表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/8

最終話:おばあちゃんになりたかった

 四十九日当日。桜井家の庭には、親友の恭子が手配した色とりどりの花が溢れていた。

 それはお葬式ではなく、加菜恵が夢見た「未来の結婚式」のような、明るく、柔らかな光に満ちたパーティーだった。


 恭子は現実派らしく、一滴の涙も見せずにテキパキと客をもてなした。けれど、彼女が用意したメニューはすべて、加菜恵と高校時代に「いつかお腹いっぱい食べようね」と笑い合った思い出の品ばかりだった。


夜が更け、日付が変わる一時間前。  加菜恵の姿は、まるで水面に映る月のように揺らぎ始めていた。


 一人一人とのお別れが始まる。

「颯太、お母さんを助けてあげてね。結衣、受験頑張って。お父さん、飲みすぎちゃダメだよ。お母さん……私を産んでくれて、ありがとう」


 最後に、蓮の前に立った。  蓮は、加菜恵の手を離すまいと必死に握りしめるが、彼の指はもはや、光の粒子を掴むことしかできなかった。


「蓮君」


 加菜恵は、ずっと胸に秘めていた言葉を、初めて口にした。


「私ね、わがままを言ってもいいなら……蓮君と一緒に、しわくちゃのおじいちゃんとおばあちゃんになりたかったな」


 その一言に、堪えていた全員の涙が溢れ出した。  

「おばあちゃんになりたい」。

 それは、若くして逝く彼女が抱いた、もっとも贅沢で、もっとも平凡で、もっとも切実な、届かぬ願いだった。


「おばあちゃんになった君を、僕が一番綺麗に描くって決めてたのに……」

 蓮の慟哭が夜の庭に響く。


「……ありがとう。みんな、大好き。ずっと、ずっと……」


 時計の針が、零時を刻む。  加菜恵の姿は、一際強く光り輝いたかと思うと、初夏の夜風に溶けるようにして、静かに消えていった。


 そこには、彼女が最後に着ていたワンピースと、蓮に贈った小さな花の刺繍だけが残されていた。


 翌朝。

 桜井家の庭には、昨日までなかったはずの、小さな白い花が咲いていた。

 恭子はそれを見て、「あいつ、最後まで準備がいいんだから」と、初めて声を上げて泣いた。



 加菜恵は、おばあちゃんにはなれなかった。

 けれど、彼女が遺した愛は、残された人々の心の中で、長い年月をかけてゆっくりと、優しく、色褪せない記憶へと熟していくのだ。



この作品はAI60%、筆者40%で書きました。

指摘や感想とか頂ければ励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ