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目の前の貴族令嬢から表情が消えた。

原因や理由が無いサイコとは違います。

 


 貴族令嬢のお嬢様が、涙を流し俺を睨みながら近付いて言った。


「どうしてこんな事を!」

「武器を抜き、殺意を向けた者を返り討ちにしただけだが?」

「それは……」

「ちょっと離れていろ」

「え!」


 俺は風属性魔法の応用で死体を1ヶ所に集め焼却した。


「終わった。行こうか」

「はい?」

「助けられたお礼をするのだろう?」

「……」


 眼の前の貴族令嬢から表情が消えた。


「昔さぁ、今回みたいに善意で助けた事があるんだが、助けた人達の中の1人が言った」

「何…を?」

「助けを呼んだ覚えは無えってな。

 そしたらどうなったと思う?」

「……」

「その翌々日に家族が行方不明になって、数日後には女手1つで育ててくれた母さんに、結婚間近の姉さんと、まだ13歳の妹が複数人の男の暴行を受けて、人通りの多い道に棄てられていたよ」

「……え!」


 あの時に悟ったな。

 善意すらも逆恨みの原因にする馬鹿がいると。


「だから、今回みたいに明白な殺意と行動を起こした相手には慈悲を捨てた」

「……」

「どうする? ……いや。貴族は歪んだ誇りを持っているからなぁ。……全員の口を封じるか?」

「ま、待ってください! 私の名に誓って貴方の先程の行動に罪を問う事はしませんし、家の者にもさせません!」

「……本当かよ」

「信じてください!」

「なあ? 確かに貴族様相手に対しての口調や態度では無かったかもしれないが、主が黙認した事を、護衛の騎士が自己判断で勝手に動き、断罪するべきだと行動する程の事だったのか?」

「そんな事はありません!」

「しかし、主の直ぐ後ろに立つ護衛騎士という事は、名実共に認められた騎士なのだろう?

 その騎士が認めぬ相手に対しては、例え仕える主の命の恩人だろうが殺しても良いと思っていたのだろう? そんな騎士を側近にするとは……」

「そんな意図で側近にした訳ではありません!

 ですから信じてください、お願いします!」

「もし、裏切ったら?」

「私の全てを捧げます」

「その言葉に偽りは無いな?」

「私の家名に賭けて」

「……分かった」


 視線を護衛の女騎士に向けて言った。


「聞いていたな? もし、貴様から俺の事が漏れれば、貴族としての誇りを捨ててまで貴様の為に下げた頭が無駄になり、膝を汚し謝罪する事で保てた名誉が地に堕ちる訳だ、貴様の所為せいでな」

「……承知した」


 この後、あれだけのモンスターに囲まれた原因を探したら、馬車の1つにモンスターを誘き寄せる魔道具が、馬車の外側の底に取り付けられていた。

 因みに、侍女やメイドは馬車の中に籠もっていたし、位置関係から見えなかった筈だし何も知らない筈だ。

 つまり、この貴族令嬢と女騎士さえ、口を閉じれば問題無い訳だ。


 ……流石に国を相手にしたくないからな。


 後、全滅の理由は大群のモンスターがになってくれる。

 あれだけの大群、普通に全滅だからな。

 むしろ、生き残りがいる事が奇跡な訳だ。


 そして、俺は出戻った。


 冒険者ギルドで真実を隠し、モンスターを引き寄せる魔道具と、大群のモンスターで事実を歪める。

 内容は、俺が駆け付けた時には護衛の冒険者や騎士が全滅していて、俺が何とか残りのモンスターを殲滅した……にした。

 戦える者の中で、唯一、女騎士が生き残ったが、その代償は安くなかったという事になった。

 後、大群のモンスターは、冒険者ギルドに併設している練武場に出した。


「大丈夫だったか、ルーエ」

「……はい。危ない所を、彼が私達を助けてくれましたから」

「初めまして。冒険者のゼンです」

「良くやった! 私からも褒美を出そう」


 次代の辺境伯夫人を助けた恩人という事で歓迎を受けた俺は、豪華な料理に舌鼓したつづみをし、広い風呂と、監視と万が一を防止する為のメイド達2人の芸術品を鑑賞した。


 ……ガキの外見、ありがとうー!


 その後、念押し代わりに貴族令嬢の部屋で軽く卓上遊戯で時間を潰すと、俺に割り当てられた部屋に行き就寝した。


 時間は午後10時ぐらいで、日本だと午前2時相当の時間に、割り当てられた部屋に対して殺気を放つ者が居るから起き上がり身構えていたら、侵入者が現れた。


「ケビンの仇……ぐはっ」


 仇って事は、護衛騎士の誰かの事だろう。

 とりあえず、暗殺者となったメイドの腹に一撃入れて気絶させた。


 ……隠蔽を施した遮音魔法を掛けて…と。


 メイドの服と下着を綺麗に脱がして、縄で四肢を大の字の形でベッドに拘束してから起こす。


「……ん」

「おはよう。まあ、日の出まで、まだ大分先だが」

「殺してやる!」

「ケビンって、護衛騎士の1人か?」

「そうよ!」

「恋人か?」

「幼馴染で婚約者よ」

「それは悪い事をしたが、俺も殺されそうだったからな」

「それでも!」

「まあ、戻れない過去の話は止めて、復讐か? それとも誰かの命令か?」

「グルーエルお嬢様は関係無いわ」

「つまり、独断での復讐か?」

「そうよ! さっさと殺しなさいよ、ケビンみたいに!」

「そうだな。でも、その前に……」


 メイドが自殺しないように猿轡さるぐつわさせてから、メイド側の準備無しで頂く。


 ……使えたからな。


「ふぐぅーーー!」


 ……ご馳走さま。


 まさかの5ラウンド!

 さて、メイドの身体とベッドに洗浄クリーンで綺麗にして、完全治癒パーフェクトヒールで回復させた。


 それに、これ以上減らすと、貴族令嬢の誓いが破られるかもしれないからな。


 後始末が終わる頃には空も明るくなっていたから、今回の事を辺境伯とかの、他者に検閲けんえつされても問題無い様にした手紙を書き、運良く通り掛かったメイドに渡す。


「この手紙をベリーシア侯爵令嬢様に渡してくれ」


 メイドも「何故、私が?」と思うだろうが、渡す相手が未来の辺境伯夫人な為に受け取って貰えた。


 その後、気絶から復活したメイドに一言。


「俺がお前にした事をベリーシア侯爵令嬢以外に知られたら彼女の全てを奪う」

「な!?」

「どうする?」

「……わ、分かったわ」


 朝食を頂き、次代の辺境伯夫人を助けたという事で、白金貨3枚を褒美として貰った。


 そして、昨日、暗殺者となったメイドの今後を話し合う事になった。



厳しくも温かいメッセージを待っています!

そして、星の加点とブックマークをお願いします。

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