……そ、そんな物は偽物だ!
偶には、バイオレンスも良いかな?
翌日、朝食を食べ終わり部屋で待っていると、お迎えが来た。
隠し切れない品格を漂わせた一見地味な馬車に俺とルーネとサラが乗り出発した。
一応は、俺達は王城に居ても違和感が出ない程度の貴族服を着ている。
ベータグシム国では、何度が正式な行事に参加させられたからな。
……それと、全員で行くのは違うだろうからな。
馬車の中には、昨日の隠れ護衛のユザックが居るのだが、耐性が無いのか顔を赤くして着飾ったサラをチラチラ見ている。
……野郎のチラ見は、女性にとってのガン見か。
確かにそうだな。
だから、気付いたサラが、適当にユザックの相手をしている。
……到着する頃には完堕ちしているかもな。
ユザックの相手を無理にする必要は無くなった俺は馬車から見える景色が、どんどんと綺麗になっていく。
つまり、予想通りに貴族街を進んでいる訳だが、見える屋敷が大豪邸過ぎないか?
……まさか!
「……と、馬車が到着したみたいです」
……はい、王城でした!
馬車から降りた俺達はユザックの案内で移動するが、途中でボディチェックが入った。
一応は、宿屋で俺とルーネとサラの装備品は「倉庫」に仕舞ってあるから、ボディチェックは通る筈だ。
……通った様だ。
更に移動するユザック御一行が、遂に到着したのは王宮の応接室だ。
……さて、何番目かな?
「待たせたな」
応接室に入って来たのは、昨日のイケメンと友達2人とユザックだが、隠す気は無いのか、全員が貴公子と呼ばれるのに相応しい衣装を着ていた。
「先に質問してもよろしいでしょうか?」
「どうぞ」
「言葉使いは如何いたしましょうか?」
「普段通りで良いよ」
「分かった。では、もう1つ質問だ」
「良いよ」
「何番目だ?」
「あははは! 流石にバレるよね」
「当然だろう」
朗らかな笑いをするイケメン貴公子だったが、姿勢を正し言った。
「私は、ガンマレイン国の王太子だ。
名前はアーネスト=イデル=ガンマレイン。
そして、後ろの2人は私が国王になった時の近衛騎士団団長と宰相だ」
「次期近衛騎士団隊長のハロルドだ」
「次期宰相のロレンシスです」
「俺からも改めて自己紹介をしよう。
俺は、冒険者のゼン」
「仲間のルーネです」
「同じく仲間のサラよ」
「後、この場には居ないが宿屋には仲間が3人居る」
「そうか」
「先ずはユザック」
「は!」
壁と半分同化していてユザックが、アーネストの声で動き、俺の前に袋を置いたが、硬質の音がしたから硬貨だろう。
「白金貨50枚入っている」
「どういう計算の結果だ?」
「辺境伯令嬢の落札額を3倍にすると、白金貨26枚に大金貨1枚と、あの伯爵家の元令息が、今後消費する金額が約20枚だ」
……まあ、全額だと国家予算の数年分だしな。
「残りは?」
「オークションには、少なからず王族も関与しているからな。
伯爵家当主が出した」
つまり、この国でのオークションにケチを付ける事は、王族や国にキズを付ける事になるのか。
「分かった」
そう言って「倉庫」に袋を仕舞う。
「確認しないのか?」
「必要無い。少なかったら、アーネストの評価を下げるだけだ」
「大丈夫だ。50枚より多い事はあっても、50枚より少ない事は無いから」
「それで?」
アーネストが真面目な顔で言った。
「君達を招待した理由だけど、私の配下にならないか?」
「は?」
「その若さで、あれだけの特殊奴隷を購入出来る実力を、私は高く評価している。
私が国王の座に就いた暁には、王国騎士団長の地位と伯爵位を約束しよう。
どうだろうか?」
「断る」
「「な!?」」
「……理由は?」
「俺は冒険者だ。理由はそれだけで充分だ」
「貴様!」
「不敬な!」
「卑しい冒険者風情が!」
「アーネスト王太子殿下。この様な者を配下にする必要はありません!」
「化けの皮が剥がれたな」
「この冒険者風情が!」
「止せ……」
「……がはっ」
次期近衛騎士団団長が腰に下げていた剣を抜き殺意を向けて俺に切り掛かって来た……が、その一撃を避けながら踏み込み、右貫手で胸を貫く。
「良くも……氷槍」
「ロレ……」
「破!」
俺は左手刀を横薙ぎで振り抜き、その一撃は次期宰相の氷槍を上下に切り裂き、カマイタチの様に宰相の首を胴体から離した。
「……何故だ?」
「俺は、殺意を向け行動に移した者に慈悲は持たない」
「よくも……」
「復讐か? 構わないぞ」
俺は「倉庫」から、レイアークの腕輪を装備して言った。
「ガンマレイン国の王太子の名の下で、復讐すれば良い。
神遺物所有者のゼンが相手をする」
「……そ、そんな物は偽物だ!」
「それなら試してみるか? この王城が一瞬で消滅する様子を見るか?」
……外から気配がする。
「アーネスト、何を騒いでいる」
「……父上」
父上、つまり国王か。
「アーネスト、説明しろ」
「実は……」
主観を多分に含めた言い訳の様な説明が終わると、国王は俺を睨みながら言った。
「冒険者如きが、覚悟は出来ているのだろうな?」
「事実は、そちらから殺意を向け、俺を殺す為の行動に移した。 それを俺自身を守る為に迎撃したに過ぎない」
「しかも、そんな玩具を神遺物と抜かしたそうだな?」
「それなら、本物か偽物か試してみるか?」
「ふん! 虚勢を張りおって」
「無関係な人達には可哀想だけど、仕方ないよな。
この国の代表である国王が神遺物の所有者に喧嘩を売っているのだからな」
「……やれ」
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