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Neon.Noir (ネオン・ノワール)  作者: ダイ
第一章
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第2話.B パート [ 力の発動 ]

廃ビルの前、遮蔽物として利用できるほど大きいピックアップトラックのスクラップの陰。


「クロ、プレデタースクワッドの現在地は?」

わたしは、腕につけたアームストロング端末で、

操っているアンドロイド達の現在地を見ている黒城に聞いた。

「睡眠ガスによる1階の制圧は完了、出入り口のドアを今、キリアが電子ドアを開けています。

もうじき進入可能になります」

黒城が端末を使ってアンドロイド達に指示を送りながら答えた。


 1階はこれと言って壁がなく、外装の割りには広々として、

睡眠ガスを遮れるものは柱と隅の階段近くの部屋の壁でしかなかった。

なのでプレデタースクワッドのアンドロイド達には、

侵入できそうな窓から、ガラスに向けレーザーを直射しつつ、

静かにガラスを切り取ってその穴から侵入してもらい、

内側を制圧し、出入り口を解錠してもらうというプランにした。


 「開きました、2つとも」黒城が端末に表示された画面を確認して

「よし、移動するぞ、シズク、警官のチームに1階へ移動すると伝えて」とわたしはそう伝えた

「わかった」 とシズクが、持っていた無線に向かって

「チーム・ヴィジランテ、一階に進む、どうぞ」と応答している間、

わたしは先に建物の中へ入ると、もうあまり使われていないようなレジスターと

元々は揚げ物か何かが乗っかったケースとか、後は商品棚ぐらいだが商品らしき物は何もなかった。

恐らく空間の広さからしてまだ1階の3分の1辺りでしかない。

トラップやカメラもなさそうだと確認して、わたしは銃を構えながら奥の通りへ進むことを考えた。

進む前に電脳回線から黒城を呼び出した。

「クロ、2人とも合流して、こっちは今のところ問題はない。

それとプレデター隊には、制圧した部屋から武器を1人ずつ、

金品等の戦利品を回収して待機車両に持ってくるよう指示して、持ってきたポンコツとすり替えといて」

わたしがそう電脳内で伝えると

『了解です、そこで待機してください・・・フフッ、相変わらずですね』

と電脳回線を通して黒城が言う。

「感覚が"帰ってきた"って感じだ」とわたしは返事をした。


*

  後に制圧した1階のフロアにて、警官チームと合流した。

「流石はヴィジランテ、おかげで早めに踏み込めそうだな」

白い狼犬のような耳と尻尾の生えた長身の男、獣然刑事が安心したようにそう言った。

「ジュウゼン刑事、ユダンはできないヨ、ねぇウミハラ?」

外国人の女性隊員、カミュはそう獣然にツッコミのように警告して、

獣然の部下である1人の海原に振った。

「そうですね、問題は上階のフロアですから」

と海腹はまだ使ってもない装備を念入りに確認しながら返事した。

「あの・・・3人だけで大丈夫なんですか?」とわたしは聞いた。

「あぁ、それに君達やエージェントらがいるから、我々も段取りよくやれば逮捕できる。

それに応援は呼んである、すぐに到着するさ」と獣然は頷き、そう言った。

「あっ、そうだ。ガスマスクは持って来ました?」とわたしは獣然らに聞いた。

「なぜだ?」と獣然が聞くと、「コレを使うので」とシズクが

Halothane<ハロタン>とアルファベットで書かれた睡眠ガスグレネードを1つ見せた。


 『ヴィジランテ、こちらアローヘッド・1!待ち伏せを喰らって主任が連れ去られた!3階にいる!』

と突然、無線が入る。声の主は恐らくアドバイザーとしてアローヘッド者のエージェントチームに雇われたウルフで、彼は生身の人間であり、電脳での無線は勿論できない。

「了解、真ん中辺りのフロアが連中のいる2階のフロアの真上だ、ガスを流し次第合図するから

ウォールハックを使える人に敵の位置を把握してもらって床を壊して上から突入して」

とわたしは冷静に返答した。

『了解!こちらにウォールハックを使えるヤツが1人いる。待機する、オーバー』

とウルフは無線を一旦終わらせた。


ガスマスクを装着したわたし達は2階に着くも、見張りがいないことに警戒する。

散開して睡眠ガスグレネードを設置或いは投擲するようそれぞれに伝えた。

2階の大広間のような部屋に繋がっているであろう廊下側の通気口の前に睡眠ガスグレネードを、

安全ピンを引き抜き、通気口前に置いた。

置くとガスが徐々に噴射されていき、手で2回ほど、

ガスが部屋の中へ届くように扇ぎ、その場を去った。

部屋の出入り口の木製ドアの前に立った頃には中にいる人間達が動揺するような声が聞こえ始めた。

わたしは無線で「こちらヴィジランテ、準備はいい?」と言うと

無線から『アローヘッド・1、行くぞ』と返答が来た。

返答があると、爆発するような音が中から聞こえ、

それと同時にわたし達はハンドガンを構えて銃口を前方に向けたまま、部屋へ突入した。


 「動くな!」「警察だ!!」

とわたし達は声を上げたが、ちらっと見回す辺り敵やその仲間は持っていた武器を落とし全員眠っている。

ガスの効き目が良かったのか、誰かが逃げたような様子はない、制圧完了だ。

部屋の隅っこには、連れ去られた堀内主任が眠らされていた。

降ってきた少しの瓦礫の上に立つウルフは自前の7.62ミリミニガンの回転を静まらせ

「そっちはまだ発砲すらしてないようだな、こっちはめちゃくちゃだった・・・やれやれ」

と安堵したような笑いをしながら言った。

「制圧完了・・・ふぅ」


 後に数分後、

エージェントたちは眠っている敵達が起きないようにケーブルタイで拘束している。

勿論、主犯であり、過激派のリーダー、マードックもまんまと眠らされていた。

わたしは感情的になり眠っているマードックの頭を、髪の毛を掴んで壁に数回叩きつけた。

「おい落ち着け」と獣然がなだめに来た。

「貴女の気持ちはわかるが・・・」とゴーグルを掛けたエージェントが同情した。

「地獄に送ってやるわ」とわたしは怒りを静めながら呟く。

「・・・これ、この壁はホログラムです」と壁に負傷させて出たはずの血が、

少しすら着かなかった不自然な壁のことをシズクが指差した。


 ハンドガンを持って不自然な壁のホログラムの裏側に首を突っ込もうとすると、

今いる部屋よりは少し小さい部屋があって、そこには敵は居なかった。

と思ってわたしは1人で部屋の奥のほうを覗く。

通路が続いていたので、ホログラムの内側に入って用心しながら進んだ。

弾薬や武器、食料が僅かながら置いてある。

通路の行き止まりである部屋に行くと、誘拐されたと思われる研究員やアローヘッドの関係者が数人

横になっていた。

「君は見たこと無いな・・・た、助けにきてくれたのか!?」とロープで手を縛られていた男が

足だけでなんとか立ち上がり、他の研究員達は安堵して笑みを浮かべたり、涙する者もいた。

「えぇ、お怪我はありませんか?」と聞きながら研究員達の手に巻きついたロープを、

手を切らないように切り解いていった。

「ああ、皆大丈夫だ。ここに閉じ込められて、どうなるかと・・・思ったが・・・」

と男は手に持っていた鍵?らしき物を見て一息して言った。

「無事で何よりです、さぁこちらへ」とわたしは言い、エージェントらがいる部屋まで誘導していった。


 武器と人質がいたことを伝え、ほかにもホログラムで誤魔化している部分がないか

刑事やエージェントたちは探っている。

エージェントの1人は黒い箱を抱えていた。アレが奪われた装置なのか。

そんなことよりも、

外にはちょうど今到着した警察の応援が駆けつけていたところだし、装甲バンも一台来ている。

「わたし達はずらかる方がいいのでしょうか?」

と持っていた銃からマガジンを抜き取りアーマーのポーチにしまいこんで、撤収の準備をしていた。

「そうだな、こいつらの連行と、主任を病院へ搬送するとか・・・あと捜査もしなければならないから

ここは俺らに任せてくれ、おい海腹、彼女らを送っていってくれ」

「了解です!」と獣然刑事に呼ばれた部下の海腹は「ささ、僕が外まで送っていきます」

と外にいる警察にもわたし達は協力者であることを示してくれそうな頼もしい彼は部屋を出て、

わたし達は海腹の後に付いて行く。


*

 わたし達は海腹や他の警官達がいる現場を後に、リムジンがある路地へ戻った。

リムジンがあるのは見えたが、その後ろに見慣れない、いかにも高級車というやつなのか。

黒い4ドアの外車があった。

その外車から3人の女とが降りてきた。しかもその2人は武装している。

「わたし達は敵ではありません」

と黒髪の背丈の少し長い、凛々しい女性が穏やかな口調で言った。

その優しい表情に対して冷気を纏っている。

彼女の足元に霜が出来始めた。

「意外と早かったわね、待っていたわ」

と鍵が掛かっていたはずのリムジンから降りてきた風作が、

長い茶髪を手でさらっと掻き揚げてそう言った。

「ちょうどこちらの方と話していたところよ。はい、これが今回の報酬ね。

後は銀行の貴女のところに送っておくからね」

胸から封筒が分厚い1封と、後ろに置いてあった封筒が2封、1人1封ずつってことか。

でも銀行って・・・送金してくれるのはいいが、教えた覚えすらないとわたしは疑問に思った。

「銀行って・・・そんなの教えた覚えが・・・」

とわたしが言いかけると風作が遮った。

「事前に調べておいたの」と豊満な胸を強調させるような仕草をしながら答える。

この美女の裏には野獣が潜んでいそうだと思い、怒らせてはいけないと戒める。

「もちろん貴女もよ、シズクさん」とシズクがファッ!?と驚かせた。


軽く抱きついてきた風作が

「さて、そろそろ解散しましょうか。

もうじき来るマスコミには貴女達の関与を伏せておいて警察と会社の私兵達が解決したってことにします。

またね、マキナ」とわたしの頭を撫でてから、後ろを向いて歩き始めた。

「あの、一つ聞きたいことが、いいかしら?」

と歩こうとした風作に声を掛けた。

「今回の件は、本来は社外秘に近いからあまり深入りしないほうがいいわ、私も知らされてないし。

それに私のことはリュウコって呼んでもいいわよ」

と風作・・・じゃなくてリュウコはこっちを見て両手を後ろに回し、手を組んでそう言った。

「マキナ、本当にわたしのこと知らないんだ・・・ウフフ、"楽しみ"ね」と再び背を向けて呟いた。

リュウコは停めてあった外車の後部のドアを開けて乗った。

「さぁ、わたし達もいきましょうか」と黒城がそう言ってリムジンの後部のドアを開けた。


*

 走行中のリムジンの中から、夕方近くの街並みをボーッと眺めていた。

ビルの高層のホログラムビジョンで映し出されている巨大な人やその企業がアピールする商品が投影されて

飾られているビル街がそこから見える。

と、いつの間に見慣れた住宅街を通りかかっていた。

「この辺でいいわ」とわたしは自分の家の近所にある空き地で降ろしてもらうよう言った。

「あっはい、わかりました!」と言って黒城はアンドロイドのドライバーにリムジンを一旦停車するよう指示した。

わたしはリュックを右肩に背負い、リムジンのドアを開けて腰を上げた。

「今日はおつかれさまでした、またお会いしましょう」と黒城は軽くお辞儀し、手を振った。

「またいつか、ね」とわたしは言い、ドアを閉め、後にした。


歩いていると電話の着信音が突然鳴った。

右ポケットから取り出すと[筆崎 水絵]の名前が表示されていて、急いで電話に出た。

『マキナ、今大丈夫・・・だよね?』と何か聞きたそうに

「うん、あ・・・ごめんね、この間の・・・やりすぎだよね」とまず言いたかったことを言った。

『正当防衛として済んだんだし、皆を守ろうって思ってやったことなんだろうから

・・・正直に言うと映画に出てくるような人みたいだなぁって、カッコよかった。

だから深く引きずらないで』と言ってくれた。

『来週の・・・何時が良いかなぁ、とりあえず大学の後に何処か出かけない?』

「あー・・・っとわたしは来週なら何曜日でもいいけど」とわたしが言いかけると

『じゃあ水曜日にしよ、寄り道程度だけど』と水絵が提案する。

「わかった。・・・水絵はわたしが守るよ、愛してる」

『いつまでも大好きだよ、元気そうでよかった、またね!』と嬉しそうに言って、水絵は電話を切った。


「あっ、お姉ちゃんだ。何ボーッとしてんの」と妹のリラが少し笑いながら後ろから声をかけてきた。

「いや、・・・別に」と返事した。

「といいつつ、赤くなってるぞ」とリラが背中をちょいちょい突いてくる。


家に帰ると、お母さんとママはまだ帰ってきてなかった。

ということはわたしが今日は夕飯の支度をするしかなさそうだ。

おまたせしました。やっと、霧が良い所で・・・やったぞ。

最近、「バブルガムクライシス」という全8話のOVAのアニメを知りました。

何に近いって言ったらいいか、アイアンマンの女性版の「アイアンハート」か。

「セーラームーン」か「プリキュア」とか・・・

美女達パワースーツ着て悪に立ち向かう点を思うと、まぁこんな感じです。

もう少し見てみようと思います。

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