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……早かったな

魔法とは、攻撃魔法だけを指す言葉ではない。

 


 俺は洞窟の中に入り、周りに注意しながら進み、とりあえず最奥を目指した。


「Gi!」

「Gyaa!」


 単発で襲って来るゴブリンを瞬殺し、後で纏めて処理する為に、とりあえず「倉庫」に討伐したゴブリンを仕舞う。


 そして、最奥に到着した俺が見たのは……


「……原因はこれかよ!」


 恐らくだが、爪撃が致命傷だろうと思われる傷を晒して命尽きた冒険者16人の遺体が、無造作に捨てられていた。


 その原因となったモンスターが、今は食事をしている。

 食べているのは、おそらくは鉱物だろう。

 冷静に周りを見ると、端に大きな横穴が有るから、このモンスターが開けた横穴で、モンスターの食事で零れた鉱物の欠片に宝石の原石が含まれており、偶然が重なり遺体で放置されている冒険者達が見付け……結果としてこうなった感じだろう。

 そのモンスターの外見だが、顔がモグラで身体が短足地竜って所か。

 もっと簡単に言うと、モグラがドラゴンメイルで完全武装だ。


「マリーベル嬢の為にサクッと終わらすか」


 ……俺は魔力を練り放つ。


氷獄凍葬コキュートス!」


 ……キィン。


「……おし! 凍結したな。

 リンの時は、まだ若干動いていたが、普通は動けないよな。流石は第8位階魔法だ」


 俺は、凍結した「モグラ」を「倉庫」に仕舞い、その「倉庫」から16枚の白い布を取り出して、丁寧に16人の遺体を白い布で包むと「倉庫」に仕舞った。


「さて。此処からが本番だ!」


 ……3時間後


「……見付けた!」


 洞窟の最奥から更に、斜め下方向に採掘を続けて遂に目標の宝石「スペサルティンガーネット」も採掘する事が出来た。


「ありがとう、アドラ様!」


 アドラ様が「倉庫」に入れておいてくれた「魔法全集」には、攻撃魔法だけではなく、他にも様々な魔法も載っていた。

 その中には、採掘系の魔法もあり、大抵は第1位階から第3位階魔法ばかりだったが、何故か、第6位階魔法が有って、それを使えば指定範囲内に存在する「宝石」となる「原石」だけを残して指定範囲内の「土や石」は全て消失するという採掘魔法「強欲マモン宝石ジュエル」が載っていた。

 今回は、この魔法を使用した訳だ。


「……かなり魔力を使ったが、この大きさなら大丈夫な筈だ」


 いやな、スペサルティンガーネットという宝石になる原石なら最初の10分で採掘出来たが、俺は浅学ながら宝石に関する知識を持っていて、「原石」から「宝石」になる過程で、完成品の裸石は原石からかなり「縮小される」と覚えていた。

 だから、宝飾品の欠片じゃない本体の大きさも見ていたから不安になって採掘を続けたんだ。

 それで、やっと大丈夫だろうと思える「原石」を採掘した訳だ。


「戻ろう」


 俺は洞窟から出ると、エグゼが待っていたが、足下には冒険者が数人、膝を押さえて呻き声を出しながら倒れていた。

 ポーションの空瓶が転がっているから、ある程度は回復したが、完全治癒には至ってないみたいだな。


「どうした?」


 一応は被害者の可能性が有るから穏便に聞いた。


「この馬が……」

「そうか。しかし、この馬は軍馬みたいな感じだが、お前達は何かしたのか?」

「放置してあったから連れて行こうとしたら……」

「連れて行こうとしたか……」

 

ギルティだな。


「……何が言いたいんだ?」

「お前達は、何処かの貴族に属しているのか?」

「どういう意味だ?」

「この馬は、キールベル侯爵家に関係がある馬だぞ」

「どういう事だ?」

「この馬が巻いているスカーフにはキールベル侯爵家の紋章が刺繍されている」

「「「……本当か!」」」

「ああ。それで、どうする?」

「どうするとは何だ?」

「貴族で、しかも侯爵の馬を知らずに連れて行こうとしたんだ。これは、充分にキールベル侯爵家への敵対行為だ」

「「「……あ!」」」

「正直に話せば、弁護を考えても良いぞ」


 内容は、偶然居合わせたCランクの冒険者バカで、高く売れると思ったらしい。

 当然、貴族とは一切関わりは無い。


「……まあ、運が無かったと来世を頑張れ。

 雷撃弾ライトニングバレット三連」

「何を……がっ」

「ちょっ……ぎぃ」

「待っ……ぐっ」


 俺は、執事のガリバルさんから聞いてある。

 所有者が誰であれ、貴族の紋章を刺繍したスカーフを巻いた存在を、他者が無断でどうにかした場合はどうなるか。


 ……貴族以外なら普通に死刑だと。


 だから、俺も冒険者バカ3人を処分した。

 冒険者カードと武具を剥ぎ取り、所持金を没収した後は、穴を用意して放り込み焼却して埋めた。


 俺はエグゼに乗り、今度は南門から王都に戻った。

 それて、そのまま冒険者ギルドに行き、事後承諾の指名依頼の処理と、盗人冒険者達の処理も済ました。

 後、洞窟の冒険者達を権利と一緒に全てギルドに任せて侯爵家に移動して到着した。


「……早かったな」

「……え!?」


 ああ、そうか!

 普通は、宝石の元である原石の採掘は、もっと時間が掛かる筈だもんな。

 そう考えたら、金貨15枚は高くないかもな。


 ……まあ、良いか。


 目的の宝石以外もかなり採掘したしな。


 ……大崩落して景観が変わらない事を祈ろう。


 この後、キールベル侯爵家の宝飾品御用達の宝石商を呼び、マリーベル嬢のメインの宝飾品の入れ替えを依頼し、ついでに俺が採掘した原石の「裸石ルース化」を依頼した。

 俺はまだ外見年齢10歳だが、バックにはキールベル侯爵がいる事は、宝石商も分かっている筈だから大丈夫だろう。


厳しくも温かいメッセージを待っています!

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