勝負有り!
外見の善人顔では、その人の内面までは分かりません。
俺は「覚醒!」と、叫んだ瞬間に腕輪の宝玉は光り、風属性の魔法を使って、俺を中心にして周りに突風を放つ。
そして……
「がはっ!」
「ぐふぅ!」
「ぎっ!」
「げぶぅ!」
「ごぱっ!」
「破!」
ギィン!
「……俺達の勝ちだ」
俺は、身体強化と見せ掛けた素の身体能力で、先ずは6人中5人を肋骨折り付きのリバーブロー入れて沈ませ、最後に残ったリーダーに真っ向から突撃して向こうの剣を弾き、リーダーの首にブロードソードの刃を添えた。
「勝負有り!」
「ワード『封印』!」
俺は、ハッタリ用の腕輪に適当なワードを言って、わざと片膝を突く。
「ゼン、大丈夫?」
「ゼン様、大丈夫ですか?」
「大丈夫だ」
……俺達は、名演技を披露した。
そして、外野は「銀貨3枚、勝ったー!」とか「金貨1枚だー!」とか「銀貨5枚がー!」とか「大銀貨1枚がー!」とかを叫んでいた。
「む、無効だ!」
……は?
「この模擬戦は無効だ!」
「何故ですか?」
チーフ受付嬢「ライラ」さんが、若干キレた様な空気で聞いた。
あいつらは、ポーションを飲んでから言った。
「あんな魔道具が有るなんて聞いていない!」
「そうだ! あんな魔道具なんて卑怯だぞ!」
「あの魔道具無しでのやり直しを請求する!」
「……バカですか!」
チーフ受付嬢は、生理的に受け付けないキモ男を見るかの様な冷たい目で言った。
「「「「「「「「「……は!?」」」」」」」」」
更に冷たく蔑む様な目になったチーフ受付嬢が言った。
「ベテランの立場の貴方達9人のフルメンバーで、相手は3人で、内2人は子供で、しかも3人の中には少女が2人です。
しかも、実際に戦ったのは少年1人です。
そして、何でも有りを認めた筈ですが?」
「「「「「「「「「……」」」」」」」」」
チーフ受付嬢から正論パンチを喰らい静かになった。
そして外野でも、「そりゃあ、そうだ」とか「がっかりだ」とか「なさけねぇ」とか「格好悪ぃな」とか、好き放題に言っているが、8割は賭けに負けた所為だろうな。
そして、リーダーが……
「悪かった。君達は充分にやっていける様だね」
「そうだな、悪かった」
「オレ達は、応援しているぞ」
「それじゃあ」
「待てや。何、爽やかな言葉を吐いて逃げようとしてやがる。
模擬戦の代償を払え!」
「な、何を言っているんだ。
君達には実力が有ると分かったんだから、それで充分だろう?」
「払え」
俺が単純明快に言うと……
「巫山戯るな! 誰が払うかよ」
俺は、チーフ受付嬢さんに声を掛ける。
「……チーフ受付嬢さん」
「皆さんが払わないのなら別に構いません」
「それなら……」
「皆さんが死んでから徴収しますから」
チーフ受付嬢さんが、汚物を見る様な目をしてあいつらに言った。
「「「「「「「「「……は!?」」」」」」」」」
「忘れたのですか?」
「何を……あ!」
「そうです。この模擬戦には、両方に魔法誓約書を交わしています。
そして、魔法誓約書の効果は絶対です」
「あ、ああ……」
「約束を守り代償を払うか、死んでから徴収されるか、好きな方を選んでください」
……結果発表だが、共有財産の中に、違法な人身売買の契約書等が隠されていて、あいつらは犯罪奴隷となり、その売却金も俺の懐に入った。
「白金貨101枚に、大金貨5枚に金貨8枚に、大銀貨3枚に銀貨7枚……大金ね」
「そうだな」
「そうですね」
あいつらは、ロザリアやリンみたいな若い女性冒険者を引き入れ、散々喰った挙句、裏で違法の人身売買をしていた。
しかし、買い手を検挙する事は出来なかったみたいだが、トカゲの尻尾は捕らえたらしい。
それで、表向きでは「実力を付けて違う街に行った」とか「実力の限界を感じて故郷に帰った」とか、言ってたみたいだ。
俺達は、先ずはあいつらの全所持金を没収して、絞る気いっぱいのチーフ受付嬢が先導して、あいつらのアジトに行き、そこで犯罪が明るみになった。
とりあえず、この時点でアジトの財産がどうなるか分からない為、俺達はチーフ受付嬢に全て任せて撤収した。
その3日後に全てが終了して、白金貨3桁以上の臨時収入が入った訳だ。
この3日間は暇だったよ。
冒険者ギルドからの指示で宿屋に缶詰めだったからな。
お陰でリンは寝過ぎと食堂の常連となり、ロザリアはベッド上の技術が上がって、肌の艶も良くなった。
ヘレンさんに延長7日分を払い、冒険者ギルドに午前9時に行った。
……ギルドマスターに喚ばれたからだ。
しかし、冒険者ギルドに入ると、大量の勧誘が待っていた。
しかし、俺が「魔法誓約書付きの模擬戦で勝ったら入ってやる」と言ったら、勧誘は無くなった。
「……大変だったな」
「まあな。でも、これで俺達を勧誘する奴は居ないだろうな」
因みに、勧誘が大量に待ち構えていたのは多分だが、宿屋に来たギルド職員がギルドマスターが喚んでいる事や日時を食堂で俺達に伝えた。
そして、その時、食堂では他の客も居たから、その客の誰かが、他の冒険者に密告したのだろうな。
「それで、お前達を喚んだ訳だが、あの銀の腕輪を見せてくれ」
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