『ウサギ』
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━目が覚める━
「ふぁぁ~」
今の時刻は6時30分学校には余裕を持って登校するのが俺の日課である。階段を降りてリビングに入る。
「おはよ、母さん」
「あら、おはよう隼人。」
もう母親が朝ご飯を作って待っていた。うん、優しい母さんで良かった。昨日もそんな事を言ってなかった?そんな事を思いながら「いただきます」とまだ眠気の残る声で言って、まずは味噌汁を飲む。豆知識だが味噌汁を飲んでから他のものを食べるとそれ以降の消化が良くなるらしい。
「ごちそうさまでした、っと」
今の時間は7時00分
少しテレビのニュースを見ながら着替えを始める。
今日は雨が強いらしい。いつもより早めに家を出た方が良さそうだ。
着替え終わったらぼーっとせずに7時25分に家を出る。
「いってきまーす」
俺の家から学校までは徒歩で15分くらいだ。途中で大きな交差点がある。そこで8分ほど待っていると
「ごめ~ん、遅れちゃった~。待った?」
「ああ、待った。8分待った。俺の8分が無駄になった上に5分早く来た俺の努力も無駄になった。」
「また隼人はそう言うー。ってかこれで2日目。ま、ごめんね。じゃ、行こっか?」
彼女はそっと手を差し出してくる。
手を繋げってのか、
「あいよ」
差し出された彼女の手を握ってやる。こんな状況でも握ってやる俺、優しい。なんて奢った態度を取っているといけない。
自分で自分を戒めながら、他愛もない会話をしながら学校に着く。
「んじゃ、俺は朝練してくからまた教室でな。」
「雨なのに朝練?大変だね……」
いかにも「可哀相だな」という表情で言ってくる。
「んまあな。雨で朝練やめる程度のヤワな人間じゃないよ」
「流石は隼人っ!カッコイイ~」
まったく……
今日はわしゃわしゃ必要なさそうだな。うん昨日したし。
「んじゃ朝練行くから。」
「うん、頑張ってね♡」
「おうよ」
━昼休み━
「ねーねー隼人ご飯食べよっ!今日も作ってきたから」
「まじかよ!?サンキューな。今日はなに?なに?」
「お前さ、僕の存在忘れてない?あと、お前食事に関することになると性格変わるよな。」
「うるさい。うるさい。うるさーーーい!俺は飯が食いたいんだ!」
「ホント隼人お腹空きすぎ、まあ作ってあげたからね」
今日の昼飯は
ご飯、卵焼き、唐揚げ、ブロッコリー、んで野菜
あと
「……トマト」
「どうしたの隼人?」
彼女は笑いながら聞いてくる。
「一昨日も昨日も今日もトマトーーーーー!俺はトマト嫌いだって何回も言ってるのにー!」
「食べなきゃダメです。いいね?」
「ってかさ、これ昨日と同じメニューじゃない?」
「あ、あ、言ったね隼人!言っちゃったよ。言っちゃいけないことを。」
「じゃあ何か事情あったのか?」
「いや、自分でも分からないんだよ。ただお弁当を作ろうとしてたら、『これ前の話コピーしてやってるからさお弁当のメニュー変えるのやめてくんね?』って聞こえてきて怖くなってそれで、それで……」
「ストッッッッップ!これは聞いちゃいけないことを聞いた気がする。よしいいか?今の事は忘れよう?いいな。いや忘れなきゃいけない。わ、か、っ、た、な?」
「突然どうしたのさ隼人~。怖いよ」
ハハッと笑いながら彼女とまた飯を食う。
いつもの昼休み。うん、そう日常。
━部活後━
俺はサッカー部に入っている。部活が終わり部員と話し終わると俺はある場所に行く。
そううさぎ小屋だ。うちの学校ではうさぎを飼っている。ほんとにうさぎって癒されるんだよなあ。このうさぎ小屋のうさぎを見て癒されて帰る。
「ホント今日なんで部活あんだよ……雨だろ雨。どこのブラック企業かよワ〇ミかよ……ブツブツ」
こういう日はほんとにウサギを見るに限る。
うさぎってホント癒されるしそこには誰もいない。
うさぎ小屋にたどり着くとそこには先客がいた。
うさぎ小屋の中で右手うさぎの首根っこを掴んで左手には光り輝く鋭利な……
カッターだった。
「え……」
その言葉が僕の口から出た時、うさぎから限りなく黒に近い赤の液体が流れ出る。
カッターを持った人間が顔を上げる。
その顔は多分この高校生活で1番親しくしている、互いに親友の契を交わした、
『彼』だった。
「おい……どうしたんだよ。お前。な、なんの冗談だよ?俺が来るの知っててあえていたずらをしてるんだろ?」
『彼』は答えない。でも焦りとも言える表情を『彼』は浮かべている。
「なあ、答えてくれよ。お前……俺ら『親友』だろ?」
瞬間、『彼』の背中がビクッと震えた。
『彼』は俺の方を見る。
『彼』の顔から焦りの表情は消えていた。
『彼』は笑っていた。
「ハハッ、もうどうでもいいや。お前さ、踏み込み過ぎたよ。だめだよ。ここは『陰、闇』だよ。君みたいに『光』が強くてすぐ後ろにより濃い『陰、闇』があるなんて信じない、いや信じられない人が来るような場所じゃないんだよ?でも……まっいいか」
『彼』は笑いながらカッターを俺の方に向けてくる。
「もう1度聞くぞ。なんの冗談だ?」
「あっそうだ。俺ら『親友』なんだろ?」
もうダメだ……『彼』は俺の言葉に耳を傾けてくれる気がしない。
また『彼』は口を開く
「なあ『親友』だろ?取引、いや交渉をしよう」
━明らかに一方的すぎる方法でね
『彼』はカッターを捨てない。
『彼』に何があったのか。俺は知らない。
ただ今まで愛してやまなかった平和な日常は崩れ去った。