ついにやって来た選挙戦
待ちに待った選挙戦が始まった。後藤候補も選挙カーでアピールしているが、鈴木七之助候補に支持者を持って行かれているのではないか、と参謀の遠藤は直感で感じていた。
「柴田と佐藤には内緒で、うな重を有権者に配らねば」
遠藤は思い切って行動に移すことに決めた。後藤候補のイメージアップのためには多少のリスクも厭わない。その晩、遠藤は密かに地元の名店と連絡を取り、翌朝までに大量のうな重を用意するよう手配した。
次の日、後藤候補の選挙カーが再び街中を走り出すと、遠藤はうな重の入った箱を車に積み込み、有権者が集まる場所に向かった。商店街の入り口、公園、駅前広場など、あらゆる場所でうな重を配り始めた。受け取った人々は驚きつつも喜んでいた。
「後藤候補からの心ばかりの贈り物です。どうぞお召し上がりください!」
と遠藤は声を張り上げた。うな重の香りとともに、後藤候補の名前が人々の記憶に残るようにと願いながら、有権者一人ひとりに手渡していった。
その夜、遠藤は選挙事務所に戻り、柴田と佐藤にうな重の配布について打ち明けた。二人は一瞬驚いたが、すぐに理解を示し、うな重の効果に期待を寄せた。
「これで少しでも後藤さんの支持が広がればいいね」と佐藤は言い、柴田も
「そうだな、地元の名物であるうな重を使うのは良いアイデアだ」
と賛同した。
選挙戦の終盤、後藤候補の支援者は徐々に増え始め、地元の人々の間での評判も上向いていった。遠藤の直感と行動力が功を奏し、後藤候補の勝利への希望が高まっていった。