第6話 特務官(ジャッジナイト)
プライドシティ ビジネス街 ワールド・キャピタル地区
深夜の時間帯になっても、明かりがついている高層ビルがある。
プライドシティ全体を監視し、プライドシティの憲法を破る存在を
発見した場合、即座に職員を送り込んで対象を捕縛、または処刑する。
その名は「特務省」。そこに一台のグラビランナーがビルの屋上に
近づいていた。外観は真っ赤なスポーツカーようなデザインであった。
ゆっくりと赤いグラビランナーは着陸し、グラビランナーから2人の女性が姿を現した。一人は真紅の軍服を着用し、ポニーテールの金髪で、碧眼の女性だった。もう一人はボブカットの茶髪で、眼鏡を掛けており、青緑色の軍服を着ていた。
その後、赤いグラビランナーが離陸すると、上空を見上げている赤い軍服の
女性が、隣でタブレット端末を取り出して何かを検索している女性に話し掛けた。
「フェイフェン、例のコレクター事件について新情報はあったか?」
「は!! ナジュリ長官!!! 皆無で申し訳ございません!!」
「ふ……謝らなくていい。では、執務室に行くぞ。」
「は!!」
ナジュリ・ゲオルギオス・ラ・ヴィンストン。特務省の特務長官である。
年齢は30代と推定され、過去のゼルマニア戦争では「懐古社会主義」を掲げる
独裁者ヨードル・マルコフを暗殺した。古代魔法の使い手であり、「時の魔女」の
異名を持つ。「多様性・柔軟性・生産性」をモットーに、部下を指導している。
フェイフェン・メリーバロンズ。特務官の上級メンバー、”エルダーナイツ”の
一人。得意な魔法は闇属性魔法。好きなタイプはナジュリで、密かに恋している。
ナジュリとフェイフェンは屋上から執務室へ移動し、部屋の扉を開けた。
するとそこには4人の男女が椅子に座っており、ベンジャミン・ベーコンが
ナジュリの椅子にもたれて目を閉じ、更に足をテーブルの上に置いていた。
その無礼な振る舞いを、ナジュリを慕うフェイフェンは見逃さなかった。
ベンジャミンに近づき、眼鏡をくいっと上げると、彼にこう言い放った。
「貴様ァアア!! 越権行為である!!! 今すぐ辞表をナジュリ様に提出しろ!!!!」
「まーた癇癪ッスか、フェイさん。」
「その名で呼ぶんじゃあ~なぁい!! このゲス野郎!!」
「あれ? 前はタコ野郎じゃなかった? あれれ、記憶が衰えているんですか? 病院に行った方が良いッスよ。転生者のおかげで精神病も定理されましたし。」
ベンジャミンに挑発されたフェイフェンはとっさに両手を合わせると、
この慇懃無礼なタキシード姿の男に特大の闇属性の魔法攻撃をしようとした。
今から始まる部下二人の殺し合いを制止する目的で、ナジュリはため息を吐き、一触即発状態の2人に話し掛け始めた。他のメンバーもナジュリの方を向いた。
「やめろ、生産性が落ちる。おい、ベン。お前たちはいったい何の目的で
私の執務室で話しているのだ? 立体映像には地下街が映っているが…」
「それについては、ワシから説明させてもらうよ、長官。」
ナジュリの疑問に対し、初老の男性が応答した。フェイフェンと同じ色の
軍服を着用しており、白髪と白いひげが特徴の男性は机の上に手を組んだ。
エドワード・ラ・グッドマン。数々の難事件を担当し、椅子に座ったまま
推理し、事件を解決していたことから”安楽椅子探偵”の異名を持つ人物である。
「先ほど、地下街の監視カメラをハックしたベンが民間人による戦闘を見てな。
そこでベンと同じく不正アクセスで物体錬成を行った者が見つかったんじゃよ。
そやつの名前はジン・ゼッカード。職業は起業家兼マシンスレイヤー。先日は
デルフィア地区を占領していたS級の機械生命体を討伐したようじゃな。」
「ほぉ。それは経政連も喜ぶな。これでデルフィアの再開発も再開するだろう。」
「ワシは廃墟になっても風情を感じたデルフィアが好きじゃな。ま、それはいい。
問題はジンという男が錬成したのはヴァドールでは発明されていない物じゃよ。」
「ほぉ。エド、続けてくれ。」
「量子通信網に残された音声データをAIアナリストに分析してもらった結果、
被害者のハンクの左腕が変異し、それはヴァドールでは存在しないものでな。
被疑者のジンが言うには『そうじき』というものらしいのじゃ。どう思う?」
「ふむ……ジンが転生者である可能性を感じるな。」
「ワシもじゃよ、長官。おそらく異世界から転生し、ジンをハックしたのじゃ。」
「……ゼルマニアと同じか。マルコフもドイチェという国から来たと言ったな。
そして前世では国家社会主義を思いついたと。この世界の資本主義を問題視し、
前世で思いついた思想を持ち込んだ。そして奴は民衆を扇動し、国を分断した。」
「あやつの演説は今でも震えたよ、長官。剣と魔法の文明を取り戻し、多様性を
捨て、すべて政府が国民の財産や意思を管理するとな。そして昔のゼルマニアで
つむがれた文化を守り、森の民として自然を守り続けようとな。理屈は分かる。」
「まるで懐古主義がすべてを平等にする社会主義と悪魔合体した思想だな。」
「年寄りには悪意が囁くのじゃよ、今の時代をお前の青春時代に戻せとな。」
「東ゼルマニアの議員達は西に比べて、高齢化が進んでいたな。逆に若い連中も
格差社会に嫌気がさし、シティが広めている資本主義を嫌悪していた。」
すると突然、机の上に足を置いているベンジャミンがナジュリに話し掛けた。
「そろそろ本題に入りませんかねぇ、僕たちがするべきことは____」
次の瞬間、ベンジャミンはナジュリと位置が逆転していた。ベンジャミンが
座っていた椅子にはナジュリが座り、逆にベンジャミンは扉の前に立っていた。
ナジュリが時間操作の魔法を使ったことを確信したベンジャミンは笑い出し、
ベンジャミンは机の上で立体映像を見るナジュリに向かってこう言い放った。
「ハハッ!! まーた時のアルゴリズムをいじったんですかぁ、長官!!!
そいつは経政連の制定する憲法第7条、世界の危機を招く魔法を禁じるを
無視する法律違反ですよぉおお!? いいんですかぁああ!?」
「私は経政連から超法規的措置を受けている。お前と同じだ。」
「同じ? 違うなぁ、あなたと僕は性別も血統も何もかも違う!!」
「今の発言は差別発言として上に報告しよう、ベン。それでは、
我々は今回の事件を異世界転生者による量子空間改ざん事件として
上に報告し、議会の判断を仰ぐ。転生者は異世界人の肉体を不正に
取得し、この世界に存在しない凶器で被害者を殺害したこともな。」
「議会の判断? 株主に今から考えさせるんですか? そんなの、
時間の無駄無駄無駄ムダァ!! 常に時間との戦いなんですよ、これは!!」
「我々は大資本家の管轄下にある。場合によっては、ジンに対して
シティが保有する人工知能搭載の無人兵器を使用する状況になる。」
「国家戦略兵器を投入するんですかァ? たかが民間人相手にぃ!?」
「あくまでこれは私の予想だ。おそらく9割の確率で私が出向くだろう。」
白熱するナジュリとベンジャミンの言い争いに、あくびをしている女性がいた。
栗色のツインテールと青緑色の軍服を着用し、ベンジャミンと同じくオッドアイの
女性。右目は赤く、左目は黄緑色であった。セイコ・マクネアリー。得意な魔法は
重力操作で、物体の浮遊や宇宙空間から隕石を標的に当てることも可能であった。
セイコはベンジャミンに説明しているナジュリに向かってこう話しかけた。
「長官~。うち、別件があるんでぇ、もうデスクに戻っていいですかぁ?」
「待て、セイコ。お前の意見も聞いてみたい。ジンについてどう思う?」
「んん~~~・・・超危険でキモい魔法使うんでぇ、即刻処刑すべきかと。」
セイコの発言の後、彼女の対面に座っているアフロの大男が話に割り込んできた。
「よぉ、なんでも暴力で解決は良くないぜ。ピースマインドでジンに会いに
行くべきだ。俺ら特務官は、被疑者に対して任意捜査が基本だろ?」
ジョージ・メリフェザー・ヤングブラッド。アフロヘアと褐色肌、筋肉質の男は
青緑色の軍服を着崩し、前のボタンをはずしてタンクトップを周囲に見せていた。
そしてセイコの隣に座っていた猫の顔をしている男も賛同した。青緑色の軍服に
三毛猫のような顔をした獣人。オハギ・スラグホーン。独特な口調で話し始めた。
「ワイも賛成や。いきなりドォーンと相手のケツに手を突っ込んだら、それこそ
奥歯ガタガタいわせるどころか、ワイらの立場ガタガタになりますぅ。」
ジョーとオハギの意見も聞いたナジュリは、まずは先に話し掛けたジョーに
自分の意見を伝え、その後でオハギと話すことを脳内で決めた。
「ジョー、確かにお前の言うとおりだ。だがな、我々は中間管理職なのだ。
株主が組織の決定権を持っている。なのでジンと交渉するのは我々ではなく、
経政連だ。しかし、平和裏にことを進められるのであれば、お前の意見も
採用されるかもしれんな。いずれにせよ、我々は独断で動くべきではない。」
「そうですけど、でも俺はジンって奴が悪い奴に見えないんですよ!! 子供を
誘拐していたハンクはロケットで宇宙に飛ばしていたんですよ? そんな奴を
倒して、犠牲者を止めた。あいつは絶対に良い奴なんだと思いますよ!!」
「ジョー。お前が優しい魔族なのは私も知っている。私の父とお前の父は
共に同じ大学で物理学を専攻していたな。だが、今は上の判断を待つんだ。
そしてオハギ。お前の気持ちも分かる。だからこそ、準備を整えるのだ。」
「分かりました。こちらも万が一に備えて、ごっつい戦力集めますわぁ。」
「よし。本時刻をもって会議を終了。各員、自分の持ち場に戻れ___」
ナジュリの言葉を聞いたエルダーナイツは、ベンジャミンを除いて
ナジュリに向かって敬礼し、部屋を退出した。まだ執務室に残っている
ベンジャミンは、机の上で作業をしているナジュリに対して警告した。
「僕は認めませんよ。金儲けしか能がない経政連が、事件を解決する計画を
練れるとは思いませんね。どうせカオス理論を理解したAI開発にしか関心を
持たない愚民の集合体です。高潔な魔族である僕らの憂慮すら理解できない。」
「他種族を先入観で決めつけるのがお前の悪い癖だ。個人主義を貫き通すなら、
自由に生きる起業家になるのも道だと思うがな、ベンジャミン・ベーコン。」
「起業家? 今のAI全盛時代に事業なんて意味がありませんよ。
いずれ生まれる電脳神がAIを使って経済活動を始める。生物が
何かをする時代は終わり、人工知能だけの世界になりますよ。」
「その時は来るかもしれん。だから機械化人間が必要なのだ。」
「あのジンという男が、もしかしたらAIの神になろうとするかもしれませんよ?」
「神を目指して我々の世界を壊そうとするなら、我が命を懸けて止めるだけだ。」
プライドシティ 繁華街 オリエント地区
高層ビルが立ち並ぶプライドシティの繁華街、オリエント地区。ミドロワから
独立する前の時代は、数多くの難民が集まる貧民街だった。ところがシェーンが
現れてから、月日が流れるほどに地球からの転生者がこの地域に集まってきた。
転生者の多くは東アジア諸国出身の実業家や料理人であり、ヴァドール人が
思いつかないような調理法によって食文化が発達し、夜の屋台は賑わっていた。
ミシェルは日本のラーメンに似ているミャーメンという麵料理を味わっていた。
ミシェルはジンと違って全身を機械化しておらず、脳インプラントによる量子
通信機能を持つ魔族だった。麵をゆっくりとすすり、恍惚な表情を浮かべている。
美味しそうな食事を楽しむミシェルを眺めながら、隣に座るジンは今後のことを
考え始めることにした。自分は妄想をしたら、空間全体がネットワークによって
つながっていることに気づき、地球で見たことのある武器を作ることに成功した。
これは自然法則を破ることではないのかと思ったら、後ろから声をかけられた。
「おおい!! 誰かと思えばよぉ、ジンじゃねぇか!! ええ、おい!!」
しゃがれ声で、酔っ払いにからまれたと思ったジンは後ろを振り返った。
そこにはハンチング帽と団子鼻、べっこう縁の眼鏡が特徴の男性が立っていた。
「誰だお前。オレになんか用かよ?」
初対面の男性に対し、ジンはぶっきらぼうに尋ねた。隣で聞いていた
ミシェルが箸をドンブリの上に置き、ジンに対して説明することを始めた。
「ジンくん、その人は依頼主の代行サービス会社を経営しているマシュアさん。」
「代行サービス?」
「うん、依頼主の情報を秘匿し、依頼主に代わって企業に依頼するんだよ。
シティじゃみんな恨みを買いたくないからね。もし依頼主の素性がバレたら、
報復にハンクみたいなギャングに暗殺される危険性もあるんだよ。ここじゃ、
機械生命体以外に命を奪う存在がたくさんいるんだよ。」
「へぇ、そうなんだ。そういう連中から依頼主を守っているんだな。」
ジンとミシェルの会話に、マシュアは強引に割り込んできた。
「おうおうおう!! なかなか良いこと言うじゃねえか、ジン!!」
「おい、勝手に座るんじゃね。あとオレ記憶喪失だからお前を知らんのよ。」
「うぇええええ!? 記憶喪失? ハハハ、またVRプレイでAI抱いたのか?」
「はぁ? 何言ってんだお前は。」
「風俗嬢生成AIだよぉ、いやだねぇそれも忘れちゃったの?」
「風俗・・・・・・・そんなサービスがここにはあるのか?」
「ここにはってッ!! ジン、そいつはぁ世界中で流行っているAIサービスだお!!」
「世界中で流行っている?」
「そうだお!! AIbirth社が開発した風俗嬢AIがあらゆるVR空間でヒトや魔族の
相手をするんだ。記憶が吹っ飛ぶほどの激しいプレイも出来るからな。お前、
もしかしてハードコアなプレイで頭がイカれちまったのかぁ? ワハハハ!!」
「・・・・・・・」
「冗談だよ、怒るなよ!! 悪かった。で、お前はこれから何をする気なんだ?」
「いきなり真顔になるんじゃねえよ。」
「あのな、ジン。ここじゃお前の名前は有名なんだ。スクラップ・ベヒーモスや
ハンクをぶっ殺したとなれば、お前について興味を持つ連中が来る。そんとき、
お前が記憶を失ったという話は連中にとっては好都合なんだよ。」
「連中ってどういう奴らだ。オッサン、教えてくれよ。」
「おお。いいか、よく聞けよ。お前が記憶を失っているにも関わらず、
強い力を持っているということはな、経政連は転生者だと気づくだろう。」
「!! まて、経政連ってのは何だ?」
「奴らはこのシティの政府みたいなもんよ。庶民を生活保護で軟弱にし、
起業家やAIが作った製品やサービスを借金させて買わせている。おまけに
その会社を運営しているのは株主だ。ここじゃ投資家こそが人権あるんだ。」
「投資家だけが権利を持っているのか?」
「ああ。選挙権や投票権も株主になった奴だけが手に入れる。金融に強い奴が、
このシティで裕福に暮らせる。そいつらは上層階級って呼ばれ、投資AIによる
資産運用を庶民に勧めてくるんだ。なぜか分かるか?借金漬けにして、財産を
かすめ取るのさ。今の技術じゃAIでも変動する株式市場を完璧に予測できねえ。
だけど無知な庶民はAIならできると思い込む。そして、限度額を超えた債務を
抱えた庶民はギャングによって臓器密売の素材にされちうまんだ。今だって、
コレクターって呼ばれている連続殺人鬼がヒトの脳みそを集めているからな。」
「コレクター…ナニモンだ? そいつは。」
「俺も知らねえ。ただ、どうも魔族よりもヒトの脳みそに興味があるみてえだ。」
「ふーん…で? 経政連がオレが転生者って気づいたら、何がヤバいんだ?」
「あいつらは地球っていう異世界に行こうとしているみたいだな。」
「!?」
「話続ける前に、飯食わせてくれや。喋っていたら腹減っちまった。」
「お、おい!!」
マシュアはメニュー表が表示されている立体映像を目の前に出し、
半チャーハン餃子定食のような料理が映っている画像を指で触った。
既に食べ終わったミシェルは、味に満足した様子で背伸びした。
そしてマシュアのマイペースに戸惑うジンに対して、こう言った。
「今はチャンスだよ、ジンくん。マシュアさん、実は転生者なんだ。」
「はぁ!? え? マジかよ、このオッサンが!?」
「そうだよ。前世ではジャーナリストだと言っている。まあ、この地域は
転生者が集まる場所になっているからね。異世界の情報を共有している。」
「そうだったのかよ・・・・・・。」
マシュアは追加注文されたビールを飲みながら、隣に座っているジンに
対して経政連の目的について語り始めた。それは、かなり陰謀論に近かった。
「ミシェルに言われた通り、俺は前世ではジャーナリストだった。そして、
俺は前世での経験を活かし、この異世界の報道機関で働き始めた。ある日、
1人の記者が俺に教えてくれた。100年前に異世界人にコンピュータを教え、
今から50年前に行方不明になったシェーンという男についてだ。」
「お、そいつが確かiMagicという機械を作ったんだよな?」
「そうだ。俺はそいつについて徹底的に調べた。間違いねえ、あいつの正体は
シリコンバレーでアニマ・コンピュータを創業したスターク・ジョナスだ。」
「!! ジョナスだとぉ!? 嘘つくなよ、オッサン!!」
「異世界人が書いた伝記やイラストを見て、確信した。そしてジョナスが
いなくなった後、このシティで新たな政治体制が生まれた。経政連だ。
そいつらからすればジョナスは神の使いに見えたんだろうな。それまで、
ヒトは魔族の保護対象で、身分制度が決まっていた。昔から商業に長けた
ヒトは魔族の発明家も囲い込み、人工知能や人工衛星なんかを作り出した。
どうすればもっと技術革新が生まれるのか、奴らは考えた。そして、奴らは
ジョナスがいた地球を目指すことを始めた。現に今は宇宙開発が進んでいる。」
「宇宙に? 地球に行く宇宙船でも飛ばしているのか?」
「ああ。AIサイエンティストを開発し、AIが設計・開発した宇宙船で地球に
行こうとしている。目的は同盟関係を結び、更なる科学の発展を願っている。
だがな、経政連の中には猜疑心が強い奴がいてな。今から4年前に起きた
ゼルマニア戦争の首謀者が転生者だった。だからそいつは地球人が友好的と
思っていない。だったら地球をヴァドール人が征服するべきだと主張している。」
「異世界人による地球侵略・・・・・・・」
「そうだ。地球の転生者のおかげで、この世界は発展した。つまり地球人は
ヴァドールを征服できるテクノロジーを隠しているに違いない。そう主張を
しているのが、通称『EAMA』という四大企業を支配する筆頭株主たちだ。
まず、この異世界のエネルギー産業を支配する大企業がEnergeosだ。
次がAIbirth社。そして、この世界の農業や量子通信網を支配するMero社。
最後が宇宙開発を手掛ける巨大企業のAerospaceX社だ。ここの創業者の
クーロン・マッキードという男がヤバい奴でな。そいつは地球を征服するための
宇宙戦艦を建造中だ。奴は人造人間の軍団も保有しててな、武力によって地球人に
接触する気だ。そして地球人の武装解除を終えた後は、異世界人を移住させる。」
「おいおいおい!! オレが知っている人に似ている名前がいるが、全然違うぞ!?」
「クーロンはまったく真逆の男だ。庶民から見れば慈善事業に熱心な男だが、
色々と調べてみると闇が深い。生物よりも人工知能を信じてて、機械の神を
作ろうとしている。ロボットを新しい種族として認める世界を妄想していた。」
マシュアはその後も陰謀論のような話をオレにした。だんだんミシェルも
眠くなり、オレに対して帰りたいと言うので、オレたちはミシェルの家に
帰ることにした。しかし、マシュアが言っていることが気になる。EAMAが
地球侵略を狙っていることが本当ならば、オレはそいつらを調べる必要がある。
明日、マシュアと一緒にプライドシティのビジネス街に向かうことになった。
ここからかなり離れている。いったいどんな場所なのだと気になるが、オレは
ソファに横になった。次の日の午後まで、脳を休めることにした。翌日、事件が
ビジネス街で起きてしまった。オレは尋問室でベンジャミンと会うことになった。




