07.特異者だったみたい
ギルドにて____
「えっと…、すみませんギルド長を呼んできますので少々お待ちください…」
「アンタ今まで、どんな生活したらこんなになるのよ!!」
測定が別室でよかったけど…なんでこうなった?
「ハァイ〜、ミラちゃん元気にしてるかしら〜?今日はねぇ、この小娘の出店許可と実力測定して頂戴」
「元気に毎日受付にいますよ、ソフィアさんも元気そうで何よりです。許可と測定ですね、では奥の測定室へどうぞ。出店に関する書類も一緒にお持ちしますね」
昨日ぶりに来たギルドの奥、腕時計のような手首型の血圧計のようなものがある部屋にソフィアさんと一緒に通された。
「では、このレティシアさん手首をお借りします。少しチクッとしますよ」
今回使用する魔道具は、ちょっと良いやつで手首の内側に文字盤代わりの水晶が来るような形でベルトが巻かれ、ベルトの内側には小さな針があった。水晶に血が溶け込むと魔力などのステータスが分かり、水晶とギルド登録証が反応して結果が登録証に現れると言うものらしい。
「ギルド登録証が光ったら結果が現れますので、それまでお待ちくださいね」
あ、光った。何々…
・冒険者ギルド登録証・
名前:レティシア
種族:人
M P:78952/78952
H P:80364/80364
ランク:E
スキル:見透・移動
「えっと…、すみませんギルド長を呼んできますので少々お待ちください…」
「アンタ今まで、どんな生活したらこんなになるのよ!!」
ミラさんはパタパタと急いで出ていくし、ソフィアさんは登録証見ながら驚きつつ呆れてる…何なの…
「えー…なんかおかしいの…?」
ミラさんに連れられ、若めの人が入ってきた。
「初めまして、僕はギルド長のノアです。レティシアさん?登録証を拝見しても?」
渡すとノアさんも驚いた表情をしている。
要約すると、ステータスが異常だったみたい
H Pは10,000、M Pは8,000くらいが過去最高値らしい…、平均値は両方とも1,000前後…、私は…両方とも数値超えてる…
国の過去最高レベルの数値を低ランク冒険者が優に超えたって、どう考えてもおかしいでしょ…
「えっと…壊れてないですか…」
「僕の測定してみたけど正常だから壊れてないね。能力が気になるけど心当たりはあるかな?」
見透と移動…、見透は名前の通り見透すもの…鑑定のことかな?移動は…心当たりないなぁ
「見透は多分鑑定のことだと思うんですけど、移動はちょっと分からないです」
__________..........
ギルド長とソフィアさんの3人で話をした。
伏せた内容はあれど、親や兄弟のこと、されたこと、過ごしてきた環境のことを掻い摘んで話した。
ソフィアさんは途中からボロ泣きしてた。
「…戦争等の過酷な特殊環境下で過ごした者は特異なステータスを持つ特異者が現れることがある。レティシアさんはきっとこれに当てはまる。身体を守るための魔法、それを実現するための魔力、それは君が今まで受けてきたものに対し戦い、勝ち取ったものだ。誇るべきものだ」
今後、街で好きに生活しても良いことになった。ギルド長の権限でランクもBまで上げてもらい有事の際以外は、店を経営するもよし、ギルドの依頼をこなすのも本当自由にしていいらしい。ただ、前例のない魔力量なので定期的にステータス確認と健康診断をしてほしいとのこと。
「昨日ミラさんから渡された資料から、気に入った物件はあったかな?あったなら頭金は払えば今日から住めるよ。賃貸と購入どっちを希望も教えてね」
「え、ほんとですか。じゃあ、この物件が気に入ってるんですけど…出来れば購入したいです…」
気に入った物件資料を渡すと頭金銀貨6枚と言われた。
あぁリムルさんありがとうございます…!今、多くいただいた代金が活きます!!
頭金を支払い、鍵を受け取った。
__________..........
「アンタ苦労してたのねぇ…、何かあったら私の店まで来なさい。とりあえず開店の目処がたったら教えなさい宣伝くらいはしておくから。じゃ、またね」
目を赤く腫らしたソフィアさんと別れ、新居に向かった。
街外れにある、庭付きの小さな2階建ての家。これから毎月支払いしなきゃなぁ。
雑草だらけの庭に、埃にまみれた室内、ボロボロの柵、ヒビの入ったガラス…もう夕方だし、明日から掃除がんばらなきゃ。
*****
キルド長室_____
「レティシア…か、」
小さくノアはため息をつくように呟いた。
特異者というのは間違いないが、本人がそれを自覚することもなく育ってしまった魔力…。接してみたが、悪意は感じないからまだいいかもしれないが魔力の暴走してしまった時が恐ろしいと考えるが今知恵を絞ろうと意味のないことだった。
「ソフィア、ギルド長として命じる彼女を見張れ。暴走すれば街や国の害になりかねない」
「…分かったわ。ひとまず、あの小娘が作り笑いでも笑っているうちは平気よ。それが消えた時は…考えたくもないけどね…」
箝口令をしきソフィアに内密に依頼をし、細かく彼女を見張り少しでも対策を考え作っていくしかできることがなかった。