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15才少年の新生世界の警察  作者: 現代兵器無双
始まりと仲間
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未知との遭遇

 戦闘が終わってから15knotsで針路060に変針し始まりの地に向けて航行していた。戦闘終了から2時間、既に日は昇り、雲一つない青空を形成していた。俺は艦長率いる1組目を休息に回し、2組目を操船及び警戒に配置し、他は全員艦の応急修理に回した。ヘリ甲板には格納庫手前から5m四方に穴が空き、ウェルドックでは扉がフレームの歪みで閉まらなくなっていた。俺は甲板の材質と同じ鋼鉄板を召喚し、めくれ上がった部分を切断したうえで鋼鉄板を溶接した。ウェルドック扉の修理とヘリ格納庫扉の大穴は現時点では修理不能のため、ドック修理を行わないとどうにもならない状況だった。ヘリ甲板も鋼鉄を貼り合わせたがヘリの発着艦を行うにいいとは強度上の不安があるため対潜ヘリを召喚しても使えない。実質この艦は半分死んだも同然だった。

 

 そんな状況の中俺は隊長と副艦長と共に今後の戦略について食堂で話し合った。

 「この艦は母港となれる大きな島を見つけるまで損失した戦闘能力を回復させることは出来ない。この解決策を隊長と副艦長あなた方の意見を聞きたい。」

 「池田殿、この艦の個艦戦闘力は高くありません。そして対潜戦はヘリを活用したうえでなので、今後は他の艦と組み艦隊を結成するべきだと考えます。」

 「池田殿、わたくしも同じ考えです。少なくとも仲間がいないとこの艦は脅威に対抗できません。」

 隊長と副艦長は順番に答える。

 「わかった。艦を召喚することでは一致しているということか。しかしどのような艦を召喚するかを検討したいんだが。」

 「私は強襲揚陸艦を旗艦とした艦隊を結成するのがよろしいかと考えます。」

 「私は空母を旗艦としたものを艦隊を結成するのが最善かと考えます。」

 海兵隊員の能力を持ったリンと海軍艦艇の水兵の能力を持った副艦長で意見が割れた。

 「意見が割れたようだけどそれぞれの理由をお聞きしたい。隊長からよ...」

 「ウェルドックに生物が侵入、白兵戦用意」

 俺はマイクを手に取り、報告をした部下に連絡を試みる。

 「どういうことだ」

 「ただいま生物がローンチランプに入ってきました。何か音を発しています。」

 始まりの島20km沖まで戻ってきた艦に緊張が走っており報告した水兵の声は震えていた。

 「その音を聞かせてくれ。」

 「了解しました。」

 とその水兵は言うとマイクの線を少し伸ばしてその生物の音が拾えるようにした。

 「我々はあなた方と話がしたい。我々を苦しめていたあの魔物を殺したあなた方と。」

 「水兵、あの生物は対話を望んでいる。おそらく話が出来るということは知能は高いのだろう。俺が直接行く。」

 「池田殿、あの生物が言っていることがわかるのですか...了解しました。」

 水兵は自らの疑問よりもこの事態に対処するほうが優先だと理解したのだろう。俺は水兵の返事を聞くとすぐにウェルドックに向かった。そうするとすでに非番の兵たちは全員武器を持ち廊下などを警備していた。ウェルドックでは水兵たちが武器を構えて今にも撃たんとした張り詰めた空気に包まれていた。

 「私がこの者たちを指揮する最高責任者だ。あなたがここに赴いた理由をお聞かせ願いたい。」

 「あなたほど若い奴が最高責任者とはとても信じられないが目的は話合いだ。あなた方が我々の敵か味方かを判断するために来た。」

 その生物は上半身は人間の女性と同じであったが下半身は魚だった。これでこの世界ではダーウィンの進化論が完全に崩れ去った。そして彼女を女性?と言っていいのかわからないが容姿は人間の女性なのでまあしばらくはそれでいいだろう。

 「全員武器を下せ。ただし警戒は続けろよ。」

 水兵の方を向いた俺はそういった。そして彼女の方を向き直り

 「我々はあなた方がこちらに敵対行動をとらない限り攻撃は行いません。」

 「あなたがたは我々の敵ではとりあえず無いことはわかりました。ではあなた方はなぜここにいるのですか。そしてあなた方の目的は何なのですか。」

 随分と率直に聞く彼女に驚きながら俺はどう返すか悩んだが、あの女性(神)に言われたことが事実なら敵に回ることはないだろうと思い思い切って目的を正直に言うことにした。

 「我々がなぜここにいるのかはわかりません。しかし目的はメイソニア大帝国の指導者を暗殺し、奴隷や殺されそうになっている人を助けそしてメイソニア大帝国の拡大を防ぐことです。」

 「そうでしたらなぜメイソニア大帝国とは反対の方向に向かっているのですか。」

 「われわれの艦は戦闘により軽微な損傷を受けたため修理のためにもともといた場所に向かっています。」

 戦闘で受けた損傷は無茶をしてガスタービンエンジンを壊しかけたことを入れると決して軽微ではないが手のうちはそこまで見せられないので嘘をついた。

 「あとどれくらいなのだ。」

 「もうすぐ着く予定です。」

 そうすると水兵の一人がマイクを取った。送信元は艦長で島の4km沖まで戻ってきたとのことだった。

 「もう着きました。」

 「あの先にある島のことか。」

 「そうです。この先はこの船で行けないのでボートで向かう予定です。」

 「あそこは我々の島だぞ。」

 彼女は顔色を変えてそう言ってきた。

 「ですが2日前にはあそこには砂浜しかありませんでしたよ。」

 「当たり前だ!曇りであれだけ魔素がたまっていたら大きな魔物が来るからに決まっているだろう。あなた方はまさにその島の近くにいたからあの魔物に襲われたのだ。あれはこの地域でもかなり強う部類に入る。もっと強いのもいるからそんなのが来ていたらお前らの命はなかったぞ。」

 と声を荒げて言った。この発言で俺たちがどんなにこの世界で危険なことをしたのかを知った。全く知らないことを少しでも隠すためと我々を万が一にも襲わないよう抑止するため

 「それは知りませんでした。艦隊警備のためにこの海域のパトロールを先行して行っていてその過程で2日前あの島に上陸したんです。そしてさっき襲われたんです。ここが魔素だまりになっていたのを知りませんでした。ありがとうございます。」

 おれがそう答えると彼女は笑みともなんとも捉えられない微妙な表情になった。俺たちの非常識ぶりに失笑したのかと思ったがそうでもなかった。

 「艦隊と言うことはあなた方以外に仲間の船がたくさんいると...。」

 「ええ、仲間の船は合わせると1000隻以上いますよ。私たちはちょっと艦隊の針路上を先行して警備していただけです。今は10隻ほどの艦がこっちに向かっていますけど最近何もなかったので今回この小さい貧弱な船を向かわせることになったんです。そしたら今回襲われましたけどね。ハハハ」

もちろんはったりだがそのうちそろえるから問題ないだろう。そしたら彼女はいきなり青ざめた表情で

 「私たちの命だけでもお助け下さい。私の命と引き換えでもどうか仲間だけでも。」

 「何を言い出すかと思えばそんなことですか。はじめも言いましたけど別に敵対しなければ仲良くやっていきたいだけですよ。」

 「仲良く...。それは私たちを奴隷として弄ぶことですか。」

 女性はさらに青ざめて涙目になっていた。彼女はおそらく仲間を代表してきたのだろう。そして彼女の表情はつい"私たち"や"仲間"などと言う言葉を使ったことに対する後悔のようなものをしているような感じだった。

 「さっきから何を言っているんですか。私たちが仲良くというのはメイソニア大帝国に抑圧されている人たちやあなたのような人間に近い生き物を救うために協力しようということです。我々は奴隷などというひどいことはしませんしやっている者たちを許しません。我々がしているのはそのための戦いの準備です。」

 彼女はその言葉に驚いたような表情を涙を流した痕を残しながらしていた。

 「あなた方は私たちを救ってくださると。」

 「そうだ。ただこの近くで私たちの仲間が準備をするために基地が必要なのだがこの近辺の情報がなくて困っているのだ。協力してくれるならこの近くのとメイソニア大帝国の情報を教えてほしい。」

 彼女はその言葉を信用しようか悩んでいるような感じだった。それは当然のことであろう。あの反応からおそらく彼女たちはメイソニア大帝国の迫害から逃げて来たのだ。敵だったらその情報で仲間が滅ぶかもしれない。そう考えたら当然の反応だろう。見かねた俺は

 「ここで答えを出すまで待つ。仲間と話し合って来るといい。」

 と言った。彼女はその後すぐローンチランプから海中に戻っていった。そして振り返ってみると銃を持っていた隊員たちは不思議そうな目でこっちを見ていた。

 「お前らどうした?俺に何かついてるか。」

 「誠に恐縮ながら池田殿は一体ウメーウメーとか音を出しながら何をしていたのですか。」 

 レンは俺に対して申し訳なさそう言ってきた。

 「もちろんあの女性と話していた。彼女が途中から命だけは助けてとか自分の命と引き換えにしても仲間の命は奪わないでくれとかなって大変だったよ。もしかしてみんなそう聞こえてなかった?」

 俺の言葉に周りにいた隊員全員が首を縦に振った。俺は思った“どういうこと?”

 一人の水兵が口を開いた。

 「誠に勝手ながら申し上げますが、池田殿は様々な言葉を意図せずに話すことが出来るのではないですか。」

 俺は最初にそんな馬鹿なと思ったが不意に使い人の概要に書いてあったことを思い出した。言語は英語であるということを。俺は少し合点がいった。今まで日本語を話していたのに話は完璧に通じていたし、今までもずっと日本語が帰って来ていた。もしかして勝手にすべてが翻訳されているのではないかと感じた。証拠になぜか艦内にある英語表記の物が当たり前に読めている。

 「お前、よく気付いたな。まずお前らは何という言語で話している。」

 一斉に

 「英語です。」

 と帰ってきた。

 「俺は今までずっと日本語を話してきたつもりだ。つまりお前の言っていたことは正しい。」

 初めに言った水兵が

 「恐縮であります」

 と言った。

 「よしお前ら、そろそろシフト交代の時間だがそもそも食事を食べてないだろう。警戒中の人員は交代しながら食事を取れ。あと昨夜から一睡もしていない奴は仮眠とっておけよ。」

 「了解。」

 と全員が敬礼しながら俺の方を向き一部の水兵は食事に向かった。

 俺は食堂で牛一頭分の肉、カレールー、米、玉ねぎ、にんじんを召喚しそれをカレーライスにして配らせた。カレーといってもじっくり調理する時間は無いのでちょっと質は落ちるが。牛肉は地球で買ったらとても高いものにしたがだが今この召喚でお金は関係ない。俺はこの端末に改めて感謝した。平穏な生活を奪ったあの女神はちょっと憎いが。

 俺は3時間程して最後に来たリンに聞いてみた。

 「あの生物って何て呼べば良い?」

 「人魚で良いんじゃないですか。だって上は人間だけど下は魚ですし。」

 「まあそれでいいか。今までのことを何かに記録しておいてもらえるか?」

 「任せてください。PCをお借りできればわが隊で作成できます。ただ先の戦闘に関しては水兵たちに頼んでいただかないと無理です。」

 「わかった。PCを支給するから記録を取っておいてくれ。期限はないが出来る時にやっておくように。」

 と言うと俺はPCを5台くらい召喚した。もちろんネット環境は無いのでOfficeソフトは端末からプログラムを引っ張ってくることにした。端末の上にPCを置くとプログラムが転送できるようになっていたのでそうした。実に便利だ。俺は最後に来た隊員たちと共に食事の時の容器を片付け始めた。


 彼女は仲間と二進も三進もいかない話し合いを繰り広げていた。

 



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