ゼンの鬼畜!
安全を考慮して浅い所に居たから……
ランチで、臨時収入が手に入ったがつまらない事で時間が潰れて、街の外に出る時間が無くなった為、夕食まで街の中を散策する事にした。
「……ゼン」
「何だ、ロザリア」
「貴方を許す気は無いけど、少しは感謝しているわ」
「どうした、ロザリア」
「貴方に引き取られなかったら、私の知る世界は、あの辺境伯の都市で奴隷として人生が終わっていたから」
「そうか。まあ、この世界の広がりが冒険者だけの特権かもしれないな」
「……そうね」
ロザリアが、そんな事を言ったから、目に付いた銀細工のブローチを贈った。
「……ありがとう、ゼン」
「どういたしまして」
この後は、普通に店を冷やかし、時間になり宿屋に戻り夕食を頂く。
勿論、ロザリアもリンも各々が選んだ注文をしたが、ロザリアからブローチのお礼か、俺に対して赤面しながら「あ~ん」をしてきたから、俺は笑顔で頂き、腹黒な笑顔でロザリアにお返しで、俺が料理にキスをしてから「あ~ん」をしてやったら、鎖骨辺りまで赤くしたロザリアが覚悟を決めた顔で食べた。
……リンは察して、空気となり無言で夕食を食べていた。
夜はいつも通りだが、事後の完全治癒は無しにした。
「え!?」
「毎回、最初は痛いのはアレだからな」
「もう良いの?」
「ああ」
「……分かったわ」
翌日も、冒険者ギルドで売れ残りの依頼の掲示板を見て、特に興味を引く依頼が無かったから森に行き、ノルマを終わらせたリンと模擬戦をして、ロザリアは治癒魔法の鍛錬なのだが熟練度を確認して、今回からは実戦で出来る様に護衛術の鍛錬と並行して行った。
「……ゼン、厳しいわ! もっと優しくしてよ!」
「充分に優しくしている」
「ゼンの鬼畜!」
「褒めても手を抜かないぞ」
「褒めてない!」
「さ、続行だ」
「ゼンの鬼ーーー!」
数日後、宿屋で朝食後に冒険者ギルドに行き、狩ったモンスターの換金をお願いすると、桃尻受付嬢フリナさんに声を掛けられた。
「ゼン様」
「どうした?」
「今日も森に行かれるのですか?」
「そうだけど」
「実は、森に危険なモンスターが居るみたいなのです」
「それなら俺が狩ろうか?」
「お願い出来ますか?」
「ああ。それで、どの辺りの森で、どんなモンスターなんだ?」
「はい。そのモンスターは……」
……俺の後ろで、声こそ殺しているが、腹を抱えて大笑いをしているロザリアが居た。
因みにリンは、完全に日常状態で、リン的には「だから、どうした」な態度だ。
「……と、いう訳で功績はギルドが取っても構わないから火消しをよろしく」
そう言って受付嬢の両手を俺の両手で包み、受付嬢の両手には金貨5枚が包んでいた。
「分かりました。次回からは報告する様にお願いします」
「分かった」
……話題のモンスターとは俺の事だった。
リンは当たり前だが、ロザリアも回避力が思っていたよりも高い為に、俺が調子に乗って魔法攻撃を撃ちまくったのが原因だった。
それ以降は報告をしているが、魔法攻撃を使う鍛錬はかなり減らして、その分体術修得に費した。
……魔法攻撃を、一定以上を回避出来る事が分かった時点で止めるべきだったな。
さて、今日は森に行かず、宝飾店に頼んだ首飾りを受け取りに向かった。
「お待ちしておりました、ゼン様」
「出来てる?」
「はい。此方がお渡しする首飾りです」
「首飾り?」
「1週間前に森の奥で良い宝玉を見付けたから、加工して貰った」
「……綺麗」
「さ、後ろを向いて」
「わ、分かったわ」
ロザリアが後ろを向くと、宝飾店から受け取った首飾りを着ける。
「ありがとう、ゼン」
「次はリンだ」
「私もですか!?」
「当然だろう」
「……」
リンが珍しく顔を赤らめ後ろを向くと、首飾りを着ける。
「私は尻尾を……」
「待て、リン」
「はい」
「悪いが、俺に尻尾を捧げた少女が先に居る。それでも良いか?」
「……はい。私は、ゼン様に尻尾を捧げます」
「分かった。詳しくは宿屋で」
「分かったわ」
「分かりました」
一旦、宿屋に戻り部屋に入り扉を閉めた途端にロザリアが吠えた。
「説明しなさいよ、ゼン!」
「俺が、此処に来る前に居た辺境都市ブルムドラで助けた少女から尻尾を捧げられた」
「分かりました」
「それでリンは、どうするの?」
「私の気持ちは変わりません。改めて誓います。
ゼン様、私の尻尾を捧げます」
「分かったよ」
「本当に良いの?」
「はい。強き雄に複数の雌が居るのは当たり前ですから。
寧ろ、既に、ゼン様に尻尾を捧げる者が居る。それは、私の雄を見る目は良かったという事です」
「まあ、リンが納得したのなら文句は無いわよ」
「ありがとう、ロザリア」
「それで、その少女は誰?」
「狐人族のフィリスだ」
「……ふ~ん。どんな娘?」
「う~ん。将来、可愛いと言われるよりも綺麗と言われる様な容姿だったな」
「……そう。 じゃあ、この話は終わりよ。
今日のこれからはどうするの?」
「そう……」
ロザリアは、一瞬だが暗い顔をしたが、直ぐに普段の表情になり聞いてきた。
しかし、首飾りを見ていたリンが叫んだ。
「ゼン様!」
「どうした、リン」
「この首飾りは、もしかして?」
「やっぱり気付いたか」
「どういう事、リン」
「実は、この首飾りは付与が施されている」
「「付与!?」」
「ああ。その付与は……」
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