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女神様と異世界旅行  作者: 狂った機械仕掛け
1/1

No.1  おお、死んでしまうとは情けない。

脊髄で会話するとかいうネタだあるけど、私の場合は脊髄で考えて書いている気がする。

 俺の名前は如月 (かえで)よく女みたいな名前とか言われるが、ちゃんとした男子高校生だ。たとえ中性的な容姿や声だとしても女ではない、よくナンパされるが・・・。

 俺の日常はごく普通の高校生と同じようなものだろう。少し違いがあるとすれば幼馴染の鈴夏とは家族ぐるみの付き合いだったり、俺が多少武芸に長けていることだろう。あとオタクなことぐらいだな。うん、ごく普通の高校生だ。


 そんな俺のある日の登校中、突然頭に強い衝撃を受け、意識が途切れる。


 * * *


「おお、如月 楓さんよ。死んでしまうとは情けない」

「・・・」

「あの、あまりこっち見ないでくれますか、恥ずかしいので・・・」


 目が覚めると、周りがすべて真っ暗で何もない場所で唯一光がある場所に某有名RPGのセリフを赤面して話している美少女がいた。美少女は綺麗な金髪の腰ロングで碧眼、服装は白を基調としたロングスカートの装飾が少ないドレスって感じでどこか神聖さを感じる。まさしくかわいいを形作ったような少女で道で見かけたら男なら目で追ってしまうだろう。

 てかやっぱり俺は死んだのか。


「えっと、如月さん?」

「あ、はい。なんですか?」

「あなたは残念なことに死んでしま」

「それはさっき聞きました。それでこの後どうなるんですか?」


 オタクだから予想はつくけど。てかこの女神様かわいいな、


「あ、はい。それでですね。柊さんには二つの選択肢があります。一つはこのまま天国へ行くと選択し、そしてもう一つは私からチート特典をもらって異世界に転生するということでして、どちらにしますか?」

「転生します」

「まあ、そうですよね。では特典なのですが何にしますか?たとえば最強の聖剣とか、どんな魔法でも使えるとか、女の子にモテモテになるとかですね。あ、不老不死とか世界のバランスが崩れるようなものは制約とか下降補正がかけられますのでそこのところは注意してくださいね」

「わかりました」

「ではお決まりになりましたらおっしゃってくださいね」


 さて、何にしようか。聖剣とか特殊な魔法とか、できれば前例がない方がいいけど。特典を何にするか悩んでいると女神様がため息をこぼす。


「はぁ・・・」

「ん?どうしたんですか?」

「あ、いえ、なんでもないですよ。ただ」

「ただ?」

「私はいつまでみなさんを送り出せばいいのかなって少し思っただけなので。ああ気にしないでくださいね、神様として仕方のない事ですので」


 いやいや、気にするなって方が無理だわ。


「えっと、女神様はこんなところでどのくらいいるんですか?」

「そうですね・・・五百年過ぎたあたりから数えてないですね。あ、送り出した人なら数えてますよ、如月さんで丁度一万人目ですね」

「なんか、スケールがすごいですね。てか、それよりも一万人も送り出してるんですね」

「そうですね、異世界と言ってもいくつかありますし。それに送り出してもなぜかすぐに死んでしまうんですよね」

「聞きたくなかったです、そんな事実」

「あ、そうですよね・・・」


 五百年以上、そして一万人の転生者。普通なら誰かしら特典に女神様を選びそうなものだけども。


「質問ですけど、特典に女神様って選べるんですか?」

「えっと、無理ですね。理由はですね、まず私や他の神様が地上に下りると大幅に力が失ってしまい帰れなくなるのが一つで、もう一つは私はここに縛られているからですね」

「縛られている、というのは転生者を導くためってことですか?」

「はい、実は私は落ちこぼれで他の神様がやりたくないこの仕事を押し付けられて、えっと、私はこの仕事好きですよ。でもやっぱり」

「やっぱり?」

「たまには自由になりたいかな~って」


 ・・・かわいそう、というより不憫と言うべきなのか。とりあえず勝手だけど特典をもらうとしよう、で今ぱっと立てた計画がうまくいけばよしって感じだな。


「特典決まりました」

「はい、では教えてください」

「俺が想像したものを考えた通りのまま、無から制限なく瞬時に作り出すことができる能力で、具体的に想像した方がしっかりとしたものができて、簡単に剣みたいに想像したら能力が勝手に修正をかけてくれるって感じのやつでお願いします」

「はい、わかりました。えっと・・・ごめんなさい、制限がかかってしまいますけどそれでもいいですか?」

「どんな制限ですか?」

「えっと、三つまでは無制限でどんなものでも無から瞬時に作れます。それ以外だと作れるものの制限は生き物以外で材料になるものが必要になります。時間は想像したものの複雑さや大きさに比例しますね、手作業よりも早いぐらいですね。例えば剣だと刃の部分の鉱石や柄の部分になる木や紐が材料で、時間は最短1時間ですね。それでもいいですか?」

「はい、問題ないです」

「それでは目を閉じてください」


 俺は女神様に言われた通り目を閉じる。すると温かい光が頭に流れ込んでくる感じがした。その光が流れ込んでくると同時に能力の使い方などがわかるようになった。


「・・・はい、目を開けていいですよ。これで如月さんには<創造>のスキルが身に付いたはずです」

「ありがとうございます」

「えっと、あとは異世界での常識とかについてですが、実は私もそこまで詳しくないんですよね。えっと、如月さんのいた世界の中世ヨーロッパをイメージしていただけるとわかりやすいと思います」

「つまり、貴族制で王国とか帝国とかがあるって感じですかね。貨幣とかってどうなんですか?」

「そうですね、お金は白金貨、大金貨、金貨、銀貨、大銅貨、銅貨、銭貨があって銭貨が約10円ぐらいであとは十倍してくだけですね。白金貨だけは1億ですね。まあ大金貨一枚あれば普通の暮らしができるって感じなので白金貨については王様とかが関係するくらいですね」

「なるほど」

「えっと、これくらいでしょうか。後は私よりも如月さんのように転生する方の方が詳しかったりしますので説明することはないと思いますが。もし何も無ければ後ろの扉に入ってください、そしたらその先は異世界ですので」


 と、女神様はにこりと笑って言った。どことなく作り笑いっぽいけど。

 とりあえず異世界ははラノベとかとほとんど変わらないってことと、転生者はほとんどがオタクだということが分かった。まあそれはさておき、女神様に聞いておかないといけないことがあるな。俺は扉に近づきながら<創造>で作るものを考える。それこそ絶対に成功させる、失敗するわけがないという意志の元真剣に設定する。丁度扉の前に来たときに作るものが決まる、そして俺は計画の最後の仕上げとして扉を少し開け、女神様に振り向く。


「それでは、如月さんの第二の人生がよいものであることを祈ってます。もしまたどこかでお会いできたらいいですね」

「ええ、すぐに会えると思いますよ。あ、女神様少し目を瞑ってもらえますか?」

「えっと、こうですか?」

「はい、そのまま俺がいいというまで目を瞑っていてください」

「・・・わかりました」


 女神様は俺の言う通りに目を瞑る、最後の返事に少し間があったのはおそらく俺がここからいなくなっていると思ったからだろうか。まあいいさ、俺は女神様が目を瞑ったのを確認し<創造>を使う。

 作りだしたのはありとあらゆるものすべてを縛り付る、または捕えているものから解放する鎖を呼び出す鍵。この鎖は人や物はもちろんのこと。神や空間、時間、俺が思ったものを対象として使う。ただこれだけで女神様を救えるとは思えない。だから俺はさらに三つの効果をつけた。

 一、鎖の効果は俺の想いで強さが変わる。

 二、対象の心や意志、記憶、想いに反応し、それを共感・共有する。そしてそれを増減させやすくする。

 三、解放したものはすべて例外なく俺のものとして縛り捕え、主従を結ぶ。

 この三つでおそらく、いや絶対に女神様を自由に、もとい俺のものにする。うん、一番強い思いって自分の欲望じゃんだから後悔も反省もしてない。むしろよく思いついたって自分で自分をほめてるね。客観的に見たらなんだこれだけど。

 さてとまあ、作戦実行しますか。対象はもちろん女神様。そして俺は鍵を握りしめ、鎖を出しまくり女神様を縛りつける。


「きゃっ!な、なんですかこれ、如月さん目開けていいですか!?」

「まだ駄目です」


 てかなんで開けないのだろう、もしかして真面目ちゃん過ぎるとか。そう思ったとき、鎖を通じてか女神様の想いが伝わってくる。・・・ああ、何をしようとしているのかわかっているけど無理だとあきらめてるのか。そりゃそうだ、俺よりも先に誰かがやっているだろうし、何回もあったのだろ。もしかしたら同じ人が何回も挑戦できればあるいは叶ったかもしれない。だからこそ無駄だとあきらめているのか。でもわずかに残っている希望があるな。なら俺がやれることをやるまで。


「女神様、そのままでいいので聞いてください。もし女神様がここから自由になりたいなら、それをあきらめないでください。俺を信じて願ってください」

「え、でも、また」


 やっぱり簡単に思い通りにはいかないか。だがまあ、変化はあった。あきらめから一人になってしまう不安や恐怖へと。


「そんなに一人でいるのが嫌なら強く願え、もうそんなのは嫌だと!違う明日が欲しいと!強く願え!」

「わ、私は」


 ゆっくりと不安や恐怖が徐々に変化していく、抗うという意志、自由への渇望へと。あと少しだろう、あと一押しで。そう思っているといきなり扉が開き、俺を入れようと強風が扉へと吹き込んでいく。


「ちっ、何が何でも女神様は逃がさないってことかよ・・・、女神様!この後自由になったら何がしたい?何を見て見たい?俺はいろんなことがしてみたいが一番は女神様と旅がしたい」

「わ、私も旅がしたい、自由に旅がしたい!」


 不安や恐怖はわずかになり、今はしっかりとした旅がしたいという希望(願い)ができた。これならきっと彼女を解放できる。扉の吸い込みはさらに強くなりあと少しで俺は吸い込まれてしまうだろう、だからその前に彼女の願いを確実に叶えるためにも。


「その願いを強く、より強く願え!その願いは叶う!俺が叶えてみせる!だから」


 とうとう俺の体が地面から離れ、扉へと吸い込まれていく。だけどそんなの気にするか、もう彼女は解放されたようなもの、なぜなら今あるのは純粋な想いしかないからだ。だから、


「俺と来い!アリス!」

「っ!はい!」


 そして俺は彼女が光に包まれるのを見届けながら扉の中へと吸い込まれていった。


 * * *


「如月さん、如月さん」


 俺を呼ぶ声が聞こえ目を開ける。するとこちらを覗きこむ女神様の顔があった。体を起こし、周りを見渡すと、青く澄み渡っている空には双子の太陽、どこまでも続くような草原にはところどころに見たこののない花、遠くの方にある山々は見たことがない。こんなに綺麗な場所は元の世界でないことは明らか、つまり。


「よかった、成功したんですね。女神様」

「はい・・・」


 ん?何やら少しムッとした顔になった。


「えっと、女神様なんでそんな顔してるんですか、もしかして何か重大な問題が発生してるとかですかね?」

「・・・名前で呼んでくれないからです」

「は?名前?」

「はい、私の名前です」

「えっと、アリスさん」

「呼び捨てでお願いします」

「あ、はい。アリス」

「はい、それでは改めて。如月 楓さん、ありがとうございます。私をあそこから連れ出してくれて、自由にしてくれて。それで、その・・・」

「ん?」


 女神様は少し頬を染め、くいっと上を向いて首を見せてくる。女神様の首には鎖で出来た首輪のようなものがあった。・・・あれか、主従関係ってやつで勝手に首輪が付いたのか。


「えっと、なんて説明したらいいのか」

「とにかく、如月さん」

「は、はい」

「不束者ですが、これから宜しくお願いします」

「こ、こちらこそよろしくお願いします」


 アリスが深々と頭を下げて来たので、こちらも頭を下げて返事をする。・・・なんか結婚の挨拶みたいだと思ってしまった。


「あの、ところで如月さんはなんで私の名前を知っているんですか?確か自己紹介し忘れてたと思うんですが」

「あーえっと、それは・・・」


 俺は<創造>で鎖を作ったこととその効果を大まかに説明した。


「き、記憶とかも・・・えっと、もしかして」

「あ、その辺の言いにくい恥ずかしい事とかはまだ見てないから。あの時一番必要だったのは名前だったからそれ以外はよく見てない。ちらっと見ただけだから」

「見てるじゃないですか!もう何も見ないでくださいね、恥ずかしいので」


 見るなと言われると見たくなるのだが、まあいいか。これからの方が楽しいだろうし、もし話したくなったらそれを聞くだけだし。


「えっとそれじゃあこれからどうしますかね」

「私は如月さんの奴隷なんですよね、それにあの時如月さん、私のお願い叶えてくれるって言ってくれましたし」

「奴隷って、いや俺はそこまで鬼畜ではなくて」

「だから、私はあなたについていきますよ。楓さん」

「ん、まあいいか。とりあえずどっかの街を目指すとしますか」

「はい!」


 そして俺とアリスはここから旅を始めるべく、歩きだした。

女神様を無理やりさらいたくて書いた。

なんか色々変なことになった気がするけどまあいっか(´・ω・‘)

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