その決闘、私達が仕切るわ!
まあ、この作品は異世界恋愛系じゃないから。
ルーネside
あの時の彼は、確かにゼン様だった。
まさか、この学園に留学していたなんて!
しかも、アルファーザス国ではなく、その隣国のベータグシム国からの留学生としてなんて。
そして、私がゼン様を見誤るなんてあり得ない!
だからこそ、私は学園での全てを失う覚悟で、あの場でマサヨシを拒絶した。
でも、学園か、それより上かは分からないけど、情報操作されていて、私の拒絶を「照れ隠し」とか「まだ婚約が本決まりではないから」になっていたわ。
私は耐えきれなくなり、マサヨシの制止を無視してゼン様を探したわ。
この学園の主な学生が貴族の子息令嬢の為に、昼休みは長く取っているから、見つかる筈よ!
……居た!
「ゼン様!」
ゼンside
昼食が終わり、まだ昼休みの時間が残っているからのんびりしようと決まった時に、俺達の気配察知が反応した。
その気配の方向を見ると、獣人族の美少女が涙を流しながら笑顔で、俺に抱き着いた。
「ゼン様!」
「……ルーネか!?」
「はい! お祖父様や両親の前で尻尾の誓いをした貴方のルーネです!」
「やっぱりルーネか」
「はい!」
「あまりに綺麗になっていたからビックリしたぞ」
「ゼン様の婚約者として頑張ってきました」
……また気配察知に反応した。
「僕のルーネリアから離れろ!」
未来の英雄マサヨシ君の登場だ。
「貴方のルーネリアではありません!」
「な!?」
「私は、ゼン様のモノです。そして、正式な私の婚約者です!」
「そうですよね、ゼン様」
「確かに俺はルーネの正式な婚約者だ」
「ふ、巫山戯るな! 僕が先に婚約者に名乗り出たんだぞ!」
「いいえ。マサヨシが先ではありません!
ゼン様と正式に婚約したのは4年前です」
「4年前だと!?」
「そうです! ですから何度も言いました。
私には婚約者が居ると!」
「……うだ」
「何て言った?」
「……決闘だ!」
「「「「「「は!?」」」」」」
「僕は貴様に決闘を申し込む!
勝った方がルーネリアの婚約者だ」
「する必要がありませんね。
仮にマサヨシが勝ったとしても、私がマサヨシとの婚約を受ける事は有り得ませんから」
「僕との決闘を受けろ! それとも逃げるのか?」
……安い挑発だな。
しかし、バカか?
俺が前世で死ぬまでに、あれ程の異世界転生や転移に、勇者召喚のラノベが売られていたのに、読んだ事が無いのか?
まだ期間が2年程残っているが、ルーネの婚約者が目の前の馬鹿になるのは嫌だな。
「……キャッ!」
「良いだろう。その決闘を受ける!」
……ちょっと格好付けて、俺はルーネを肩抱きで宣言した。
「その決闘、私達が仕切るわ!」
「……リシアに……ボルジャック皇太子殿下!」
……気配は察知していたから、あの2人は「出」を狙っていたな。
名前に「五」が付くガ○ダム乗りみたいに。
正直、別に勇者召喚しなくても、Sランク冒険者を3人程派遣すれば、多分魔王は討伐出来るだろうが、見付けて交渉する時間と料金が掛かるからだな。
それに皇国は長い歴史を持つから、自分達が召喚した勇者達に魔王を討伐させ、世界を先導する旗手になりたいのだろう。
とりあえず、この決闘はボルジャック皇太子殿下預かりになり、俺達は午後から普通に授業を受けた。
……まあ、中休みは決闘の話で持ち切りだったがな。
放課後、俺達は呼び出され会議室に案内された。
中央にはボルジャック皇太子殿下と一緒にいた貴族令嬢も居た。
そして、ボルジャック皇太子殿下から見て右側に勇者達が、左側に俺達が座る。
そして、貴族令嬢の隣に座っていたルーネが立ち上がると、即座に勇者マサヨシは自分の隣の空席を勧めるが、無視して、自分で椅子を持ち、俺の隣に椅子を置き座る。
勇者側はギャアギャア喚いていたが、ボルジャック皇太子殿下の「静かに」で場が収まる。
……そこは「騒々しい。静かにせよ」と、腕振り付きで言って欲しかった。
静かになった所で、俺達に対しての自己紹介がされた。
どうやら、ルーネは学園始まって以来の完璧超人で、二つ名に「氷姫」と呼ばれているらしいが、名の由来はルーネ自身に因って秘されたが、後にクラスメイトが教えてくれた。
「……リシア」
「は~い。黙っています」
そして、ボルジャック皇太子殿下の隣に座る貴族令嬢は、ルーネの女子寮のルームメイトにして親友で、ボルジャック皇太子殿下の婚約者だ。
「それでは、決闘についての取り決めを行う。
先ずは決闘の形式は『一対一』とし、使う武器は私達が用意した模擬戦の物を使う事とする。
更に、使える魔法は身体強化のみとする」
「防具等は?」
「各自が用意する事」
「日時は?」
「10日後の休日とする」
「決闘の規則は?」
「不殺に、部位や四肢欠損を禁ずる」
それ以外にも、決闘の場所は学園の練武場を使用する事が決まった。
「……以上だ。他に無いか?」
「それなら、僕からだ!」
「許可する」
「貴様が負けた時は、ルーネリアに一切話し掛けるな! そして、接触するな!
そして、婚約を解消しろ!」
「皇太子殿下、よろしいですか?」
「許可する」
「それなら、俺も同じ内容をお前達に要求しよう」
「僕達が負けるわ……」
「ただ! 俺は口約束が嫌いでな」
そう言うと、俺は「倉庫」から白紙の魔法誓約書を取り出す。
厳しくも温かいメッセージを待っています!
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