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……ゼンのバカ!

前門の虎、後門の狼……やな。

 


 俺も流石に疲れたので、その日は早々に就寝する事にした。


 翌朝、目覚めると俺の両脇にロザリアとリンが寝ていた。


「……ゼン様、おはようございます」

「おはよう、リン」

「……おはよう、ゼン」

「おはよう。ロザリア……チュッ」

「ふ、不意打ち禁止よ!」

「ロザリアは可愛いな」

「……ゼンのバカ!」


 因みに、俺が寝ている間にはナニも無かった。


 俺達は朝食を頂くと屋敷の図書室に行こうかと思っていたが、マリーベル嬢のデビュタントの意見を求められた。


 ……この世界に転生して、まだ半年も来てない俺に聞くなよ。


 俺の貴族令嬢のドレスに関わる知識なんぞ大した事は無く、少女漫画の「ベルばら」と、異世界恋愛系少女漫画からしか無いぞ。


「マリーベルには、こっちの髪飾りの方が良いと思わないか?」

「違うわ。こっちの髪飾りの方が良いわよね?」


 ロザリアは、前職を活かした発言をするが、その内容は大多数の中の1つだった。


 ……まあ、メイドまでだったしな。


 それで、多数決の最後の一票みたいな感じで聞かれた。


「「ゼン(君)はどう思う?」」


 この瞬間に、真澄ますみ姉さんが読んでいた古い少女漫画を思い出した。

 都合の良い事に2つの髪飾りは、それぞれに特徴が分かれている。


「御二人に確認しますが、どちらの髪飾りを当日に付けても問題無いのですね?」


 夫人も居るから、言葉使いには気をつけよう。


「うむ」

「ええ」

「それなら、当日に決めるのはどうですか?」

「ゼンよ。どういう事だ?」

「当日、曇っていれば、晴れの青空を切り取ったかの様な、この鮮やかな青が輝く宝石を付けた髪飾りを使います」

「では、此方の髪飾りは?」

「当日、晴れていれば、次の季節の「実り」の象徴である緑の宝石を付けた髪飾りを使うのです」

「……それだ!」

「……それよ、ゼン君!」

「良い判断材料だ!」

「ええ! 今までに無い判断基準だわ!」

「ベリアル!」

「分かっておる。直ぐに宝石商を呼ぶ」

「感謝するわ、ゼン君」

「感謝するぞ、ゼン!」

「これで、マリーベルの大切なデビュタントは大成功確実だ!」


 完全な蚊帳の外になった俺達は、最初の予定である図書室に行く事にした。


「……メイナ?」


 図書室に到着すると、あの「メイナ」が司書みたいな事をしていた。


「私は、メイドとしての午前中の仕事が終わると、この図書室の司書の補助を任せられております」

「……午前中?」

「……はい」

「もうお昼過ぎたのか?」

「いいえ。もう直ぐでお昼になります」

「ご相伴しても良いか?」

「……大丈夫だと思います」

「ありがとう。それじゃあご相伴に預からせて貰うよ」


 ……やっぱり、あの古傷は気になる。


 図書室での、午前中の仕事が終わったメイナと一緒に、メイド用の食堂に移動した。


「本当に良かったのですか?」

「勿論だ。少なくとも、王城のマリーベル嬢達のデビュタントが終わって領地に帰らないと俺達の仕事が終わらないからな。

 だから、俺達としてはメイドさん達とも仲良くなっていたいと考えている」


 流石に爵位が「侯爵」なだけあって、予定は決まっており、所謂いわゆるアポ無し訪問等が出来ないのだ。

 だから、昼の予定がアルードさん達に無い場合は、メイドさん達もゆっくり出来るのだ。


「お帰りー、メイナ」

「お客様の方々が、私達と相伴したいと申されてお連れしましたが良かったでしょうか?」

「私達は問題無いわ」

「……良かった」

「突然押し掛けてごめんなさい。

 でも、皆と食べたかったんだ。 ……ダメ?」

「「「「「「ダメじゃないです!」」」」」」


 ……妹の華澄かすみが我が儘を言う時の真似をしたが上手く行ったな。


 だから、そんな白い目で見るな、ロザリア!


「……美味しい!」

「そうでしょう」

「賄いと言ってもバカに出来ないでしょう?」

「はい!」

「本当に美味しいですね」

「ありがとう」


 ロザリアの前職を現役が分からない訳が無かった為、ロザリアからの称賛はメイドさん達は、素直に受け取っていた。


 ……さて、軽くジャブだ。


「メイナさん」

「はい」

「その身体の古傷を消したいですか?」

「ゼン様!」

「俺は冒険者です。ですから、古傷を癒すポーションとかが手に入るかもしれません」

「ゼン様、ありがとうございます。

 この古傷が癒せるのなら、癒やしたいと思っています」


 古傷を癒す事が出来る人なんて、この世界の常識だと極一部しかいないし、超高額な治療費が必要で、メイナの様な古傷を癒せる可能性が有るのは「ポーション」しか無い訳だ。

 しかし、そんな「ポーション」を買おうと思ったら、大金貨か白金貨が必要だから、メイナや他のメイド達も半分諦めている。


 言質とも取れる言葉を聞いて、それなら適当な理由を付けて、メイナさんの古傷を俺が癒しても問題無いな。


 昼食を綺麗なメイドさん達と頂いた後、俺達は改めて図書室で読書する事にした。


「流石は侯爵家だな」

「そうね。ベリーシア侯爵家と遜色無いわ」


 やはり、同じ侯爵家として負けられない戦いってやつか?


 ……俺は神話や伝説に関する書物を中心に読み、ロザリアは薬草系を、リンは料理系を読んでいる。




厳しくも温かいメッセージを待っています!

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