表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

102/133

私が、貴方達を置いて逃れる訳が無いでしょう!

罪を重ねる主人公とサラw

 


 テンプレなクーデターで、御旗は現国王の弟で、現国王は暗殺されたが、王妃と王太子と王太子妃は逃亡に成功したらしい。

 この第3王女「レフィーナ=ベルム=マリネリア」を、逃亡先であるベータグシム国の王城に届ければミッション終了だ。

 後は、交渉して戦力を借り奪還したあかつきにはベータグシム国の同盟国になります、とかになれば国としての面目が立つだろう。


 ……実際は、属国だろうがな。


 因みに、ベータグシム国とマリネリア国の繋がりは、3代前のベータグシム国国王に、マリネリア国の第1王女が側室として嫁ぎ、その娘が、現ミランザム公爵の祖母になる。


 ベータグシム国としても旨味が無い訳じゃない。

 大義名分付きで、小国とはいえ国1つ分の領土が手に入れる事が出来る訳だ。


「……それでだ」

「レフィーナ様、まだ出られてはなりません!」

「何を言っているのです! 恩人には礼儀を尽さないといけません!」

「……はあ~」


 さあ、これから交渉をしよう、という時に我慢出来ずに王女様が出ちゃったよ。

 そして、俺達の前に到着すると綺麗なカーテシーを披露する。


「私達が危ない所を救けて頂いてありがとうございます」

「巻き添えで、殺されたら敵わないからな」

「改めてご挨拶させて頂きます。

 私、レフィーナ=ベルム=マリネリアです」

「……はあ~」


 また深い溜め息をするバルドが言う。


「交渉ではなくお願いだ。

 私達に協力して欲しい。 勿論、充分な報酬を払うと約束しよう。

 期間は、此処から、ベータグシム国の王都前までで、金貨5枚払おう」


 因みに、今回だと、正規の手順で依頼として出した場合は、大銀貨5枚から金貨1枚が相場だ。


「……表向きの設定は?」

「あ~。大商会の孫娘と、幹部の娘で幼馴染みの世話係に、自前の冒険者チームだ」

「どうでしょうか?」


 ……王女様が考えた設定か?


 バルド達に視線を戻すと苦笑いだった。

 まあ、気持ちが分からんでもない。

 小国とはいえ、近衛騎士としての矜持と信念を持っていただろうが、それが土と血に塗れた日々を過ごす。

 そう思うと、少々の同情心が芽生えるな。


「ゼン、受けましょう」

「ゼン君、良いよ」


 リンとランを見ると頷いていた。


「そうだな。その依頼を受けよう」

「やったー!」


 この王女様は、猫を飼っていたのか。


「……次だが」


 次は、ゴミの分別について聞かないとな。


「このゴミはどうする?」


 俺がゴミと言った事で、憤慨ふんがいする者と、意味を理解して顔色が青くなる者に別れた。


「悪いが、装備品は売ってくれないか?」

「あ……ああ! 全部で大銀貨1枚でどうだ?」

「買った!」


 多分、この装備品は正規品なんだろう。

 そうなると、売れる事は売れるが色々と疑われるし、買い叩かれるだろう。

 それなら、恩を売った方がマシだと言える。


 こうして、ゴミが身に付けていた装備品は、バルド達が所有していた予備のマジックバッグに収納された。

 そして、俺の手には大銀貨1枚が置かれた。


「ゼン様、ゴミの焼却が終わりました」

「ご苦労さま」


 同時に、リン達にゴミの処理をお願いしていた。


 翌日、俺達はUターンする形でベータグシム国に向かう事になったのだが、レフィーナ王女が、俺達と親交を深めたいという事で、俺達の馬車に乗った。

 しかし、小休憩の後、バルドが自分達の馬車に乗りましょうと促すと、俺達の馬車に乗ると言い出して引かなかった。


「お尻が痛いのは、もう我慢出来ません!」


 ……だ、そうだ。


 まあ、馬車の中で質問攻めをしていたから、当然と言えば当然か。

 そして……


「う、うわぁーーー!」

「ブラックキラーグリズリーだ!」

「Aランクモンスターが何故だー!」

「GaAーーー!」

「私達が足止めをいたしますから、レフィーナ王女だけでも逃げてください!」

「何を言っているの! 私が、貴方達を置いて逃れる訳が無いでしょう!」

「そういう訳にはいきません。

 ゼン! 悪いがレフィーナ王女を頼む」

「バルド……」

「盛り上がっている所を悪いが、もう終わったぞ」

「「……へ!?」」


 俺の声に振り向いたレフィーナとバルドが見たのは、俺の後ろで首無しのブラックキラーグリズリーの後ろ足に縄を括り付け、リン達が協力して吊り上げている姿だった。


 ブラックキラーグリズリーの処理が終わるとバルドが言った。


「……何故、こんな副街道に現れたのだ?」

「理由なんて分かる訳が無いだろ」

「……そうだな」


 数日後に俺達はベータグシム国の王都に到着し、バルドから金貨5枚を受け取ると、バルドに聞かれた。


「ゼン。先触れを出して、返事を待つ間の宿屋を取りたいと思っているが、何処か良い宿屋は知らないか?」


 ……!


「ああ、有るぞ。 宿屋じゃないが、屋敷を持つ友人がいる。

 その屋敷はどうだ?」

「……いや、それは」

「大丈夫だ。その屋敷に住む友人は、王族と深い関わりを持つ者と交流が有り、何度かは、王女がお忍びで来た事がある」

「……この国の王女がお忍びで来れる程の屋敷か……レフィーナ様」

「賛成よ」

「……済まないが仲介を頼めるか、ゼン」

「任せろ。リン、バルドから預かった手紙を王城に届けてくれ」

「分かりました、ゼン様」


 リンはバルドから預かった手紙と、注意事項を聞いた後、王城に向かった。


「サラは、屋敷に」

「分かったわ」

「サラ、分かっているな」

「勿論よ!」


 既にマリーベルで前科が有るから、サラの顔からは「ガッテン承知!」と、物語っていた。


 こうして、サラには先行してもらい、俺達は冒険者ギルドの場所を教えてから、屋敷に向かった。



厳しくも温かいメッセージを待っています!

そして、星の加点とブックマークをお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ