10. 淵源3
平和な時代が幾代か続いた頃、平和に飽いた人の王はどうにか大地のすべてを手に入れられないか考えはじめた
策を弄した人の王は、精霊と交わり精霊の血を承継させ、終に王の嗣子は精霊を滅する力を得た
魔と霊を体に宿す王の眷属は、十の使徒をも圧倒した
おびただしい数の血が流れ、霊の力が大地に凝り、そこから精霊王が産まれた
やがて人の王は血に狂い、人をも手にかけた
おびただしい数の血が流れ、魔の力が大地に凝り、そこから魔王が産まれた
地の惨状を見た神々は大いに嘆いた
暮れの神プリエールヴィは、人から魔の力を取り上げようとしたが、すべてを神の手に戻すには人の数は多すぎた
魔の力を集め、愛し子フィーニスを産み、
すべてを払う力を与えた
明けの神レーヴェンルートは、すべての精霊を人の目から隠した
霊の力を集め、愛し子ナディエを産み、
力の鞘となるようにした
神の愛し子たちは、十の使徒とともに、精霊の血を身に宿す人の王の眷属を地上の果てに追放した
そののち疲弊した大地を癒す旅に出た
果たして地上は、再びの平和を得た
しかし人は善悪問わず、記憶する生き物であった
――『淵源の書』創造の章より