21、光をもたらす者
網膜に投影された時刻表示が、次第に端から崩れ去っていく。
作戦開始から三時間が経過、ソールの心に、わずかな焦りが浮かんでいた。
「主様、本当に現状維持でいいのですか?」
黄金の竜神は自らのモニターに視線を合わせ、石の様に沈黙する。
【グラウム】:主様、いったい何を待ってるんだろうな
持ってこさせた軽食を貪りつつ、グラウムがいらいらした調子でメッセージを送る。
単純な結論を好む同輩からすれば、待つばかりの時間は一秒でも耐えられないだろう。
【メーレ】:中継次元の掌握は完了している。速やかな城内システムの奪取は可能。
まるで猛禽が地上のネズミをさらい捕るように、魔王城の電子ネットワークを支配下に置くことができた。
それをしない理由とは。
【ヴィト】:作戦開始からモニターしている城内カメラの映像、広範囲な損壊が見られるね。おそらくフィーが何かしたのだと思うけど。
すでに敵のシステムにはバックドアを設けている。城内管制機器の一台にただ乗りし、リアルタイムの状況を把握していた。
【メーレ】:城内でのスマートフォン使用が一時制限され、その後解除されている。何らかの異常事態があったと見るべき。
【ヴィト】:なおさらフィーと連携を取って、状況の把握に努めたいところだね。彼のスマートフォンはモニターできたかい?
【ソール】:それが
最後まで、返信を打ち込むことはできなかった。
網膜に映し出された映像に、警告表示が投影される。
システムに対する攻撃ではない。受信したデータに反応して、あらかじめ仕掛けられていたアプリケーションの起動がアナウンスされていく。
《フィアクゥルの六識覚醒を確認しました。"龍樹"を起動します》
「主様」
複雑な思いを抱えながら、ソールは定められた符丁を口にした。
「覚醒者が」
「そうか」
その時、赤き小竜は見た。
己の快悦を羅針儀に、あまたの世界を巡り歩く、放埓の竜神が浮かべた、強い後悔と自責の表情を。
だが、そんな物思いは一瞬。
「これより魔王城における電子機器、城内のローカルエリアネットワーク、およびスマートフォン、その他もろもろの端末の一切を、我らが支配下に置く」
作戦の進行を告げる顔は、威厳に満ち溢れ、迷いの陰は無かった。
「回線掌握後、直ちにフィアクゥルのスマートフォン経由で現状のモニタリングを確立、ソールは引き続き、"龍樹"のチェックを担当せよ」
「了解です」
投影された《龍樹》のウィンドウに、簡略化された人体が描画される。
その四肢の形状が、異形に変わっていた。
節くれだった指と長い爪、趾行性の動物に酷似した両足。
「他の者は、城内のストレージに蓄積されたデータを全て吸い上げよ。見つけた情報は何であれ、欠片も残すな!」
人の魂を竜の体に容れるということ、その意味。
一切を知りながら、計画を完遂するためと看過した非情。
神の傲慢と慈悲をない交ぜにした、我が身が仕えるべき主を、胸の内で賛嘆する。
「全て喰らい尽くせ! 我ら竜種の貪欲に掛けて!」
力強い咆哮が洞を満たし、飢えた竜の顎がデータの沃野に解き放たれた。
被った炎の一撃を振り払い、黒い鎧が体勢を立て直す。
魔王の胴鎧が、敵意に尖った異音を吐いた。
「じゃ『まを【する】き』か」
「ったり前だろ! そいつは――」
続くべき言葉を、ためらいが押しとどめる。
その代わり、片手に宿った劫火を燃え上がらせた。
「そいつの面倒を見てくれって、頼まれてんだからさ!」
ロケット花火のような音を後に引き、炎の矢が鎧に突き進む。
揮われた黒い豪腕が、苦も無く一撃を叩き落した。
「おま『えの【ちから】などは』きかない」
「ダメだ! フィー!」
這いつくばり、痛む足を引きずって、魔王から後ずさるシェート。酷く痛めつけられた匂いがした。
「グート、一緒、すぐ逃げろ!」
「お前、足、折られたのか……」
竜の六識が、シェートの状態を正確に教えてくれる。
膝と足首が折り砕かれ、肩の関節も外されている。魔王の力に浸食された部分も、酷いやけどのような痕跡が、いまだに治癒していなかった。
「ひとの『しんぱい【などを】している』ひまが」
「うるさいな」
視線に込めた怒りに、目の前の空間が捻じ曲がる。
仔竜の意思に従って無数の炎箭が結集し、虚空が強烈な熱に沸き立つ。
「ちょっと黙ってろ」
真紅の聲が、魔王の全身へ開放された。
防御にかざされた両腕を吹き飛ばし、兜で守られた顔を張り飛ばし、つま先を灼熱で粉砕し、胴鎧に張り付いた悪意を、叩き、叩き、叩きのめす。
強烈な爆発を喰らい、煙をなびかせた黒い姿が、はるか彼方に吹き飛んだ。
「フィー……あいつ……なんで?」
「ああ、あれ?」
グートの背から降りると、酷い状態のシェートにそっと手をあてがい、安心させるように笑う。
「偉そうなこと言ってたけど、あの黒いやつ、熱と光に弱いんだよ」
「いつのまに、そんな、できる、なった?」
「色々あったんだ。そのおかげでね」
それでも、できないことがある。
自分の聲で治療を施すことはできない。そのために必要な"気づき"が足りないから。
敵を討つ力を手にしても、仲間を癒す術に届かない。
「……俺、ほんっと、進歩ねえよな」
「え?」
「グート、シェートを頼む。安全なところへ連れてってくれ」
見つめる先で鎧が起き上がり、悠然とこちらに歩みを進める。
けが人を救い上げた狼の前に立ち、フィーは再び聲を震わせた。
覚えたばかりの"炎"は、それでも自分の謳に応え、体の周囲を巡る。
「かよわく『はかない【りゅうのこの】めいしょうなど』きかぬ」
「なら、試してみるか?」
怨讐は強い力だが、炎はそれさえも焼き尽くす。
竜の聲は世界の理を、竜の意思によって現出させる力。魔王の身を包む黒き穢れを祓えるはずだ。
呼吸を整え、胸を大気で満たし、フィーの喉が戦いの謳に震えた。
散る火花が千の鏃となり、盛る炎が万軍を破る投槍の穂先に変わる。
「行け!」
紅の軌跡が闇の世界に閃く。応じて鎧が走り、炎を払い、猛烈な勢いで向かってくる。
その手がぐにゃりと歪み、刹風の刃となってフィーの眉間を刺し貫いた。
「あ……っ!」
シェートの叫びと共に青が揺らめき、炎になって砕け散る。完全に隙だらけになった魔王のわき腹が、火炎弾によってくの字に折れた。
「そんな『げん【じゅつなど】いつの』まに」
虚空から姿を現したフィーは、片手を挙げて挑発の手招きをして見せた。
「ここに来るまでに、たくさん歓待されたんでね。勉強する機会はたっぷりあったのさ」
胸に下げた透明化の神器を、軽く指ではじいた。
仕掛けはごく単純。姿を消すと同時に、身代わりとなる炎の塊をその場に残すだけ。
どんなに勘に優れたものでも、目に頼る生き物はたやすく火明かりに幻惑され、こちらを見失う。
「魔王さんよ。アンタ、人をはめるのが得意みたいだな」
姿を消したフィーの頬を、影の刃が掠め、わずかに血が流れる。
その威力に冷や汗をかきながら、それでも仔竜は魔王を挑発した。
「今度はアンタが、俺にだまされる番だぜ!」
「こ『し【ゃ】く』な」
手をかざし、聲を張るフィーの指揮に従い、魔王を炎の鏃がぐるりと取り囲む。
「さて、俺の攻撃から、逃げられるかな?」
「こ『ん【な】も』の」
魔王の両手が天に差し上げられ、組まれた両手の間に巨大な剣が現れる。
「すべて『ちらして【しまえば】いいの』だぁっ」
大剣の風鳴りが空気を引き裂き、真一文字に振るわれた威力が炎の鏃を全てかき消す。
剣風が周囲をなぎ払い、必死に足を踏ん張るグートを、闇の塊から抜け出ようとしていた灰色のローブを、気を失った女を等しく吹き飛ばす。
「残念でした」
闇の力で刻まれた、無数の擦り傷をこらえながら、フィーは笑った。
その両手両足を、地面につなぎ留めた炎の鎖を掴み、聲高らかに謳う。
「俺の攻撃は、こっちが本命だぁっ!」
叩きつける両手。
そこから噴出した炎が地面の割れ目を伝い、魔王の足元で爆ぜ割れる。
溶岩の如き粘度を持った炎は、そのまま縛めの鎖となって、魔王に絡みついた。
「骨まで焼けて、灰になれ!」
突き出す右手。空に向けた親指を、ぐっと下に向ける。
その瞬間、鎖の結節全てが、激しく爆裂した。
足の痛みも忘れて、シェートは事態を見つめていた。
あれほど苦労した魔王が、炎に巻かれて砕けていこうとしている。信じられないが、紛れも無い現実だった。
「なんという、ことだ」
参謀に肩を貸しながら、コモスが傍らにやってくる。面は失なわれ、体のあちこちから血を流し、立っているのがやっとという姿で。
ホブゴブリンは燃えていく魔王を見、小声で否定を吐いた。
「あの仔竜、死ぬぞ」
「な……なに、言ってる、おまえ?」
炎の鎖で縛られ、たいまつの様に燃え盛るばかりの人型。あんな状況で、いったい何ができるというのか。
「お前は、魔王様と共にいて、何一つ学ばなかったのだな」
「だ、だから、お前、なにを」
「形態変化」
苦しげな息を吐き、参謀が顔を上げる。常に無表情であったはずの彼女の瞳に、かすかな哀れみが浮かんでいた。
「どうして私たちが、火の魔法を使わなかったと、思っているのですか」
「あ……」
声を限りに魔法を使い続けているフィーの前で、燃える塊がその形状を変える。
腕が溶け崩れ、炎の勢いが増大していく。
「な、なんだ!? 火の勢いが、つよくっ!」
その場から逃げ出そうとしたフィーの体に、魔王の炎が絡みついた。
「うがあああっ! ああっ、うああああっ!」
「フィーッ!」
まるで、自身を薪にでもするように、魔王の体が激しく燃え上がった。
仔竜の歌が悲鳴に変わり、逃れようとする体をじりじりと焦がしていく。
「"煉獄態"……炎の攻撃を喰らい、限界に達したとき、怨讐は自らの怒りを火種に燃え上がっていく」
「ああなってしまっては、私たちには止められません。魔王様の怒りが治まるまで、この空間を閉鎖するほか無いでしょう」
事態を評した二人は、奇妙に安堵した様子でシェートを見た。
「ある意味、最も被害の少ない形での終息が可能となりました。恩には着ませんが、礼だけは言っておきます」
「お前はどうする、今から忠誠を誓うというなら、共に連れて行ってやら無くはないぞ」
コモスの顔に浮かぶ冷たい皮肉に、シェートは別の問いかけを投げた。
「お前、けが治す、できるか」
「どうするつもりだ」
「折れた足、治す。フィー、助け、行く」
敵にするには、あまりに愚かな提案。気まずい沈黙が僅かに流れ、おもむろにコモスはシェートの体にかがみこんだ。
「な、なにを、んぐうっ!?」
ローブの端が無理やり口に突っ込まれ、力強い手が折れた足で、めきめきと嫌な音が鳴らし始めた。
「んぐうっ!? ぐふっ、うぐううっ!」
「割ときれいに折れていて良かったな。後は、腕か」
「う!? んっ、うぐううううっ!」
まるで人形の手足でも継ぐように、荒っぽい処置が進む。
コボルトたちの間でも骨接ぎの業は伝わっていたが、コモスのそれは的確で、容赦が無かった。
「私ができるのは、外科的なことだけだ。後は好きにしろ」
「お、お前……」
話している間に、痛みだらけだった足が少しづつ楽になって行く。外れた肩をそろりと動かすと、鈍い痛みと共に指まで感覚が通るのが分かった。
魔弓を生み出し、杖代わりに立ち上がる。その傍らに立ったグートが、その背に置かれた鞍を示した。
「俺、まだ足、うまくない。頼むぞ」
「うぉんっ!」
久しぶりに握る手綱に心を震わせながら、シェートは燃え盛る魔王に突進した。
「うがあああっ! くそ、な、なんでっ、うああああ!」
周囲の聲が乱れ、悪意を叫び始める。
今まで喜びを謳っていた炎が、全てを焼き滅ぼし、憎しみで包もうとする滅びの忌歌を撒き散らしていく。
『考えの甘さ、思い知ったか』
燃えるその手でフィーの胴体を掴み、魔王があざける。
その目は、はじめて合ったときの異眸のまま、狂気ではなく狂喜が満たしていた。
「お前……っ、い、意識が、あっ!」
『そんなもの、とうの昔に取り戻していた。所詮連中は、俺なくしては生きられないのだからなぁっ!』
腕の炎が勢いを増し、破術の守りさえ追いつかないほどに侵食していく。
「うわあああっ! や、やめ、あっ! ぐあああああっ!」
『お前の炎など、奴らの憎しみに比べれば、生温すぎて痛痒にも感じぬぞ!』
「くそ、おっ! そんな、バカ、な」
そんなはずは無い。自分の五感は、竜の六識は、炎が弱点だと知らせてくれたはず。
何か見落としているのか。
それとも、自分の識では、真実を見抜くだけの力が足りなかったのか。
『さぁ、お前のその命はもとより、魂魄さえも、灰と焼き尽くしてやろう!』
「やめろおおおっ!」
金の閃光が魔王の腕を断ち切り、体が中に投げ出される。
急激に地面が近づき、ふわりと意識が運び去られた。
「シェート!?」
「大丈夫か!」
背中に回され、走る狼の腰に自分の体がすとんと落ち着く。燃え盛る魔王の体が遠のいていき、熱が冷えて呼吸が楽になる。
「お前、その腕は」
「コモス、骨継いでもらった。ちょっと痛い、でも平気」
ごうっと音を立て、頭上を火球がかすめて過ぎる。魔王の両手が生え変わり、鞭のようにしなって、炎の塊を射出した。
「くっそ、何だよあのインチキ! いきなり燃えやがって!」
「魔王、いくつも姿、変える! あれ、炎効かない姿、言ってた!」
撒き散らされた火が床のあちこちで燃え広がり、赤々と空間を照らし出す。ローブと女の姿は無い、後は自分たちだけだ。
「とにかく、俺たちのやれる全部をぶつけるしかない! グート、絶対足止めんなよ!」
「行くぞ!」
再び狼が走り出し、魔王の周囲を回る。
歯で手綱をくわえ、弓を手にしたシェートの光弾が炎の体で爆ぜ割れ、貫き通す。
一瞬だけ揺らめいた炎は、即座に燃える人型を再構築した。
『無駄だ! そんな魔法、俺には通じん!』
「畜生っ、これならどうだぁっ!」
巨大に膨れ上がった炎の塊を、力いっぱい魔王に叩きつける。その全てを飲み込んで、揺らめく真紅が勢いを増した。
『無駄だといったろう! 炎に炎をくべたところでなんになる!』
「や、やめろ、フィー。魔王、火、効かない!」
「ゲームじゃあるまいし、弱点属性克服するとかっ!」
自分の知っている鳴唱は"炎"の一つだけ。今すぐ別のものを覚えろといわれても、聲が聞こえない限りは無理だ。
シェートの持っている神器の聲は弱すぎる。
なぞったところで、無駄に弾数が増えるだけだ。
「どうする、どうすりゃいいっ」
ぎゅっと目を閉じ、フィーは過去に"飛んだ"。
魔王の燃え盛る炎も、シェートの緊張した体の臭いも、グートの疲れが見え始めた疾走も、全てが遠ざかる。
燃える炎。
全てを焼き尽くすもの。
灼熱の、赤。
『実は、赤というのは一番低い温度の色なんですよ』
いつの間にか、教室に座っていた。
黒板の前に陣取った教師が、赤いチョークで描いた太陽の隣に、白と黄色で別の天体を描いていく。
『色温度、と言うんですが、面白いことに空に光ってる恒星は、赤から黄色、白と、次第に薄く、醒めた色の方が高い温度を放射しているんです』
不思議な話だった。
普通、そういう色は寒色系などといわれて、冷たさをあらわすはずなのに。
『これには、光が発生源から遠ざかる作用とか、まあ、色々あるんですが、中学生の君たちは、そういうもんなんだ、ぐらいに覚えておくといいですよ』
「……ありがとな、先生」
意識が急激に現実へ引き戻される。
周囲を火柱が囲い、グートの足が焼け爛れて痛みに引きつっていた。
『これで、終わりだな』
炎の群舞をまとい、勝ち誇る魔王。
それを見つめ、シェートが歯を食いしばる。それでも、弓を握り締める手には、力がこもっていた。
「シェート」
「……どうした?」
「これから、お前に力を送るから、あいつにぶちかましてやれ」
驚き、戸惑い、そしてコボルトは、歯をむき出して、笑った。
「分かった!」
力強い狩人の腕が、魔弓を引き絞る。
金と銀の光が束ねられ、鏃が魔王の眉間と重なる。
シェートの両肩に手を当てると、フィアクゥルは翼を広げ、聲を上げた。
《其は耀く者》
仔竜の背に、火が集い始める。
小さな欠片が翼に纏いつき、次第に大きく、力強くなっていく。
《深淵に光輝たる汝》
心が知っていた。
思い出に、それは隠されていた。
《異邦の天より来れ》
集う炎の欠片が、その身をはるかに超える翼を生み、体が宙に遊ぶ。
背負った炎が赤く燃え、その色が、冴え冴えと白へと近づいていく。
《汝は焼尽の太源》
仔竜の心はその白をはるかに超え、星々の遊ぶ宇宙の極座へと飛翔する。
その視線の先には、青く輝く究極の灼熱。
《その銘に縁りて、吼えよ》
仔竜の翼が、白から蒼へ染まる。
その身の色を映すような、久遠から来る根源の熱量が、
《天狼の蒼炎》
世界を圧倒した。
弓を構えるシェートの体が、畏れに震えた。
背負った力の巨大さと、その荘厳に。
蒼い炎の翼が魔王のいましめを振り払い、周囲の瓦礫を塵さえ残さず消し去った。
《受け取れ、シェート》
蒼が宿り、一矢を生み出す。
向かう先に立つ魔王の炎が、かすむほどの力。
《ビビんなよ》
肩をつかむ手が、優しく諭す。
《俺が支えてやるから、お前はあいつを、ぶっ飛ばせ!》
その"聲"に、力強さに、シェートは頷いた。
「これで、終わりだ。魔王!」
全ての意思、力、願いを一つに束ね、
「いけええええええええええええええええっ!」
全てを貫く天狼の矢を、解き放った。