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俺の幼なじみが、かたくなに“文学少女”と呼ばれるのを拒む件

作者: さいらなおき

「だから、その呼び方はやめてくれといつも言っているだろう」

 (こと)(すぎ)(きみ)()は、眼鏡の向こうで眉をひそめた。

「でも、いつも本読んでるじゃん。本好きなら“文学少女”だろ」

「違う。私が読んでるのは“文学”ではない。よくある科学啓蒙書だ」

「ふうん――じゃあ、いま読んでるそれは?」

「……『ピタゴラスの定理でわかる相対性理論 時空の謎を解く双曲幾何』」

 理解不能な単語の羅列に、俺は眉をひそめた。いや、“ピタゴラスの定理”は違うぞ。それ以外のことだ。

「……それ、面白いの?」

「面白いとも。三平方の定理が拡張されてユークリッド幾何学を飛び出し、e=mc^2にたどり着くところとか、何回読んでも感動する! キミも読め!」

「いや、授業以外で数学とか、マジ勘弁」

 君乃は大げさにため息をついた。

「はああ……。だからキミは、いまだに恋人の1人も出来ないんだ」

「いやいや。いくらなんでも、そんな本読んで恋人出来たりはしないだろ、さすがに」

「出来るぞ――わ、私が、なってやる」

 顔を赤らめた君乃に、光の速さで即答する。

「いや、マジ勘弁」

 その瞬間、俺は向こうずねにとんでもない痛みを感じて、ひっくり返った。

 こいつ、小学生に間違われる未発達ボディの、どこにそんな力が。

「ふん! 文学を読むべきはキミの方だよ! この無神経が!」


 そんなこんなで、今日もにぎやかな科学部部室なのだった。

 お読み頂きありがとうございました。

 楽しんで頂けましたでしょうか。

 ちなみに、この中で出てきた、『ピタゴラスの定理でわかる相対性理論 時空の謎を解く双曲幾何』は実在の書籍ですが、ここで書いている内容は正確ではありません。読んで感動したのは事実ですが、だいぶ昔のことなので、もう記憶が曖昧なのです……。

 さて、『下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ』でも「タイトルは面白そう!」のコーナーで毎回投稿してますので、そちらもよろしくしていただけますと幸いです。

 ラジオは文化放送にて毎週金曜日23:00から放送中。スマホアプリradikoなら無料で1週間聞き逃し配信してます。YouTubeには過去アーカイブも揃ってます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] かわええですね~。
[良い点] ああああーっ! せっかく、せっかく甘いラブコメ展開に発展しそうだったのに! 君乃ちゃんの言う通り、主人公は文学……せめてライトなやつでも恋愛ものを読むべき! 君乃ちゃん可愛い♪
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