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0. 淵源1
古き時代、天に二神あり
明けの神レーヴェンルートと暮れの神プリエールヴィである
あるとき、微睡みに飽いた暮れの神が、血で山脈と大海を描いた
明けの神は戯れに、その上へ愛と美と豊穣の息吹をかけた
暫時待つと、血濡れた面が彩り命が芽吹いた
明けの神が祝福を贈ると精霊が、暮れの神が祝福を贈ると人が産まれた
精霊は風を纏い、水に遊び、花を愛でた
精霊は山川や草木に宿り、自由を尊び、世界を慈しんだ
人は石を掘り、木を伐り、道具を作った
人は群れ、子を成し、邑を作り、やがて国を作った
精霊と人の様子を多いに歓んだ二神は、自らの手指を裂き、十の使徒を創造した
彼の命が最後に相成するように
此の祈りが最後に輪舞するように
十の使徒が天から地に降りるとき、数多の魔と霊が降り、天と地を繋ぐ銀糸のように見えたという
――『淵源の書』創造の章より