05.隣領ブルバルディア
「テリーヌ発行のギルド登録証ですね、はい大丈夫ですよ。ようこそブルバルディア領へ」
ついに、領外へきました!さよならルピナス領!こんにちはブルバルディア領!
私は、今ブルバルディア領の街ルブライトにいます!とりあえず今日はギルドに行って情報取集をします!
てことでルブライトのギルドに来たけど…捜索依頼にも掲示板も私のことは一切無く、それとなく他の冒険者に聞いてみたけどルピナス領から来た冒険者になら小耳に挟んだ程度の話として扱われていた。侯爵家から誘拐されたのに、その辺にいるわけがないといった感じの扱いだった。
テリーヌに比べると大きい街…あっちは農産での交易が盛んみたいだけど、ここは水産や輸入業での交易が盛んなのかな
森も近ければ、他国も近く、大きな川も近い、何かあれば身動きは取りやすそうだなぁ
「すいません、今日この街に来た冒険者のレティシアといいます。この街に拠点を構えたいのですが…」
「ルブライトへようこそ!”街付きの冒険者になりたい”ということでしょうか?」
「街付き?ですか。ごめんなさい、最近冒険者になったばかりで街付きってどういうことですか?」
受付のお姉さんが丁寧に教えてくれた。冒険者には大きく3つの種類があるようだ。
放浪者:多くがこれであり、街から街へ等拠点を持たず依頼をこなしながら移動する者
街付き:街に拠点を置き、拠点を置いた街での依頼を中心的にこなす者
研究者:冒険者登録こそしてはいるが依頼はあまりこなさず、目的のため街以外の森や山などに拠点を置いている者
んー…街にいてたまに依頼をこなしつつ、薬師として生計立てていきたいんだよなぁ
前は、せっかく大学まで行って薬剤師になったのに、まともに患者さんと接することなく死んじゃったから今度こそなりたいんだけどなぁ
「あの、冒険者って自分のお店とかって持つこと出来ますか?薬草のお店を開きたいんです」
「可能ですよ。冒険者ギルドと商業ギルドに申請し許可が下りれば自分の店を持つことが出来ますが、薬草等の薬や武具、その他生命に影響を与える物を扱う場合はギルドが指定した専門家からの出店許可が下りない限り出来ません。もし、申請していかれるのであれば申請書類と薬の専門家指定をしますが、どうします?」
「ぜひ、お願いします!あと店舗と家ってどこで探したらいいですか…」
受付のお姉さんはニコッと笑い、申請書類と専門家への案内状、いくつかの空き家の資料を用意してくれた。
ギルドって本当に街のこと色々管理してるのね
本で見るのとじゃ、実際は全然感じ方とか違うから心臓が元気になる
今からどうしようかなー、お昼も近いしご飯食べたら専門家に会いに行ってみよー
__________..........
「ん〜、もうっ!ギルドの指定だから仕方なくやるんだからね!ホントなら女のアンタなんかお断りなんだからねっ!!」
………おぉ。なんか…強いというか濃ゆいな…
初めてみた、これがオカマさんというものなのかな?
このパンチの強い方は治癒師のダリウスさん、腕の良さは王宮の医療術師たちと引けを取らない凄い人らしい。
「新米冒険者のレティシアです。この度、薬師になりたく専門家のダリウスさんを指定されました。よろしくお願いします!」
「次その呼び方したらツブすわよっ!!ソフィアと呼びなさい!まぁ、いいわぁ〜取り敢えずそこの薬草名と効能を言ってみなさぁい」
「丸みを帯びた艶やかな葉、爽やかな甘い匂いがするのはモーリュ、毒・魔法を打ち消すため魔術や魔法による負傷に効果的です。粉をまぶしたような白い葉に赤い花が特徴的なのにハオマ、栄養豊富で高い治癒促進作用があり一部の亜人には霊薬として扱われています」
薬草は軟禁中に色々覚えたからよっぽど分かる!調合もなんとなくならできる!
このまま、すんなり許可もらえたらいいなぁ
「ふぅん、まぁまぁな知識はあるみたいね。ハオマなんて知ってるのなんか図鑑書いてる奴だけかと思ってたぁ。次は実技だけど、奥の怪我人でも診てもらおうかしら」
奥に通されると、治りかけの怪我人がいた。
ダリ…ソフィアさん曰く、この方は冒険者のレオさん。魔獣討伐の際に足に大怪我をしてしまった。あと一月程で完治予定だけども、どうにも治りが良くないためハオマを使って治癒促進をさせるらしい。
「可愛いレオちゃんは、この怪我のせいで脚に後遺症が残って冒険者を引退せざるを得ないの。早い社会復帰のために治療を進めたいの。失敗するものでもないし、やってみなさい。成功したら許可をあげるわ」