良い思い出になったか?
決して安くない乙女の覚悟。
この後、諸々を処理する為に、俺以外は応接室に案内された。
因みに、虚偽の家臣達は領主館の牢屋行きだ。
そして、俺はエグゼのご機嫌取りで、ブラッシングとか身体の洗浄をした。
1時間後に、俺もサラ達が居る応接室に入った。
その15分後にエグジーラ子爵と執事が入って来た。
「待たせたな」
「それで?」
「改めて事実確認をしたが、虚偽の説明をしたのは此方側であった。
謝罪という訳ではないが、追加報酬に色を付けよう。更にゼン殿には、別に慰謝料を払う」
「分かった」
リージェ達も、俺が納得したのなら、と頷いた。
「追加報酬は、森狼20匹分であったな?」
「はい」
リージェが答えた。
「では、依頼に書かれた通り、1匹に付き大銅貨4枚だが6枚払おう」
「それでは、追加報酬の大銀貨1枚と銀貨2枚と、迷惑料の大銀貨7枚です。
そして、直接ご迷惑をお掛けしたゼン様には金貨1枚をお渡しします」
……子爵なら、これが限界かな。
「分かった」
先程と同じく俺が納得したのなら……で、リージェ達も追加報酬を受け取る。
この後、俺達は領主館を後にして、王都に戻る事にした。
リージェ達も居辛いと言っていたしな。
そして、町の近くの野営地に1泊する事になった。
だって、まだ冒険者ギルドから解体をお願いした分を受け取ってないしな。
「「「「美味しい!」」」」
「それは良かったな、サラ」
「ええ」
翌日、俺達は町に行き、冒険者ギルドから解体をお願いした分を受け取る。
勿論、鮮血狼は肉と内臓だけは売った。
それで、この鮮血狼の素材をリージェ達にあげる事にした。
最初は断固拒否だったが、俺の演技がレッドカーペット級だったのか、泣き落としで堕ちた。
まあ、折角知り合ったんだし、受け取ってくれて嬉しかった。
何よりも、昨晩は馬車の中で大変美味しい思いをさせてくれたしね。
……内容は、ToL○VEる漆黒級だったよ。
言っておくが、俺からは何もしていないからな。
そんな訳で、そのお礼だな。
王都への道中で、リージェ達は話が盛り上がっていた。
貰った以上は、貰った物を活用しなければならないからだ。
「やっぱり、爪や牙は武器よね」
「「「賛成!」」」
「毛皮は、当然だけど、防具ね」
「「「勿論、賛成!」」」
「……魔石は?」
「「「「……」」」」
助け舟を出すか。
「4つに分けて、耐性系の付与をして首飾りとかは?」
「「「「それよ!」」」」
「ありがとう、ゼン」
「どういたしまして」
この後は、サラも加わり防具となる毛皮や、首飾りのデザインで、どうするかで盛り上がった。
俺とリンにランは、御者席に座っていて、リンとランは俺を挟みご機嫌だ。
「たまには、こういうのも悪くないですね」
「同感であります!」
明日には王都に到着するが、もう1泊する必要が有り、野営の準備を始めた。
しかし、2度ある事は3度有るで……
「良い匂いをしているなぁ。オレ達に寄越せよ」
「後、女も全て寄越しな」
同じ野営地で1泊する事になった「お隣さん」の馬車持ちの冒険者らしき野郎共が、そんな寝言を言った。
「先ずは、全員が雌ゴブリンのナンパを成功させてから来い!」
「「「「……ぶっ殺す!」」」」
1分後には、俺達は盗賊になり下がった元冒険者共から、所持金や装備品を剥ぎ取り、それが終わると、焼却用の穴を開け、蹴り飛ばしてカップインさせる。
焼却が終わると、土を被せて埋めると、奴らの馬車に洗浄を念入りに掛けた後、中を調べた。
特に「コレは!?」みたいなのは無かったが、隅に小さい女性用の髪飾りが落ちていたから回収した。
……もっと痛め付ければ良かった。
そして、その髪飾りを見ていたリージェ達が、とある覚悟を決めたかの様な顔をしていた理由は、就寝する時に分かった。
サラとリンとランは、馬車の屋根にベッドを置き、そこで就寝した。
……そして、俺はリージェ達の「初華」を貰った。
……翌日、リージェ達のぎこちない内股での移動を見れて、男として優越感込みで嬉しかった。
勿論、昨晩の事後の時にリージェ達やソファベッドには洗浄を掛けてある。
昨晩の事後の時にリージェ達は、話してくれた。
「昨日のアレで、怖くなったの」
「何に?」
「女が冒険者をしている以上は、あの危険は常に付き纏うわ」
「……そうだな」
「それで思ったの」
「何を?」
「あんな連中に、私達の『最初』を奪われたくないって」
「「「私達も」」」
「それで、ゼンなら良いかなって」
この時のリージェ達の赤く染めた笑顔を、俺は生涯忘れる事は無いだろう。
「良い思い出になったか?」
「「「「うん!」」」」
皆で朝食を済ませ、王都に向かって出発した。
……リージェ達の俺への「あ~ん」をした時の顔は可愛いかった。
王都に到着すると、明日の8時に冒険者ギルドで集合の約束をして別れた。
俺達は、以前選んだ宿屋で部屋を取ると、冒険者ギルドに行き、拾得物の届け出をした後、盗賊に堕ちた元冒険者の持ち物等は冒険者ギルドに売って、馬車や馬は専門店に売った。
「あの髪飾りは、小さいがかなり高価な感じだったからな」
「見つかると良いね」
「そうだな」
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