1 そんな大陸俺は知らない
正直に言おう、俺は怖いのがとても苦手だ。
ホラーゲームなんてもってのほか、ましてやブレーカーが落っこちただけで卒倒できる。
だから・・・・・・・
恭介「なんすかここ?、マジ怖いんですけど、俺はこれから生贄に・・・・?」
考えただけでもクラっとしてくる。
ひとまず出口らしきものを探す。
恭介「こんな不気味な所さっさと抜けよう・・・・・・」
周りはレンガのような石積みの壁で扉らしきものは何も無い。
コンコンとあちこち壁を叩いていると他の所と音が違う場所を見つける。
恭介「重いけど何とか引き抜けそうだな」
恭介は力の限りブロックを掴んで引き抜いた。
するとそこからボロボロと他のブロックが連鎖して崩れ落ちる。
恭介「階段があるけどこれまた不気味・・・・・」
仕方がなく一歩一歩階段を上って行くと石の壁にぶつかる。
恭介「いってぇ!!、なんだこれ!?」
周りは暗く壁の存在に気づく筈も無かった。
そして恭介は何かに気づくとポケットに手を突っ込んだ。
恭介「ポケットライト持っててよかった・・・・」
ライトで壁を照らすと壁には窪みが付いていた。
その窪みに指を入れて力いっぱい前に押した。
ズゴゴゴゴゴ
石の扉は床や天井と擦れ合いパラパラと石の欠片が落ちてきた。
石の扉を開けるとそこには目がくらむほどの光と木々が生い茂る森林に出た。
恭介「ここ・・・・・・何処だ?」
自分が生きてきた中ではこのような所には着たことが無かった。
恭介「そうだ!、携帯!」
携帯を開いて友達に掛ける。
ただいまお客様の都合により電話を掛けることが出来ません
恭介「はぁ・・・、どうすりゃいいんだよ・・・・・」
仕方なく足をただひらすらに前に運ぶ。
すると程なくして茂みから物音が聞こえてきた。
恭介「なんか居るのか・・・?」
近づこうとした瞬間茂みの中からなにかギラリとした物が見え咄嗟に身を屈めた。
ビシュッ!!
何かが頭の上を飛んで行く。
飛んで行ったのは・・・・矢。
なんだ?、何が起きた?、マズイ、逃げろ、体が動かない!!
一瞬にして頭がこんがらがって何も出来なくなる。
ヴィル「ん?、なんだ人か~、ごめんごめん」
失敗失敗と言って手を差し伸べてくる。
恭介はまだ何が起きたか分からず体が硬直している。
ヴィル「悪かった悪かった、よいっしょっと」
恭介「あ、あぁありがとう」
体を起こしてもらいようやく冷静になる。
ヴィル「いやいや、間違って殺そうとしたこっちが悪かったんだから謝るなって」
殺そうとした、という言葉に体がゾッとする。
恭介「って、待ってくれ!!、猟をするってここ何処だよ!?、東京じゃないのか!?」
恭介が住んでいたところは東京、そこで狩猟をするなんて考えにくい。
ヴィル「?、ここはティル村外れの森だぞ?」
恭介「ティル村?、まずここは日本か?」
ヴィル「日本?、そんなところ聞いたこと無いぞ?」
恭介の言葉はなかなか的を得ない。
恭介「じゃあ、ここはなんていう国だ・・・・・?」
ヴィル「ここは村だからな~、国はここから結構離れてるヘルベーゼンが一番近いかな?」
恭介「いや、そういう事じゃなくてそういうのを全部ひっくるめて此処はなんていうんだ?」
ヴィル「あぁ、なるほど大陸の名前か、ここはグライゼス大陸だ」
もう恭介は一つため息をして何も言わなかった。
自分でも地理は結構得意だと思っていたんだけどな・・・・・