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貴方に私の尻尾を捧げます

女の子が絡む買い物は……

 


 当然の様に、同建物内に武器や防具等を売る場所が有った。


 そして、ルーネはフルコーデする気らしくて服から選んでいる。


「ゼン様は冒険者ですから実用的な服が当然として、その上でお似合いのデザインを……」


 真剣に服を選んでいるのを見て諦めた俺は着せ替え人形役に徹している。


 ……2時間掛けて、ルーネは3着の冒険者用の服を選んだ。


「幾らだ?」

「いえ。私からのお礼ですのでゼン様からは頂きません。ですから私が払います。

 貴女、私の口座から支払うわ」

「畏まりました、ルーネお嬢様」

「ゼン様。次は、武器と防具のどちらから行かれますか?」


 ……フルコースですよね~。


「防具から」

「分かりました。ご案内いたします」


 まあ当然だが、防具選びにも妥協しないルーネは、防具屋の主人が選んだ複数の防具の中から、より俺に似合う防具を真剣に選んでいる。

 暇になった俺は、周りを見ると宝飾品も取り扱う細工屋が有ったから、ちょっと買い物をした。

 店の女主人に色々と相談して、ルーネの瞳の色と同じ色の宝石を散りばめた首飾りを選ぶと、女主人はかなり浮き足立ち喜んでいたが、最後は擬音が「ニマニマ」となる笑顔になっていたが、その顔を見ていたら、1年前の晩御飯を思い出せそうで思い出せないみたいな、妙な気分になった。


 ……でも買った。


 防具屋に戻ると、丁度決まったみたいだ。

 因みに選ばれた防具は、魔鋼鉄と言う鉱物を使った防具で、近接格闘もする俺に合わせた両腕両足と心臓をメインにした防具だ。

 イメージに1番近いのは「聖闘◯星矢」の教皇編辺りの青銅◯衣に近いな。


 次は武器だ。

 今回は、俺が店の主人と相談して選んだ。

 選んだのは当然、日本刀だが、流石は異世界ファンタジーで、雷属性が付与された太刀に決めた。

 しかし、此処でルーネが参戦して、鞘の飾り意匠について店の主人との話し合いが始まった。


 ……この後、武器屋が終わるとテント等の旅に必要な道具を買い、全て終わる頃には午後3時を過ぎていた。


 そして……


「お礼の仕上げとして、夕食にご招待させてください」

「良いよ」

「ありがとうございます!」


 ルーネの真剣な顔に、素直に応じた。


 この大商会は6階建てで、1階は日用品等を売る平民向けで、2階は冒険者向けで、3階は全てスタッフオンリーで、4階は貴族向けで、5階はルーネ達家族用で、6階が執務室等の重要な階になっている。


 買い物が終わったら会長の所に行こうと言ったら、ルーネが「お祖父様には私から言っておくので大丈夫です」と言われたから、ルーネに従い5階の客室で待っていると、メイドが「夕食の準備が整いました」と言われて付いて行くと大食堂だった。

 その大食堂に既に座っているのが、位置的に1番偉い人が座る席にオーキナ会長が座り、その右側に多分ルーネのお父さんとお母さんで、会長の左側にルーネが座っていて、俺の席はルーネの左側だった。


 ……色々と誤解を産む席順じゃないかな?


 自己紹介が始まったが俺の予想は当たり、会長の右側に座っていたのはルーネの両親だった。


 夕食も、残りデザートのみとなった所で、俺は首飾りの事を思い出して、ルーネの家族の前で恥ずかしかったが贈った。


「ルーネ」

「は、はい」

「今日は、真剣に買う物を選んでくれてありがとう。これは、そのお礼だよ」


 ルーネに買った首飾りを見せると言った。


「え!? ……ゼン様に付けて欲しいです」


 首飾りを貰えて嬉しいのか、顔を赤らめてそう言われて、俺は首飾りを着けた。


「「「……」」」


 何故か、周りも緊張している?


「ルーネよ、返答は?」

「待ってください、父上!」


 何かのゲームみたいに「異議あり!」な感じで立ち上がったルーネのお父さん。


「黙れ、ペイル!」


 それを一喝で制すルーネのお祖父ちゃん。


「答えは、ルーネ」


 嬉々とした顔で問うルーネのお母さん。


「……ゼン様。貴方に私の尻尾を捧げます」


 顔を赤らめながらも真剣な顔で俺に向かって宣言するルーネ。


「おめでとう、ルーネ」

「ありがとう、お母様」

「くっ……」


 何? 何だ!?

 もしかして、強制イベント的な「何か」をやってしまった?


「これにて、我が孫娘のルーネとゼン殿との婚約が成立した」

「婚約!?」

「そうじゃ」

「どういう事だ?」

「ゼン殿……」


 向こうの説明だと、男性側が首飾りを相手の女性に直接掛ける。

 そして、女性側が、それを受け入れて返事を返す。

 その返事が普通の「ありがとう」なら、謂わば「貴方とはお友達のままでいましょう」で、意味は当然「お断り」だ。

 そして、その返事が「私の尻尾を捧げます」だと「男性の求婚を受ける」という返事になる……という訳だ。


 ……そんなの知らねーーー!


 俺は、そんな「伝統は知らない!」と、必死に説明をした。

 話し合いの結果、婚約は無かった事にならなかったが、婚約期間が6年となった。

 更に、この6年間に、俺より良い相手が出来たらルーネの方から一方的に婚約解消する事が出来る、とした。

 まあ、俺以上なんて6年間で幾らでも出会うだろうしな。


 ……それに俺は「綺麗・・」じゃないしな。


 ルーネの為にも、これで良かったんだ。

 小さい頃の「恋に恋するお年頃」で、成長すれば目が覚めるだろう。




 ルーネside


 ゼン様が、この伝統を知らなかったのは悲しくて残念ですが、諦める気は全然ありませんわよ。

 狐人族に限らず、獣人族の「尻尾を捧げます」は、決して「一時の気の迷い」で言える程の軽い「宣誓ちかい」では無いのですから!

 ですから、この6年間で私は自身を磨き、6年後に再び出会った時に、改めてゼン様から正式に「首飾り」を頂いてみせますわ!



厳しくも温かいメッセージを待っています!

そして、星の加点とブックマークをお願いします。

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