第8話 主義
鳩に似た野鳥がアスファルトの地面に
落ちている食べかすをつついている。
かつて、コンピュータが誕生する前の
世界では数多くの森林に囲まれており、
動物達は自然が生み出す恩恵をそこまで
苦労もせずに手に入れていた。木々には
果実が実り、川には透き通った色の水が
流れ、牧歌的な光景が広がっていた。
現在、そこは鉄とコンクリートの建物に
よって浸食されていた。信号機が赤から
緑に変わり、多種多様な種族が横断歩道を
渡り始めた。緑色の肌と牙を持つゴブリン、
イノシシや豚のような、前に突き出た鼻、
鋭い二本の牙を持つオーク、横に伸びた
長耳のエルフ、がっしりとした体格であり、
威厳を感じる風貌のドワーフがリクルート
スーツを着て、ビジネス街を歩いていた。
一方、ストリートファッションを着た凡人は
こめかみに指を当て、誰かと会話しながら
横断歩道を渡る。脳インプラントには魔法
生成AIや量子通信機能が組み込まれており、
ヴァドール人は量子通信網につながることで
視界には立体映像が映る。ある者は明日の
予定を、ある者は今日の用事を、ある者は
未来の株式情報を遠く離れた他者と話す。
それまで紙の情報を追い求めていた生物は、
電子の海から生み落とされる情報の粒子に
振り回されていた。SWSというアカウントを
作成し、言語を理解する生物やAIなら利用が
できるサービスを使い、つながりを求める。
そして横断歩道の先には、原始的な手法で
主義主張を行う集団が騒いでいた。『種族
差別反対』や『我々に権利を』と書かれた
プラカードを持ち、道で多種多様な種族が
抗議している。かなり深刻な表情だった。
「種族差別、ハンターーーーイ!!」
「企業や株主による労働搾取を許すなぁ!!」
「仕事を奪うAIを禁止にしろぉおおお!!」
タンクトップ姿のオークやドワーフ、更に
ゴブリンも叫んだ。みすぼらしい恰好の
集団はプラカードを掲げ、大声で路上を
歩いている人々へ、現状に対する懸念を
訴えている。服装でも格差が生まれた。
しかし、プラカードを持たない人々は
一切関心を持たず、街を歩いていた。
そして、上空を見上げてソフトクリームを
食べる女性も無視した。赤髪と褐色肌、
ロングコートが特徴の、女性の名前は
ジュリア・スミス。プライドシティで
悪名高い安全保障会社『ケルベロス』の
契約社員である。今日は久しぶりの休日で、
仕事中に出会ったジンについて考えていた。
あの人、元気かなぁ。あたしがハンクを
倒そうとしたら、あの人が光の粒から
二本の剣を生成して、倒してしまった。
商売敵とは思えないくらい、不思議な
オーラがある。あたしは初めて他人に
関心を持ったかもしれない。今まで、
自分が生き残ることが関心ごとだった。
そのためなら、両手両足を機械にして
構わない。逆に男に頼って生きる母は
何人も新しい父親をあたしに紹介した。
その度にあたしは男から虐待された。
だから、あたしは男になりたいと思った。
自分が男だったらこんな目に遭わないと
若い頃はそう思っていた。
でも、それは違った。弱い存在なら
性別なんて関係ない。誰かに頼られる
存在じゃないと生き残れなかった…。
野生動物の世界もそうだ。怪我したら
昔強かった奴も数の暴力で襲われる。
狼の群れが、足が折れたベヒーモスに
飛びかかり、あれほど暴れ回っていた
ベヒーモスは弱者の狼に殺された。
会社の命令で、郊外にある荒野を
探索していたジュリアは狼の群れが
ベヒーモスを食べる場面に遭遇した。
命の輝きが消えた眼のベヒーモスと
対照的に、狼の目は妖艶な輝きだった。
まさに弱者が強者を喰らう光景を見た
ジュリアは、思考が停止した。やがて、
ジュリアは我に返った。そして彼女は
こう結論付けた。
「世界は理不尽なんだ。強い・弱いは常に
変わり続けるんだ…」
ジュリアは、目の前に立ち止まる群衆の
群れに道を塞がれた。人々は高層ビルの
街頭ビジョンに流れている映像に夢中に
なっている。ジュリアは何事かと思って、
ふと街頭ビジョンの方を見上げ、映像に
映る金髪碧眼と黒い布マスクの男を見た。
男の顔の下には、ジン・ゼッカードと
書かれている。ジュリアは声を上げた。
「え!? もしかして、マシンスレイヤーの、
ジン!! ウソでしょぉ!!」
それはジュリアが強者と思っていた男が
逮捕された報道だった。キャスターは
コレクター事件の犯人がジンであると
告げると、隣に座るマッシュルーム
カットと眼鏡の男に話しかけ始めた。
「では、今回も、思想学者のガルマ
シュタイン博士にご意見を伺おうと
思います。博士、犯人についてどう
思いますかね?」
「ジン・ゼッカード容疑者ですね。
常に黒いマスクで口元を隠して
いますね。思想学的には、口を
隠すことは無意識への抵抗と
言われています。我々は感情を
出す際に、無意識に口の形を
変えますね? 笑う時は口を広げ、
怒りでは歯を見せる。悲しい時や
通常時は口を閉ざします。口とは、
感情のインターフェースなのです。
それを隠すということは、他の者と
つながることを拒否しているのです。
無防備な姿を見せたくないのです。」
「自閉症のようなものでしょうか?」
「いいえ、違います。他人と距離を
置くことは普通です。問題は、なぜ
彼が他人の脳を集めているのか。」
「まぁ・・・確かに心の壁は誰でも
持っていますよね。そして若者の
脳みそを集めている彼の異常性は
何なのでしょう?」
「これは犯罪心理学の分野で、私の
専門外ですので断言はできません。
しかし、以前私が言った資本主義
社会への不満が、もしかしたら、
関係あるのかと個人的に思います。」
「それはどういう意味でしょうか、博士?」
「以前SWSのインフルエンサーだった
女性が炎上しました。彼女は老けない
エルフで、他種族に対する差別をした。
老化現象が起きないエルフは若さを
保つことから自慢し、彼女に対して
ヘイトが集まりました。ルッキズムを
うたう彼女を嫌う人々はSWSで移民の
彼女を批判し、共生を掲げる経政連や
企業にも人々は怒りをぶつけました。」
「あの騒動は大変でした。彼女と関係の
ない移民の方々にも飛び火し、種族差別が
シティの多様性の危機を招きました。」
「違う存在を受け入れる寛容さとは、心の
余裕から生まれます。そもそも経政連が
移民政策を始めたのも、経済的理由です。
出産率が高い移民は、将来の消費者を
増やすだろうと財界は考えたからです。
AIは労働や研究開発を代替できましたが、
消費行動はできません。例えばAIは、
食料品を買いませんからね。」
「AIは我々と違って食事を一切、必要とは
しませんからね。」
「なので私は、ジン・ゼッカードがAIを
生み出したヒトに対するメッセージを
送る目的があったと思っています。」
「犯人がヒトの脳を集めたのは、社会への
復讐と博士は考えているのですか?」
「プライドシティ・・・プライドは誇り
という意味だけではなく、傲慢という
意味もある言葉です。生物の尊厳を奪った
傲慢なヒトに殺意を抱いたのでしょう。」
「博士、今日はありがとうございました。
それでは、次のニュースです。殺害された
キャサリン・アンダーレッド氏の安全保障を
担当していたAerospaceX社の株価が
急落しました。このことについて、CEOの
マッキード氏はSWSにて_____」
特務省 特別尋問室の隣室
特務省の省内にある尋問室。壁は厚み
300mmのコンクリートで構成され、隣の
部屋からマジックミラー越しに人を観察できる
構造になっていた。尋問室の隣の部屋は暗く、
数名の職員がジンを監視をしている。やがて、
背の高いゴブリンの特務官が言った。
「あいつがジンか。噂の個人経営者の。
まだ若いガキじゃねえか。」
防刃衣を着用し、その上に装備品を収納できる
ベストを着用しているゴブリンの男性職員は、
手錠を掛けられた男を見つめる。同じ装備を
しているオークの職員も隣の部屋で大人しく
している男を見つめながら、隣で腕を組む
ゴブリンの職員に向かって話し始めた。
「機械化人間だからな。さっきデータを見たが、
年齢は28歳。そいつは障がい者じゃなくて、
自ら進んで機械化手術を受けた狂人だとな。
スラム街の闇医者に改造してもらったとよ。」
「!? そいつぁとんでもねぇな。罪状がまた
増えたな。おい、AIbirth社に連絡は?」
「抜かりはねえよ。容疑者のアカウントは
凍結させた。これで奴は魔法を生成できねえ。
ここじゃ魔族以外はAIを使わないと魔法は
使えねえからな。ハハハ。」
「だが油断するなよ。あいつは地球からの
転生者だ。上の話じゃあ、俺らの常識が
通じねえ魔法を使う。」
「例の物体錬成か。だが、ヒトの脳じゃ
計算能力が低くて魔法は作れねえ。
奴さんはもう能無しだぜ。」
二人が談笑していると、部屋の扉が勢い良く
開いた。まるで柴犬そっくりの顔をした職員が
大慌てで話し始めた。
「緊急事態であります! ベーコン3佐が
今から取り調べを行うと!!」
狐につままれたような気分になった
二人は、平静を取り戻すと先ほど
報告しに来たコボルトの職員に対し、
こう言い放った。
「確か、容疑者の尋問はメリーバロンズ
2佐の担当のはずだ。」
「ああ。俺もそう聞いたぞ。グッドマン
1佐が任命したのは、2佐だ。」
二人に対し、慌てた様子のコボルトの
職員は説明を始めた。
「当初はそうでしたが、グッドマン1佐と
メリーバロンズ2佐が経政連の会議に
招集されまして、お二人の現状を知った
3佐が独断で、容疑者がいる尋問室へと
向かっていったのであります!!」
コボルトの職員の発言を聞いた二人が
後ろを振り返ると、既に入室していた
ベンジャミン・ベーコンが、椅子に
座って笑っていた。
特務省 特別尋問室
ジンは尋問室の天井を見上げた。一体型LED
ベースライトと換気口のようなものが見える。
脱出経路となりそうな換気口はどうやら人間が
通れないほど小さかった。次の瞬間、部屋の
扉が開いた。ジンはすぐに扉の方を見た。
するとそこに現れたのは、白いタキシードの
優男であった。手には杖のようなものを持ち、
銀色のタブレットを携えていた。タキシードの
男は、ニヤニヤ笑いながら対面の椅子に座る。
やがてタブレットに何かを入力し、ジンに
向かって唐突に話しかけた。
「ヤァッ★ ふぅん。君がマシンスレイヤーの、
ジンだね!?会いたかったよ!! 君のような
異世界転生者にね!!!」
「いきなりテンション高くなるんじゃねえよ。」
「ああ、すまない、すまない。意外に冷静だな。
地下街じゃ、君、パニック状態でバイク乗って
叫んでいたし。何が君を変えたんだい?」
「だいぶ慣れたよ。こっちの世界の生活にな。」
「そして可哀想に。君はいま、異世界人に
捕まっている。僕はね、君と司法取引を
したいから話しているんだよ★ そして、
僕の名前はベンジャミン・ベーコンだ。
よろしくね!!」
「あ? 司法取引?」
「そうだよ。まず、今回の事件はコレクター
事件の犯人と違う★被害者の年齢が一致して
いないんだ。殺されたのは40代の男女だ。
コレクター事件の被害者はすべて年齢は
10代で統一されている。事件に一貫性が
ない。こんなの誰でも気づくだろ?」
「捜査のかく乱かもしれないぜ? それかよ、
大人の脳みその方が都合良かったのかもな。
デカい脳みそなら食うに困らないだろ。」
「ハハハハハ!! いやいやいやいや。地球の
ジョークは面白いねぇ!!」
「皮肉として今の言葉を覚えておくぜ。」
「ハハハ・・・さて、単刀直入に言おう。
僕に力を貸してほしい★」
「いきなり国家権力で記憶喪失の民間人を
こき使おうってか?」
「いや、残念ながら僕らは民間企業の犬でね。
僕らのご主人様は株主なんだ。この国では
議員選挙ですら、株主しか投票権がない。
僕らも株主を怒らせたら即解雇さ。あと、
最悪の場合、退職金すら出ない。」
「警察組織が民営化しているのか?」
「いや、正確に言うと憲兵と消防団に
近いかな。それはいい。で、君は
どっちなんだい?」
「何がだよ?」
「今すぐ僕と契約して事件を解決するか、
君がコレクター事件の真犯人として、
処刑されるかさ★」
「契約? お前、契約書をちゃんと
持ってきたのか?」
「ハハハ・・・このタブレットの画面に
表示された空欄に君がサインすれば、
君の身柄は一時的に僕が預かる。僕は
お偉いさんの魔族の長男でね、権力が
他の人達よりもちょびっと、あるんだ★」
「へぇ、それはなんでだ?」
「僕の先祖がベーコンという豚の塩漬けを
考えたからさ★」
「そりゃ素晴らしい発明だな。腐った肉の
解決法を考えたのか。」
「ハハハハハ!! 僕の世界のジョークだ!!」
「なんだ、残念だぜ。あんたの良いところが
見えたのに。失望したぜ。」
「ハハハ・・・そうだ、君にクイズを
出しちゃうぞぉ★」
突然ベンジャミンはポケットから紙に
包まれたハンバーガーに見える物体を
取り出した。ジンに見せると、急に
ベンジャミンは語り出した。
「このハンバーガーを量子としようか。
君、量子の意味は分かるかな?」
「0と1であるってことぐらいかな。
それがランダムで変わる。」
「ほうほうほうほうほう!! 僕らと同じ物理学が
学ばれているのか。実に素晴らしい奇跡だ!!
・・・さて、ここでクイズだよ。僕が持つ
このハンバーガー、中身はハンバーガーか、
それとも空かな?」
「もし保存則で考えるなら包装紙の中身は
変化しない。観測する度に変わる多世界
解釈なら紙を取らないと変わらない。」
「いいね、ジン!! 君、保存則と多世界
解釈も知っているんだ★俄然君に興味が
沸いたよぉ。さて、ここでは後者だ。
魔法がなぜ計算すれば生成できるのかも、
この量子が関係する。例えば『火』を
物理演算できない世界とできる世界が
同時に存在し、魔法はできる世界を
選択し、アルゴリズムを作ることさ。」
「それはオレのAIが教えてくれたよ。」
「君が使う物体錬成だが。仕組みは
これだよ。保存則の世界なら君は
物体を空間に生成できない。なぜ?
エネルギーが変化しないからね。
だけど常に量子が変化している
エネルギーの世界なら、君は脳で
蓄積された魔素神経細胞と魔法生成AIで、
計算すると。君の世界の物質のアルゴリズムを
作れるんだ。それは、僕の家系が使う量子操作
魔法とはちょっと違うんだよな★」
「・・・なあ、司法取引の話は
どうなったんだ? いつまで
オレはお前の講義を聞かないと
いけないんだ?」
「ハハハハハ!! つまり、僕と
君は量子重ね合わせだ★
だから僕と契約して、二人で
力を合わせて事件を解決だ!」
「ハハハ。・・・嫌だね。」
鳩が豆鉄砲を食ったような顔をした
ベンジャミンは、ジンが口にした
言葉を飲み込めなかった。そして、
ベンジャミンはジンに尋ねた。
「何故なんだい!! 僕らは二人で一つじゃあぁ、
ないか!!」
「勝手にオレをハンバーガーのように
挟むんじゃねぇ。いいか、あんたに
協力するかどうかは、オレ次第だ。
だからオレが、先にあんたに頼むのが
筋ってもんだろ?」
「え!? 君、今は捕まっている立場、
じゃあぁないか?」
「主導権と黙秘権はオレにある。
もしオレが犯行動機や手口を
話さないまま、この世界を
去るとしようか。その後も
犠牲者が出たら、オレを
処刑したあんたらは、無能
ってことだ。株主も事件が
続いていることで、あんたに
責任を追及するだろうよ。」
次の瞬間、ベンジャミンは
椅子を後ろに倒して、机の
上にジャンプした。彼は、
ヤンキー座りしている。
ジンは無言になった。
目の前のタキシードの男は
見下ろすように、ジンを
見つめ、こう言い放った。
「僕を脅しているな・・・・・・お前!?」
「脅しじゃねえ。事実を突きつけているんだ。
オレは先にお前に条件を言う。お前はそれで
オレと組むか決めろ。オレが先だ。」
「僕が先だろ!! 僕がお前に頼んでいるんだよ!!!」
「オレが先だ!! お前はオレの条件を聞け!!!」
「いいともぉ!! だが、お前が決闘に勝ったならな!!」
ジンよりも何としても先に条件を言いたい
ベンジャミンは、タキシードの胸ポケットに
あった赤いハンカチを金髪と黒い布マスクの
ジンに向かって投げつけた。ジンの近くに
ハンカチが落ちた。ベンジャミンは続けて、
無表情のジンに対して話しかけた。
「そいつを拾えよ。それを拾ったら決闘が
成立だ。手錠外してAIも返してやるよ。
外で僕に勝ったら条件を聞いてやるよ。」
するとジンは机の上のハンカチを指で
持ち上げる。ベンジャミンは笑った。
特務省 中庭
ジンは省内の中庭に出ると、建物の窓から
職員達が覗いていることに気がついた。
ベンジャミンと戦うことが、彼らの注目を
集めたようだ。ベンジャミンはステッキを
地面に落とし、ジンに向かって話した。
「ルール説明だ! まず僕とお前は、
これから体力の限界まで、戦う!!
次に、他の見物人に被害を与えたら
負けだ。戦闘から逃げてもダメ。
意識を失うまで、お互いに魔法
勝負と行こうじゃぁあないか!!」
「はっ。いいぜ、タイマンでお前に
勝てたら話を聞くんだな?
じゃあ、始めようか!!」
「いくぞ・・・・・・・・決闘だぁあああ!!」
ベンジャミン・ベーコンは両手を広げると、
空間に魔法陣が浮かび上がった。ジンには
理解できない文字と数式が見えた。
ベンジャミンの体から金色のオーラが
放出され、魔法陣から無数の矢が姿を
現した。それは空中で停止し、ジンを
狙っている。ジンは量子通信でアミに
呼びかけた。アカウントを取り戻した
ジンはアミと通信状態に入ることが
できた。アミがジンに対して話す。
「ご主人様、お久しぶりですね。」
「アミちゃん、準備はいいか?これからオレが
考える武器を生成するのを手伝ってくれ。
ま、禁呪魔法の物体錬成だけどな。」
「・・・・・・・しようがないですねぇ。」
「すまねえな。・・・・・・来るぞ!!」
ジンの両手に光の粒が集まりだし、ハンクとの
戦いで作ったレーザーブレードが出現した。
それを見たベンジャミンは言った。
「ふぉおおおおおおおおおう!! そいつが君の
物体錬成かぁ!! 無詠唱とか、僕は嫌い
なんだよ!! 伝統が感じられないからな!!
来たれ、我が魔力を持って命じる・・・。
流星水神弾!!」
ベンジャミンが召喚した矢に水の渦が
巻きつき、矢は水の渦によって回転し、
ドリルになって猛スピードでジンに
向かう。水流を利用しているようだ。
ジンもレーザーブレードを持つ手首を
回転させ、矢をはたき落とす。円形に
なったレーザーブレードの刃は回転に
よってバリアに変わった。ジンの回転
レーザーブレードを見たベンジャミンは
走り出し、ジンの背後に回って掌から
魔法陣を出現させた。今度は魔法陣から
ドラゴンが姿を現した。赤い鱗を持つ
巨大なドラゴンは、ジンに突進した。
ドラゴンを召喚したベンジャミンは、
ジンに向かってこう言った。
「ハハハハハ!! そいつは僕の量子操作魔法で
作ったドラゴンだ!! ちなみに魔法名は・・・
天上天下唯我竜神破だ!! 僕の最高傑作さ!!」
おそらく一生懸命名前を考えたのだろうなと、
ジンは無言でうなづいた。ジンはドラゴンに
対して斬りこむが、手ごたえを感じない。
まるで空気を斬ってるような感覚ようだ。
そしてドラゴンは尻尾を振り回してジンに
当てる。トラックにぶつかったような衝撃が
ジンに伝わり、ジンの体が吹っ飛んだ。ジンが
攻撃するとドラゴンの体はすり抜けてしまう。
逆にドラゴンが攻撃すると必ず当たった。
しばらくドラゴンと戦っていると、アミが
ジンに話しかけた。
「ご主人様、あれはご主人様と距離が2mmに
なった瞬間、ホログラムから物質化します。
つまり虚像でご主人様の攻撃を無力化し、
逆に攻撃する時に実体化します。なので、
ご主人様、気をつけてください!!」
「オーケイ。アミちゃん。・・・・・・
なら、こうするぜ!!」
ジンは突然腕を下げた。そして目を閉じて、
直立不動の姿勢でドラゴンの攻撃に備えた。
レーザーもスイッチを切り、光の刃は消えた。
その様子を見たベンジャミンは言った。
「アハハハハハハ!! ジン、それは地球の
命ごいってやつかなぁ!?諦めた時点で
既に決着はついているんだよぉ!! いけ、
天上天下唯我竜神破!!」
笑いながらベンジャミンはドラゴンに
嚙みつきを指示した。ドラゴンの口が
ジンの間近に迫っていく。次の瞬間、
ジンは目を開け、ドラゴンとの距離が
2mmになったのを、アミから聞くと
レーザーブレードをドラゴンに向け、
鍔から光刃を放出した。ドラゴンの
体から光の刃が貫通し、ドラゴンの
背後にいたベンジャミンの肩に刃が
届いた。ベンジャミンの肩に激痛が
走り、ジンに向かって話し始めた。
「キ、貴様ァアア!! 僕の最高傑作がァアア!!」
「ここまでだな。次で終わりだぜ、腕を義手に
してやるよ!! 覚悟しなぁあああ!!!」
肩に手を当てているベンジャミンは両ひざを
地面につけた。徐々にドラゴンは消失する。
最早彼を守るドラゴンは消えていなくなった。
猛スピードで迫るジンに対し、ベンジャミンは
泣き出した。自分を殺しにくる存在を生まれて
初めて認識し、ベンジャミンの股間が濡れた。
白目状態の金髪の男がベンジャミンに対して
剣を振り下ろした。二人の戦いを静観していた
特務省の職員達は目の前で泣いている
エルダーナイツのベンジャミンが殺されると
思い、レーザーブレードを振り下ろす金髪の
男に向かっていった。このままでは省内で
殺人事件が起こると彼らは覚悟した。
次の瞬間、ジンは突然現れた謎の女に首を
絞められた。その女は自分よりも背が高く、
ジンを片手で持ち上げていた。泣いていた
ベンジャミンは謎の女にこう言った。
「き、来てくれたんですね!! ナジュリ長官!!!
うわぁああ!!」
「泣くな、ベンジャミン。正義を執行する者が
悪に屈するな。最後までねばれ、お前の
生き様を敵に見せるのだ!!」
「う、う、う、う…ご、ご、ごめんなさい!!」
いきなり現れた金髪碧眼の女将軍に、ジンは
何が起きたのかを理解できなかった。物凄い
力で首を絞められ、更にポニーテールの女は
手にスタンガンをいつの間にか握っており、
やがてジンの額に当てた。電流がジンの顔を
直撃し、ジンは意識を失った。赤い軍服を
着た女将軍は、地面に倒れたジンに言った。
「常に先手必勝が、私の主義でな。目が覚めたら話を聞こうか。」
ナジュリ・ゲオルギオス・ラ・ヴィンストン。
特務省の特務長官で、ジンを無力化した。
彼女は時間操作魔法によって、ジンよりも早く
行動が可能であった。敗れたジンは気がつくと
知らない天井が視界に入った。そして隣には、
ジンを倒した女性が座っていた。女は優雅に
紅茶を飲んでいた。そして次の瞬間、ジンの
目の前でリンゴを剝き始めた。いったい何が
起きているのか分からないジンは、謎の女の
尋問を受けることになったのだった。
なぜかスマホで自分の作品を見ると、改行がおかしくなっていることに気づきました。
大変読みにくい作品になってしまい、申し訳ありません。2月17日に直してみました。




