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15才少年の新生世界の警察  作者: 現代兵器無双
始まりと仲間
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対潜戦とIED

この艦の艦長を任命してから7時間の真夜中、艦長率いる組から次の組にシフトが移る1時間前、曳航ソナーが正体不明物体を探知した。

 「専任兵曹長、距離2000、正体不明物体を探知しました。」

 「正体不明物体の針路と速度は。」

 「待ってくださいなにか発しています。針路と速度は…こちらに向かってきます!速度30、方位090より急速接近中です。」

 「以後、正体不明物体をA1と呼称。兵装すべて用意しておけ。ちっ。こんな時から戦闘かよ。」

 と苦虫をかみつぶしたような表情になった専任兵曹長はブリッジに連絡を取るため受話器を取った。

 「艦長、こちらコンバットコントロールセンター、方位090より正体不明物体A1急速接近中です。変な音を発しています。」

 「了解。戦闘態勢に入れ。ただしまだ武器の使用はこちらの指示があるまで待て。」

 「了解であります。」

 と専任兵曹長が返事をすると艦長が操艦をしている水兵に

 「方位270、速度30.」

 と言うと矢継ぎ早に館内放送を行い

 「総員戦闘配置、総員戦闘配置。」

 赤色のライトで照らされている薄暗い艦内に警報器の音と足音が響き渡った。俺はサイレンで飛び起き、忙しく走り回る部下に時折ぶつかりながらベットからブリッジに向かった。

 「状況は。」 

 「正体不明物体A1が090より急速接近中です。本艦は現在方位270、速度30で航行中です。」

 「了解。どのように反撃するつもりだ。」

 「現在対潜戦用の武装は搭載していません。よって反撃手段は存在しません。」

 「しかしそれではどうする...」

 考えようとしたその時コンバットコントロールセンターからの張り詰めた声が響いた。

 「A1速度40に上げました。このままでは追い付かれます現在距離1500。」

 「速度45まで上げろ最大船速!」

 「こちらコンバットコントロールセンター。依然距離開きません。」 

 「A1から何か発射されました。こっちに向かってきます。着弾まで5秒」

 と悲鳴に似た声が発されると艦長は

 持っていた受話器に

 「衝撃に備えよ。」

と言った。それと同時にA1から発射されたらしい物体が艦を真っ黒に染め上げた。

 「ダメージコントロール、被害は。」

 「被害確認できません。」

 「こちら左舷見張りです。A1確認できました。触手を大量に持った30mぐらい物体です。触手の間にある口を大きく開けて向かってきています。」

 

 「艦長、次何が来るかわかりません。艦を180に向けて主砲で砲撃してはどうだ。」

 と俺は言った。

 「しかし、次はありませんよ。」

 「構わん。お前らなら一発で決めてくれるだろう。

 「わかりま...」

 と艦長が言おうとしたところ『ドーン』という音と同時に船体が大きく揺れた。

 「こちらダメージコントロール、ヘリ甲板、ヘリ格納庫被弾しました。被害不明、ただ浸水、エンジン破損などは見受けられません。」

 「こちらウェルドック、天井に穴が空いています。負傷者3名、軽傷です。」

 「こちらヘリ格納庫、格納シャッターが破損しましたが負傷者なし。」

 と報告が入った。

 「艦長、もう時間がない。一か八かでやるぞ。」

 「了解。」

 「こちら艦長よりコンバットコントロールセンター、主砲発砲用意、こちらの合図で撃て。」

 「了解。」

 そして艦が急旋回して方位200になったと57㎜砲はA1を捉えた。

 「撃て!」

 と艦長が受話器に向かって叫ぶと左側に振り切っていた主砲が火を噴いた。

 「初弾命中。成果確認に入ります。」

 「こちら左舷見張り、A1命中により触手がちぎれましたがこっちに向かってきてます。」

 「ちっ、艦長」

 「主砲発砲自由、撃て!」

 と艦長が言うと毎分100発という高レートで主砲から砲弾が発射された。榴弾砲は近接信管を使用しているが、生物相手なので効果はなく、物体に衝突したときに爆発していた。

 「爆炎がA1周辺を覆い始めたころ艦長から

 「撃ち方やめ、」 

 と言い戦果確認に入った。ブリッジから艦長は直接双眼鏡でA1を確認した。A!の触手はほとんどちぎれていて痛々しかった。動きが鈍ったA1を見ていると突然目が光った。そしてすいちゅうにもぐり始めた。

 「こちらコンバットコントロールセンター、A1速度60に上げました。こっちに突っ込んできます。」

 「エンジン出力最大、可能な限り時間を稼げ。」

 受話器を手に取って俺が言った命令に機関士長は

 「そんなことをすればオーバーヒートします。」

 「構わん。出来るだけ時間を稼いでくれ。」

 「ウェルドック、こちら池田、リン、57mm砲の弾薬と手榴弾をありったけ乗ってきたボートに乗せろ。」

 「池田殿、なぜです?」

 「ウェルドックから発進させてA1に飲み込ませ爆破する。発進は俺が指示をだす。」

 「了解」

 とレンが言うと部下に

 「お前ら出番だ、弾薬庫から57mm砲の弾薬を運ぶぞ。残りは手榴弾をありったけ集めてボートの端とピンをロープでつなぐ準備をしておけ。」

 「了解!!」

 いつもならすごくこだまするはずの返事は上部に大穴が空いて鉄板がめくれあがっているので響かない。

島の上陸隊の隊員たちは57㎜砲の下部にある弾薬庫から6kg程の榴弾を一人一個ずつ持ち、20発ほどを運んだ。50knotsを無理やり超えている船の揺れはすさまじかった。

 15分程して自爆艇の準備が完了しようとしていた頃機関室では

 「機関士長、エンジンもう限界です。このままでは融解します。」

 「わかってる。」

 「池田殿まだなのか、もう持ちません。」

 「あと少しだ、あとす...」

 「池田殿、準備完了です。ウェルドック扉は解放済みです。いつでもいけます。」

 「こちらコンバットコントロール、A1からの距離200を切りました。」

 「レン、発進させろ。」

 「了解、お前らロープ切断しろ。」

 「了解!」

と言うと隊員たちば自爆ボートを固定していたロープを切断し、50knots以上で航行する船から逆走するかのように急に遠ざかり丸ごと艦を飲み込もうとしていたA1の口に吸い込まれた。そして飲み込まれたボートはA1の体内で潰され、その時にロープでつないでいた手榴弾のうちの一個が安全ピンが外れて爆発、続けざまに次から次へと連鎖爆発が発生し、たこは内側から木っ端微塵になった。

 「引き続き警戒を厳となせ、速度15、方位000に変針、被害報告を急がせろ。」

 「了解しました」

 機関室では融けかけたガスタービンエンジンが鳴りを潜めた。

 「機関室、エンジンの状況は」

 「ガスタービンエンジンは点検が必要ですので高速航行は出来ません。現在ディーゼルエンジンに切り替えております。」

 「了解」

はあ、次同じようなことが起こったらさっきのようにはいかないのか。

 「こちら、コンバットコントロールセンター、先ほどの爆発に曳航ソナーが巻き込まれ、破壊されました。対潜警戒不能です。」

 「こちらダメージコントロール、ヘリ甲板、ヘリ格納庫、ウェルドック破損しました。ウェルドック扉、閉められません。フレームが歪んでいます。」

 「こちら左舷見張り、異常ありません。」

 「こちら右舷見張り、異常ありません。」

 この艦はかなりのダメージを受けているようだ。戦闘開始から二時間、勝利はしたがかなりの損害を被ってしまった。

 「艦長、これから黒い液体を確認しに行く。」

 「了解しました。気を付けてください」

 「ありがとう。」 

 そう言うと俺はブリッジを出て、何の物質かわからないので防護服と綿棒を召喚し着替えたあと、船首側の甲板に出て綿棒に黒い液体をつけ、端末の鑑定スキルで鑑定した。

 『魔素吸収体?、それを受けると魔素を奪い取られるということか。我々は魔力を一切持たないので関係ないか。』

そう思いながらブリッジに戻った。もちろん防護服はすべて袋に入れて厳重に封をしておいた。日は間もなく昇ろうとしていた。災難な夜、これにて終了。


「あれは一体何なのだ」

 真っ暗な海にPEACEからかなり離れたところから眺めていた一団がいた。

 

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