち上がったものの、直ぐに座り直してしまい、こたつから出てこなくなる。


「あぁぁ、予想してたけど……こうも綺麗にこたつにやられちゃうなんてねぇ」

「で、出れない! ううん、出たくない! これがこの魔装具の危険性なんだねアリサちゃん!?」


 うむ。リールちゃんや、うつ伏せになってみかん食べながらマンガ読んでそんなキリッ! とかされてもまったく響かねぇのだわ。

 ちなみにマンガの類いはゲーム同様、私の前世での記憶をイメージ魔法と『不朽』で完全再現した物だ。シェラザードとゆかりが遊んでるゲームと同じ手法で再現できたから嬉しかったな。


「し、使用人のみんなまで!? しっかりしろ! こんなところリリカに見られたら大変だぞ!?」

「あー……そうですねぇ~でも無理ぃ~動けませぇ~ん」

「アリサ姉さーん今日はこっちで食べましょ~♪」


 あ~あ……『ランバード公爵家』が誇る精鋭使用人部隊も全滅、我等の主神様もぐでぇ~ってなってるうえにごはん持ってきてとかきたもんだ。


「あ、ヤベ……トイレ行きてぇ、アイギス代わりに行ってきて?」

「馬鹿なのかゼルワ!?」


 今やまともなのは私とアイギスの二人だけだ。うん、こりゃ駄目だね。やっぱり彼等にこたつは早すぎた。強制没収するとしましょうか。


「待って! 待ってよアリサ姉!」「んー! 今こたつ取られたらあたし達死んじゃう!」

「そうじゃそうじゃ! たまには良いではないか!」

「後生じゃアリサ様! 取らんどいてくれぇ~」


 私がこたつを回収する素振りを見せると、とんでもないブーイングが起こる。フォレアルーネとレウィリリーネはこたつにしがみつき、首をブンブン横に振るし、シドウとドガのじいちゃんコンビは涙目になる始末。


「アイギスさん、アリサお姉さまといちゃつくのを許します。ですから、アリサお姉さまの暴挙を止めて下さい」

「そーだそーだ! 二人もこたつ入れば良いのよ! ほらほら! 並んでここに入りませ~♪」


 ちょっ!? アルティレーネ! ティリア!? 何言い出すのよ!


「かしこまりました! ささっアリサ様、参りましょう!」

「おいぃ!? あー! あんたこんな強引なとこあったのねーっ!?」


 速攻で手のひら返したアイギスに引き摺られ、こたつに運ばれる私である。ちょっとは躊躇するって思ったアイギスだけど、こんな強引にくるなんて意外! でも、そんなとこも好き! なんて思考がどんどんお花畑になってしまうのを感じつつ、アルティレーネとティリアの間に座らされて、こたつを堪能。


「温かい……なるほど、これは皆が駄目になるわけですね」

「そそ、ソーダネー……」


 うっひょぉぉーっ!!? 近い! 近いってばよ!? めっちゃ肩触れてんじゃん! ヤバいヤバいわぁ~大好きな人とこんなくっつけるのって、幸せすぎる! 同時に恥ずかしくもあって、返事がカタコトになっちゃうんですけど!?


「うしし♪ アリサ姉キョドってるぅ~! アイギっち、アリサ姉にこうしてあげなよ?」

「フォレアルーネ様? ああ……なるほど、わかりました!」


ふぁっ!!?


 そっと、こたつの掛け布団の中で私の手にアイギスの手が優しく重ねられた! びっくりしてアイギスを見れば、彼も照れくさいのか、少し頬を赤らめながらも優しい笑顔で私を見てくるじゃないの!


「ふふ、幸せそうですねお二人共♪」

「ね、存分にいちゃついていいからさ。ごはんこっちで食べようよ!」

「アリサお姉さん……ごはん……」

「折角四季を創ったんだから、季節ごとの料理とかだと嬉しいわね!」


 あーもぅ! しょうがないなぁ♪ いやぁ~しょうがない! ここまでされちゃったらこたつの撤去なんてできんわね。うへへ♪ 思わぬかたちでアイギスといちゃラブできたし! アルティレーネの言うようにめっちゃ幸せだし、フォレアルーネの言葉に甘えていちゃつこう。

 でもってごはんねレウィリリーネ? はいはい、もう『引き寄せ(アポート)』でこっちに引き寄せちゃうか。

 今日の朝ごはんはいつも通りだけど、そうねティリア。折角だから冬に食べて美味しいのをお夕飯に出しましょうか!


「と言うか……今日はこれ、訓練にならねんじゃね?」

「まぁいいでしょ? こたつには抗えないわ。ミーナだってそう言ってるもん」


 ぐでぇ~ってテーブルに顔を横にして乗せる変顔皇帝が、誰ともなしに呟いたのを、横に寝そべり頬杖ついてマンガを読むティリアが、みかんをつまみながら答える。なんちゅーだらしない姿か。これからごはん食べるんだから、みかん食べ過ぎないでよ?


「ぁん~♪」


 いつの間にこたつに侵入していたのか。ティリアに呼ばれたミーナがもぞもぞと、私の掛け布団の中から這い出てきて一鳴き。そのまま両手を伸ばしたうつ伏せのまま、私の胸に顔を埋めてうとうと♪ 可愛い~! 時々「撫でろ」って私の頬を優しくパンチしてくるので熟睡はしてないみたいね。


「ふふ、ミーナ殿も幸せそうですね。この狭いオデコが良いのでしょうか?」

「にゃぁぉん♪」


 あああ~幸せ~♪ ミーナを覗きこんでくるアイギスと自然に顔が寄せ合うかたちができる! ミーナもアイギスの優しい撫で方を気に入ったみたいで嬉しそう♪

 そんなほんわかとした時間を楽しみながら一日が始まったのだけど……


「リリカさんと他の『懐刀』が帰ってこないねぇ?」

「うん。『ガルーダナンバーズ』にカインちゃんもアリスちゃんも『聖魔霊』のみんなも」


 うむ。それにシェラザードとゆかり、ティターニアもだね。あやつらは何をやっとるのかねぇ~? 後で様子を見に行くとしましょうか。

アリサ「うおぉ……(゜Д゜;) すんげぇ数の雪だるま達だわ(;゜0゜)」

ブレイド「へへっ!( ̄▽ ̄) すげぇだろアリサ姉ちゃん(゜∇^d)!!」

ミスト「こーんなちっちゃい雪玉がコロコロしてるとだんだんおっきくなってって~♪ヽ(´▽`)/」

ブレイド「わはは!(´▽`) でかくなりすぎちまったのもあってさ~ジュンが持ってったなぁ~(・о・)」

アリサ「あ~( ̄O ̄) それもアイギス達が滑ってたあの雪の丘になったのね(^_^;)」

アリア「ウサギ……とっても、可愛いです(*´ω`)」

アリサ「うんうん(^ー^) アリアも沢山楽しめたようでよかったよ(*´艸`*)」

ユニ「その実(  ̄- ̄) こっちのウサギさん達は凶暴だったよぉ(;ω;)」

モモ「このももちー( ・`ω・´) 容赦しません、粉☆砕です!(y゜ロ゜)y」

ミミ「雪合戦楽しかった~♪ヽ(*≧ω≦)ノ」

ネネ「ささ、流石に……(゜Д゜;) 寒いし、冷たいですよぉ~。゜ヽ(゜`Д´゜)ノ゜。」

ニャモ「うふふ♪(* ̄ー ̄) ゆーにーちゃぁーん( -.-)ノ」

ユニ「やぁぁぁんっ!?Σ(O_O;) ニャモちゃん背中に雪いれないでーっ!ヾ(;゜;Д;゜;)ノ゛」

レジーナ「あはは!(´∀`*) 本当に雪遊びなんて久し振りだからはしゃいでしまうね♪(*´▽`*)」

アリサ「ふふ( ´ー`) それぞれで冬を楽しんでくれてるようでよかったよ(^-^)」

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