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かみがみ〜最も弱き反逆者〜  作者: 真上犬太
かみがみ~Warmonger編~
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14、巨獣狩り

「どうした、そんな面して。俺に会ったのがそんなに驚いたか?」

 鈍色の鎧に身を包み、片手にした剣をぶら下げ、男は奇妙な笑顔を浮かべていた。

 喜びとも、怒りとも取れる、曖昧な口元のゆがみ。

「お前、勇者、手下、なったか」

「ああ、そうだぜ? 神様の力で、勇者になったんだ。お前とおんなじだよ」

 両腕に感じる痛みは、治癒の力のおかげで軽減されつつある。傷口を見たが、どうやら毒が盛られている形跡は無い。とはいえ、状況はそれを差し引いても最悪だった。

「なるほど。自動で傷が治るとは聞いてたけど、すごい回復力だね」

 皮鎧と長剣で武装した女が、ポローの左に陣取る。その右には立つのは、森で投げナイフを放った男だ。痩せて背が高く、体のあちこちにナイフを差していた。

「絶対やったと思ったんだが、さすがに戦いなれてんな」

「だが、弓は捨てさせられたな。次は俺達の番だ」

 戦槌を抱えた大男が、太い声で宣言する。ベルガンダよりは頭一つ分小さいが、重い鎧に身を包んだ姿は威圧的で、自分の打撃程度では怯みそうもない。

「戦力を徹底的に削いで倒す。基本だけど、このコボルト相手には念入りにね」

 背の低い小太りの男は、手にした杖から考えて魔法使いか何かだろう。

『なるほどな、こいつは厄介だ』

 呆れているのか、感心しているのか、竜神は重々しく告げた。

『シェートよ、まともに相手をするな。こやつらは、そなたを倒すために"知見者"が育てた連中だ』

「お、俺を?」

『正確にはベルガンダとそなたを、であろうな。通常の兵士では相手をしにくい魔物を倒すために作られた、特殊ユニットだ』

 大男が戦槌を構え、こちらを睨みつける。魔法使いは視線を遠いものにして、魔法への集中を高めだした。

「逃げ道を塞ぐのは任せたぞ、隊長」

「分かってる。メシェ、ファルナン、気を抜くなよ!」

 軽戦士たちが背後を囲うように散る。大男はゆっくりとした動きでこちらとの距離を詰め始めた。

 鈍重そうな見た目どおり、こちらについてこれるような動きではない。問題は、その背後に立った魔法使いだ。

『一気に駆け抜けろ! 魔法使いにけん制の一撃を浴びせて、詠唱を封じるんだ!』

 言われるまでも無く、シェートは油断無く腰を落とす。弓はなくなったが、まだ矢が残っている。

 そろりと指を矢筒に伝わせると、引き抜きざまに一本、大男に投げ放つ。

「ふんっ!」

 構えていた戦槌を引き付け、柄の部分で矢が叩き落される。

 その瞬間、すでにシェートは鎧の脇を駆け抜けていた。

「レアドル!」

「分かっている!」

 詠唱に集中する魔法使いを横目に、川へ向かって走る。

 その背後で、強烈な殺気が膨れ上がり、

「ぬおおおおおおおおおおおっ!」

 咆哮と共に叩きつけられた戦槌が、河原を爆発させた。

 砕けた石や土くれが激しく飛び散り、シェートの背中に叩きつけられる。

「あぐううっ!」

 同じ威力が魔法使いと鎧の戦士を襲うが、その全てが魔法の壁と、分厚い鎧に弾かれていく。

「もう一発っ!」

 踏み込み、こちらを叩き潰す勢いで戦槌がシェートの上に降る。必死に避けた眼前を鉄の塊が抉り取り、大地が再び破裂した。

「ぐあああっ!」

 加護を掛けた腕を前に必死に受けるが、それでも勢いを殺しそこなった石が骨と筋を痛めつけ、受け損なった瓦礫が腹を激しく叩く。

『シェート! せめて魔法使いだけでもっ』

 痛みを堪えて矢筒に伸ばした手が空を切る。頼みの綱の飛び道具が、光の鎖に絡まれてむしり取られていた。

「本来は捕縛に使うんだけどね。こういう裏技もあるってことさ」

「くそっ」

 残った武器は腰に下げた山刀と【荊】だけだ。鎖に取られないように手で押さえ、必死に鎧姿から距離を取ろうと飛び下がろうとした。

「よそ見してんじゃねぇよっと!」

 いつの間にか背後に居た痩せ男がナイフを投げつける。体を振って避け、腰の【荊】を振りかざして残りを叩き落す。当たらなかったいくつかが、大男の鎧で火花を散らした。

「当たっても問題ないが、ナイフが飛んでくるとヒヤッとするな」

「このぐらいしねぇと、コイツの隙なんてつけないだろ?」

 軽口を叩き合いながら、鎧男と痩せ男が、自分を挟むように立つ。その左右を、ポローと女戦士が塞ぐ形になった。

 わずかな間に、形勢は圧倒的に不利になっていた。

 森で襲われた時に弓を失い、矢筒も魔法使いが川にほうり捨ててしまった。相手に近づかずに戦う方法は、手にした鞭だけ。

 鈍重そうな鎧男は、河原の石を粉砕して飛ばすという方法で、こちらのすばやさに対応してくる。しかも、その防御力を使って壁役となり、ナイフ男との挟み撃ちを可能にしていた。

「さて、次はその鞭も捨ててもらおうかな?」

 大男の影に隠れて、魔法使いが杖をかざす。

 破術で防御は可能だが、常に全身を覆い続けることは負担になる。しかも、さっきのように隙を突かれれば、山刀も奪われてしまうかもしれない。

「ちょっと待て。次は俺にやらせろ」

 それまで、一歩引く形で立っていたポローが、抜き身を片手に近づいてきた。

「今回の作戦は遊びじゃないんだ。分かってるんだろうね」

「ああ。だが、コイツはあくまで、魔将の前哨戦なんだろう?」

 会話を区切るように無造作に切っ先が跳ね上がる。反らしたシェートの顎を剣が掠め、踏み込みと共に顔面に刃が降る。

 飛び退った空間を銀光が断ち、ポローは顔に驚きを浮かべた。

「なるほど。さすが神の勇者ってことか、そこそこ動けるみたいだな」

「そりゃそうだろ。多分なんかの加護がついてるんだろうさ」

 正直、避けられるとは思っていなかった。

 この二ヶ月近く、ベルガンダとその部下たちに小突き回されたおかげだろう。武器の間合いが自然に判断できていた。

「だが、こいつぐらい、ねじ伏せられなきゃ、魔将なんて夢のまた夢ってことだ!」

 嬉々として叫び、飛ぶような速度でポローが近づく。

 鋭い剣閃、右肩に降る一撃をのけぞってかわす。【荊】を握った手を切っ先がかすめ、血の赤が虚空に散る。返した刃が横に薙ぎ、腕の皮が浅く切れた。

「おら! どうした、避けてるだけか!?」

 打ち下ろされた一撃が太ももを裂き、鋭い突きが肩を削る。その動きに合わせて大きく振るった鞭を、ポローは安々と叩き落した。

「くっ」

「どうした、そいつで俺の剣を絡め取りたいんじゃないのか?」

 手首の返しを効かせて手首を狙うように振るう。刃とミスリルの棘が激しく火花を散らす。跳ね返った鞭を更に叩きつける。ポローの剣がしなる【荊】を苦も無く叩き落す。

 シェートが体をひねり、腕をふるって縦横無尽に鞭を振るう。

 その全てを、ポローがいなし、叩き落し、傷一つ負わずにかわし続ける。

「くそっ!」

「そらそら! どうしたどうした!」

 鞭の反撃を超えて、再び刃がこちらの体を削り始める。

 体中に無数の刀傷が走り、シェートの体はいつの間にか血のまだらに染まっていた。

「……経験値稼ぎのつもりかい、ポロー」

 だが、焦れたような女の声が届き、ポローの剣舞が止まった。

「今回の任務はそいつの排除だ。稼ぐなら別のところでやりな」

「分かってるさ。だが、こいつとちょっと斬りあっただけで、かなりのポイントが」

 そう言った途端、ポローの首元から、軽快なメロディが流れる。

「ほらみろ。またレベルが上がったぜ」

「まったく……アンタって奴は」

 明らかに余裕を感じる会話。周囲の連中も、こちらの劣勢に余裕の笑みを見せている。

 斬られた部分が、ちりちりとした感覚と共に再生していくが、体に貯まり続ける疲労感は拭えない。息が次第に荒くなっていく。

「それに、こいつにはちょっと思うところがあってな」

 ポローは剣を構えたまま、何かを確かめるようにこちらを見つめた。

「面白いもんだよ、実際。狩り殺されるだけに生きてるコボルトと、ひねり潰されるために生きてきた山出しの元農民が、こんな風に命のやり取りをしてるんだからな」

 男は喉を鳴らし、くぐもった笑いを漏らした。

「だが、こうして力を手に入れて、自分の思う様を出来るってのは、中々気分がいいぜ。確かに、ガキどもが夢中になるのも分かるってもんさ」

 唐突に、この男がコボルトの群れを襲撃したことを思い出す。そして、ここまで来る間に、鈍色の刀身が曇るほどに、無数の魔物の血を浴び続けたことも。

 鈍い怒りがこみ上げ、敵対者をきつくにらむ。

 対した男は、物怖じもせず問いかけてきた。

「お前は、どう思う」

「……なにがだ」

「勇者になった自分を、どう思う」

 脈絡の無い問いに一瞬意識を取られ、あわてて目の前の状況に集中した。周囲の人間は見届けるように、黙って立っている。

「たくさんの勇者を、ガキどもをぶっ殺してきたんだろ? そしてお前は、力を手に入れた。どんな気持ちだ?」

 勇者の力。

 それを手に入れるために、失ったもの。

「何も」

 返した言葉に、冷たさと悲しみだけがこもった。

「なにも? なにもないってのか?」

「俺、力欲しい、思わない。俺欲しいの、違う」

 願いを、幾度も願った一つのことを口にする。

「仲間、家族、愛した人、暮らしていけるとこ、それだけ」

 そうあればどんなによかったか、決して届かない願いを。

「……ハッ」

 突然、肌を貫くような怒気が、大気にあふれた。

 男の形相は、怒りと侮蔑の笑いを彫りこんだ、奇怪な面に変わっていた。

「くっだらねぇ! てめえも大概、いじましい魔物だなぁ、ええ!?」

 構えた剣が怒りに震え、ポローの唇が罵声を吐く。

「死んじまったもんを、無くしちまったもんを、ぐちぐち並べ立てやがって! 力がいらねぇだ? それが無かったから奪われたんだろうがっ! 寝ぼけてんじゃねぇぞ!」

 恫喝が毛皮をなぶる。

 狂った犬のように吼えた男が、荒々しく一歩踏み出した。

「力がいらねぇってんなら、俺が貰ってやるよ。お前をこの場でぶち殺してなぁっ!」

 気迫に押されて、思わず体がこわばる。

 豹変した男に向かって、女はどこまでも冷静に叱咤した。

「勝手に熱くなってるんじゃないよ。そろそろ仕事に集中しな」

「……分かった。ディトレ、仕掛けるぞ!」

「了解。"別ちがたく、断ちがたきもの、其は真理の縛縄、宿命の桎梏"」

 魔法使いの男が唱える呪文に、杖の先が金の輝きを宿し始める。

 そして、目の前のポローは、剣の腹に左手を当てた。

「"我が言の葉に寄りて宿れ"」

 歌うように、目の前の男が呪を紡ぎ、刀身を撫でる。

「"もつれし綾を断つ如く、霊肉の契りを切り裂かん"」

 冴えた青の輝きが剣に宿る。剣に施された強化の威力が、肌をちりちりと刺す。

 全員の敵意が五感に押し寄せる。一瞬のうちに逃げ場をふさがれ、ポロー以外の三人は壁役に徹している。

『シェート! 捕縛の魔法!』

 サリアの警告が飛び、とっさに【荊】を体に引き付ける。

 だが、輝く鎖は武器を持った手首ではなく、シェートの全身をからめ取っていた。

「くっ!」

 魔法使いが鎖を引き、体勢が崩れる。破術がいましめを散らすが間に合わない。前のめりになった無防備な背中が投げ出される。

「死ねっ」

 剣が降る。視界が傾き、ポローの脇が異常にくっきり見えた。

 がら空きの、無防備なわき腹が。

「おおおおおおおっ!」

 前のめりになりながらシェートが地を蹴る。

 おぞましい殺気に背中がなぶられ、その全てから全身を引き抜き、右手を思い切り叩きつける。

「ぐああああっ!?」

 不快な異音がシェートの脳天に響き、火花と共にポローのわき腹が激しく削られた。

 勢いを殺さないまま大きく体を回転。先端の鉤が加護の白に輝いて、鎧の表面で閃光と共に爆ぜる。その勢いによろめいたポローが驚愕しつつ後退した。

「なんだっ、今の動きは!」

 とっさに全身が反応していた。

 繰り返し言われてきた『すり抜けながら斬る』の動作は、全く形状の違う武器でさえ威力を発揮していた。

『交差法、という奴だな』

 大きく鞭を振り回し、包囲をわずかに広げさせたシェートに、竜神の声が届く。

『攻撃をするというのは、守りの体勢を崩す、ということでもある。相手の攻めをかいくぐり、その隙を突く。まあ、狙ってやるのは至難だが』

『言っている場合ですか! 偶然に決まったからいいようなものの』

『だが、その偶然で、連中の動きが止まったぞ』

 ポローの鎧は、思いのほか深くえぐれていた。それまでの余裕の雰囲気が消えて、一気に顔が険しくなる。女剣士が戒めるようにため息をついた。

「だから言ったろ? 遊んでるんじゃないって」

「……分かったよ。ディトレ、コイツを釘付けにしてくれ」

「分かった。みんな、打ち合わせどおりにね」

 魔法使いの指示に囲いが広がり、互いの距離を補い合えるだけの隙が作られる。

『魔法を連発する気か? だが、いくらやっても破術がある限り』

 いぶかしげなサリアの言葉をさえぎり、魔法使いが宣言する。

「"レギス"」

 闇の中に光の紋様が浮かび上がった。魔法使いの指が虚空に軌跡を描き、無数の印が刻まれていく。

『いかん! あれを打ち落とせ!』

「させるか!」

 大男が射線を封じ、戦槌が鞭を叩き落す。その背後で、紋様が結ばれた。

「貫け、"凍月箭"!」

 銀光が巨体の背後から無数に襲い掛かり、真紅の輝きがその全てを消去する。

「"凍月箭"」

 だが間髪居れず、魔法の矢がシェートの全身に叩きつけられる。

「"凍月箭"」

 その輝きが消えないまま次弾が、

「もういっちょ"凍月箭"っ」

 更に倍近い数に増えた光が襲い掛かかる。

「くっ、くそおっ!」

 腕で顔を覆い、腰を落として必死に踏ん張るが、放たれる魔法に終わりがない。宙に描かれた紋様は消えてはまた描かれ、命令一つでシェートに喰らいついてくる。

『"待機呪文"か、味な真似を!』

「ま、魔法、待つできるか!?」

 爆ぜ散る光で視界が白く染まる。その向こうでポローが剣を大きく振りかぶる。

「逃げてもいいぞ。その代わり、後ろの仲間がお前を殺す」

『シェート、さっきの動きだ! 奴の攻撃を誘ってその隙に!』

「油断してるんじゃ無いよ、ポロー。こういう奴は」

 サリアの声を遮るように女が口を開き、大地に手を当て、歌うように唇を動かした。途端にシェートの背後を土の壁が塞いでいく。

「ここまでやっとかないと」

「ああ、そうだな」

 無数の魔法弾と土壁に挟まれ、完全に身動きが封じられた。右左に立った人間たちも、ポローの一撃が避けられたときのために、完全に身構えている。

 何より、目の前の人間をかわしたところで、その向こうで待ち構えている大男の攻撃が避けきれるとは思えない。

『背後の土壁を消して逃げれば』

『そんな動きの遅滞、目の前の剣士が許すはずが無かろう』

『では……一体どうすれば!』

 衝撃と共に砕け散っていく魔法は、それでも直接の打撃にはならない。目の前のポローの一撃を交わすのは難しいが、それでも死ななければ何とか抜けるのは可能だろう。

「ディトレ、魔法を切れ」

「分かった。その隙に逃げ出されると困るから、いつ止めるかは言わないよ」

 シェートは歯を食いしばり、目の前の男に意識を集中し、手にした【荊】に全ての加護を充填させる。

「サリア、俺、すごく怪我する、思う」

 相手の攻撃と同時に、一気に囲みを抜くしかない。

 こちらの決心と同時に、目の前のポローがじり、と近づく。

「それでも、すぐ、動けるよう、加護、頼む」

『……分かった』

 後はあの大男の戦槌が砕く地面から、どこまで逃げられるか。

 呼吸を深くし、背中を丸めて力を溜めた瞬間。

『玉砕覚悟の突進、それもよかろうが』

 竜神の声が、決然と耳の中に響き渡った。

『破術を全開にして伏せろ!』

 命令と、魔法が途切れるのと、ポローの踏み込みが同時に起こる。

 地面に伏せたシェートの視界が、真紅の灼熱に染まった。

「うがあああああああああっ!?」

 破術を避けて炎が暴れ回り、背後の土壁が崩れさる。囲んでいた人間たちが悲鳴を上げて逃げ惑い、その脇を何かがすり抜けてこちらに走りこんでくる。

「シェート! つかまれっ!」

 白い星狼の上で、片手を伸ばす青い仔竜。その手を掴んで一気に鞍に飛び乗ると、懐かしい背中の力強さを感じながら、あぶみを踏んだ。

「いけっ! グート!」

「うぉんっ!」

 全てを置き去りにして、星狼が川岸を走る。追いすがる人間の声を後にして。

 その足取りは迷いが無く、自分がどこに向かうべきかをはじめから分かっているように感じた。

「危なかったな! 体は平気か!?」

「ああ。大丈夫だ。でもフィー、お前、どうしてここに?」

「それは、一旦落ち着いてからにしようぜ。紹介したいやつもいるしな」

 以前とは比べ物にならない、しっかりとしたフィーの言葉。しばらく見ないうちに、色々あったのだろう。

 その間にもグートは川の浅いところに入り込み、流れも重さも物ともせずに向こう岸へ渡りきる。

 そして、たどり着いた岩陰のところに居た人物を見て、シェートは声を上げた。

「お前……ケイタ、か?」

「久しぶりだね、シェート君」

 村の勇者であった少年は、はにかみながら頷いた。

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