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[二周目]二人目(名前はまだない)

「そういえば自己紹介がまだだったわね」


妖怪めいた厚塗りサイクロプスがいかにも人間アピールでもあるように名乗り始めた。


「私の名前は香川(カガワ)満寿男(マスオ)。親しみを込めてカマ姐って呼んで頂戴」

「…わかりました」

「あら、素直な子は好きよ」


カマ姐。

苗字と名前の頭文字を取った呼び名なのか、そのままの意味なのかは判断つかないが、どうやらこの大柄の(オカマ)はそう呼ばれているらしい。

名前を知るとなんとなくこの人物への恐怖心が薄れた。

そうだ、こいつだって人間なのだ。どんな強烈な性格と見た目をしていても、それらで人柄を判断するのはまだ早いかもしれない。

チラリと顔を見上げてみると素人には到底出来ない綺麗な形のウィンクをかまして来た。


思わず面を食らっていると、カマ姐はそのままこちらに背を向け歩き出す。


「ついて来なさい。まずは社長に挨拶しなきゃね」

「は、はい」


しゃちょうにあいさつ…社長に挨拶か。


その意味を理解した瞬間、俺は強烈な不安に駆られた。

なにせ自分の会社に『ハイレグ熱帯魚☆エブリデイビビンバ』なんて巫山戯た名前をつけ、カマ姐のような面白人材を採用している人物だ。

どんな狂人かわかったものじゃない。


意を決した俺はカマ姐に話しかけた。


「あの」

「ん?なぁに?」

「社長ってどんな人ですか?」

「そうねぇ……」


質問を聞いたカマ姐は歩きながら黙り込み、しばらく考え込む姿勢をとる。

まさかそこまでヤバイ人物なのか…?


「ちょっと性格に難があるけど、とってもいい娘よ」

「性格に難、ですか?」

「性格に難というか残念というか……。うーん、その辺は見てもらった方が早いわね。でも彼女は決して悪い娘じゃないわ。会社創立からずっと一緒に働いてる私が保証する」


あんたの保証は当てにならねぇよ。

なんて言葉は声に出せる訳もなく、曖昧な相槌で誤魔化す。


「さ、ついたわよ」


気づけば目の前には扉。

俺は唾をごくりと飲み込み、二、三回ほど深呼吸。

そしてコンコンコンと、三回ノックした。


「入りたまえ」

「失礼します」


俺は扉に手を掛けた。



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