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03.か弱いわけではない

市場や露店が賑やかになり始める朝。


「おじさーん、私の食糧取りに来たよー」


「おぉ!ランプの実のチロンと果物、干肉に干果実それにおまけもつけといたよ!!」


店主にお礼を言って一緒に出てきた馬に荷物を乗せて街を出ようと街外れまできたところで誰にフードを剥がされた。そこに細身と小太りの見知らぬ男が2人いた。見た目から冒険者であろうことは伺えるが、決して良いタイプの人には見えなかった。私の容姿を見るなり、確信を得たようにニタニタと笑っていた。


「なぁ、あんた誰かに似てるって言われないかい」


「いきなり女性に触れるなんてマナーがなってないと思わないの」


「あんた、あのお嬢様だろ。大人しくついて来てくれよ、まぁ来なかったら分かるよな?」


彼らは私をラエティア・ルピナスと確信した上で笑っていた。きっと女一人ならどうとでもなると思っていたのだろう。言うことを聞かないと刺すぞと言わんばかりに刃こぼれしたナイフをチラつかせて来た。


「ついていかないと言ったらどうするの?」


「足の筋でも切って連れていくさ」


「女だからって甘くみ過ぎてないかな」


油断し過ぎ。私が魔法を仕掛けていることにも気付いてない。


「何なめたこと言ってんだよっ」


そう言って小太りの男が細身の男を殴った。二人とも向き合って殴り合いを始めた。

今回は互いのことが私に見えるようにかけてみたけど上手く魔法にかかってくれたみたいだ。


「さぁ、騒ぎになる前に行こう」


騒ぎになり出した2人を置いて、馬に乗り街を後にした。

思っていたよりも私のことを認知して探している人はいるようだ。そう思うとラシャドは、あの2人より仕事出来そうなのに意外と抜けているのね。


__________.........


平野を抜け林に着く頃には、日は傾き夕暮れの紫の空に太陽に日が溶け込み小さく星が光り満月が薄明るく照らしている。


今日はここで野宿するかな。

一応街道から逸れて来たけども朝みたいなことはもうこりごりと、思い出しながら枯れ葉や枯れ木を集め火を灯した。


「今日もいっぱい乗せてくれてありがとうね」


手綱を木に結び馬を休ませ、私も木にもたれかかって脚を伸ばした。果物と干し肉を齧って空腹を満たし、仮眠を取るための支度をする。


獣や魔物を避ける薬草を燻し、魔法をかける。すると、ゆらゆらと風に漂うだけだった煙がスーっと私たちを囲うように円を描いた。あとは、保護魔法?結界?をかけて終わり!

さぁ明日も朝から動くから今日もしっかり寝よう!



_____バチンッ!!


どのくらい経ったか分からないけど大きな音がした。保護魔法に何かが弾かれたみたいだった。今まで反応したことがなかったから、こんなに大きな音がするのかと吃驚した。

消えかけの焚き火の枯れ枝を足し、チロンを掲げ音のする方を見ると1匹のゴブリンがいた。


「保護魔法かけておいてよかったぁ、うわぁゴブリン初めてみた…」


ゴブリンは月に照らされ、グルグルと喉の奥から唸り何度弾かれてもこちらへ向かってきたり、近くの石を投げてきたりした。

保護魔法は私が考えた害のあるものを拒絶するイメージのもの。軟禁虐待生活でバレずに身を守る方法を模索して身につけた、この世界のどれにも分類されない魔法で試行錯誤の段階のもの。

余程お腹を空かしているのかと干し肉を見せてみても反応がない。あくまで私か馬を狙っているようだった。

朝までいられても困るしなぁ…可哀想だけど軽く攻撃して追い払おう。

しかし、怯むどころか攻撃的になってくる。どこか行ってくれる方が有り難かったんだけど仕方ない、少し長めに眠ってもらおう。

そのまま眠ったゴブリンを風魔法で遠くに飛ばしたった。

どうか、このまま朝まで何ありませんよーに。


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