『保健室』
お久しぶりですっ秦野です!
今回はいつもよりちょっと、ほんのちょっと多めに書いたんです!(?)
わからない点など感想とか活動報告のコメントだったりで聞いていただければお答えしますので、よろしくお願いします。
はぁ……俺は何てことをしたんだ……昨日の今日であんな重大なことを忘れるなんて……っ
隼人は保健室のベッドの横で伊織を見守っていた。保険室の先生曰く疲れてるだけだと言われたけれど、伊織が負ったストレスは結構な重みを持っているのではないだろうか。伊織自身昨日はメールの件だったりで眠れなかったのかもしれないが、それよりも自分の不甲斐なさを悔いている。自分で守ると決めたのに……笑顔が見れただけで浮かれて、自分のしたことさえ忘れて、それでもって伊織を傷付けた。ただただ自分が不甲斐ない、そう思った。
ベットで寝てる伊織の顔は穏やかで安心しているような顔だけれども伊織の心がどうなってるか俺には知る由もなかった。俺に出来るのは伊織の温かい手を握って『彼女』の平穏を祈ることだけだった。
コンコンコンっと不意に保健室のドアがノックされた。保健室の先生は朝礼かなんかでいなくなっている。俺はそっと伊織の手を離してドアの方を向く。誰も入ってこない。おかしいなと思ってドアの方に向かっていってドアを開ける。そこにいたのは誰でもない、そう『彼』だった。
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「で、何の用?俺はちょっと忙しいんだけど……」
「キミさあ何様のつもり?自分で傷つけたんでしょ?自分のしたことさえ忘れて、ははっ笑えない冗談だよ、あんな滑稽な倒れ方をする人間がこの世にいるなんてね」
「っ……」
『彼』に返す言葉が見つからなかった。形的には『彼』が、俺を不当に支配してる様なものだけれども今言われている事は全て真実だ。保健室を出た所の廊下で『彼』は笑って俺は唇を噛み締めている。
「まあいいや、過ぎたことは変わらないっていうじゃん?1回こういう悲しい事忘れてさ、リセットして始めようよ、ね?」
『彼』は俺に歩み寄るように俺に言葉をかけてくる。
どうするべきだろうか……リセットと言われてもこの状態を元通りにすることは出来ないし、ましてや時間が戻ったりはしない。
「ちょっと~戻ってきてよ。そんなリセットって言葉に惑わされないでよ。ただもう一回やり直すだけだから」
「……は?」
『彼』はいかにも疲弊したような顔をして
「いい?今キミはキミの『彼女』、まあ守りたい人を傷付けた訳だよ。それを『無かったこと』にしようってことだよ?それでまたクラスを壊そうとするだけ。これはなんていうか僕自身『約束』は守らないとって思ったからなんだけどね」
……つまりはこういうことだろうか。俺達は『彼女』━深山伊織を傷付けないという『約束』を交わした。ただこちらの不手際で深山伊織が傷付いてしまった。そうすると『約束』に反するからいけないと。ただこれが不慮の事故だったから無しにしようと。
なるほどわからん。『彼』がどんな思想を持ってクラスを壊そうとしてるのかなんて事を知らない人間には分からないのかもしれない……
ただ、話の意味はわかったので気を取り直して俺は『彼』に話しかける。
「今、クラスの状態はどうなってんの?」
「おー、キミからそんな質問を聴ける日が来るなんてっ……僕は嬉しいね。そうだね……今のクラスは一言で言って酷い状態だよ。まあ第一発見者御一行が先生に報告したりしないで保健室に行ったおかげで、第二、第三の発見者がドンドン生まれてった。まあそれだけなら普通なんだけど、先生への報告が遅れたせいでクラスの3分の2位はこの事実を『見ている』んだよね」
『彼』は嬉々とした表情で、俺に対してクラスの状況を話してくる。クラスは結構動揺しているみたいだ。俺らの努力が報われたのかもしれない……
「で、その後の雰囲気は?」
『彼』は少し考え込んだ後
「サイアク、だね。ふふっははっまあ無言。無言だよ、」
「そうか……ありがとう。俺らの努力が報われたのかもな。これからもやっていくか……」
「……そろそろ戻ったら?『彼女』が可哀相だよ?」
「そうだね、んじゃーな」
そう言って俺は『彼』と話し終わって保健室のドアを開ける。さっきまで伊織がいたベッドへ向かうとそこに伊織はいなかった。
「え?伊織?」
「ふぇっ!?どうしたの隼人?って戻ってきたんだ~。どこいってたのよ!?」
「ごめん、トイレいってた。」
怒っているような伊織を見ながら俺は少し安心した。いつも通りの伊織だ。
━この時彼は気づいていなかった。自分の思考がだんだんとあちら側へ行っている事も、『彼女』はなぜ俺が保健室から出ていたと知っていたのか、そして……廊下で話していた時に二人に向けられていた『視線』に……
さあ、そろそろ佳境なんじゃないでしょうか……
頑張っていきますよ!