1/20

町

　ここは、日本の地方の町である椛山町（もみじやままち）。周りは山に囲まれて日本有数の自然が多いそんな町。特産物は、お米や野菜、山菜などである。

　そんな椛山町では、町議会選挙が始まるために12議席に14人の立候補者がいる。まるで、町をあげての椅子取りゲームのようだ。

　その中でも特に注目を集めているのが、現職議員の後藤虎之介（ごとうとらのすけ）と、新人候補の田中美咲（たなかみさき）だ。後藤は長年町議会で活動してきたベテラン議員であり、地域の経済発展に貢献してきたと自負している。一方、田中は若手のエネルギーと情熱を持ち、地方の未来を変えたいと意気込んでいる。

　選挙戦が激化する中、後藤は次第に焦りを感じ始める。特に田中の支持が日増しに高まっていることに不安を覚えた。そんな中、後藤の選挙事務所に一人の男が訪れた。彼の名は佐藤靖忠（さとうやすただ）、地元の有力な農家であり、後藤を長年支持してきた人物である。

　佐藤は後藤に対し、「このままでは負けてしまうかもしれない。何か手を打たなければならない」と助言する。後藤は一瞬ためらったが、佐藤の言葉に背中を押されるようにして決意を固めた。