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私の尻尾を捧げます

彼は、自分の外見を理解した上で利用しています。

 


 8人居た盗賊共全員を雷撃弾ライトニングバレットで四肢を撃ち抜き、アジトの場所を吐かせると、ロザリアに言った。


「用は済んだから、1人殺して欲しい」

「は!?」

「冒険者の俺と行動を一緒にするから当たり前だろ」

「……わ、分かったわ」


 奴隷への命令にはしていないから、ロザリア自身の意思でやらないといけない。

 ロザリアには必要な事だし、やって貰わないとな。


 汗をダラダラ流し、胃の中を空にして青い顔をしたロザリアの手には、盗賊から奪った短剣が握っていた。

 勿論、短剣には赤い液体が付いている。


「良く頑張ったな。精神鎮静化リラックス

「……あ、ありがとう」


 盗賊共の処理が終わると、ロザリアも連れて盗賊共のアジトに行った。

 ロザリアの体力に注意しながらゆっくりと移動し、40分後にアジトに到着したが、どうやら別動隊の帰還と重なったみたいだ。

 しかも、馬車ごと略奪したみたいで、馬車の中から縄で拘束された家族らしき人物達が出てきた。


「あ、あの……」


 ロザリアが、何か言いたそうだ。


「分かっている。助けて欲しいのだろ?」

「良いの?」

「俺は殺意を向ける者には慈悲を持たないだけで、別に血も涙も無い悪党じゃないぞ」

「……ごめんなさい」

「結界石を設置したから、中で待っていろ」

「はい」


 ……この後は、身も蓋も無い展開で呆気なく家族らしき人物達を助けた後、アジトの金銀財宝おたから等を回収した。


「助けて頂いてありがとうございます」

「気にするな。ついでだからな」

「それでも、助けて頂いた事は事実です」


 ……本当に家族だった。


 自分達の宿屋を開く準備が終わり、家族で引っ越しの途中らしい。

 因みに、護衛として雇った冒険者は全滅している。


 ……ざわ!


 何だ、この悪寒は!


「ロザリアは結界石の中に逃げ込め!」

「え!?」

「命令だ!」


 ……来る!


「KishaAAAーーー!」

「……巨大な黒い化け猫だと!?」


 伏線もテンプレも無しでいきなりかよ!


「……強い」


 俺はロザリア達に被害が出ない場所に移動しながら戦うが、どうやら向こうは正気じゃないみたいだな。


 ……って、良く見たら胸の辺りに脈動血管付きの宝石が癒着してやがる!


 多分、アレを破壊すれば、何とかなるかもしれないが、ちと接近戦は厳しいな。 


雷撃弾ライトニングバレット……連弾!」

「KishaAAAーーー!」


 ……ダメージは与えているが、自己回復で傷を瞬時に癒やしている。

 それなら……


「正気に返ったら癒やすから我慢しろよ!

 ……喰らえ、超電磁砲レールガン!」

「GishaAAAーーー……」


 ……どうだ?


「……ウソだろ?」


 超電磁砲レールガンで、消し飛んだ左の前後の足と、若干の左側胴体が再生復元を始めやがった。


 ……やるか。


「KishaAAAーーー!」

「……氷獄凍葬コキュートス!」


 ……下半身を凍結させてからの、身体強化!


「破!」

「KishaAAAーーー……」


 化け猫の右前足の一撃をギリギリ躱して突進からの体重と圧縮魔力を加えた左正拳を胸の癒着した宝石に叩き込む。


 ……バキン!


 胸の癒着した宝石は粉々に砕けた。


「KishaAAAーーー……」


 化け猫はみるみる縮み、1人の黒い耳と髪と尻尾を持つ重傷の獣人族の少女になった。


 直ぐに、バスタオル的な布で少女の身体を隠して、魔法を放つ。


完全治癒パーフェクトヒール! 全状態異常回復フルキュア!」


 後は……


「出ても良いぞ、ロザリア」

「……倒したの?」


 テントから出たロザリアが、怯えながら聞いてきた。

 因みに、家族の方は全員気絶している。


「……多分な」


 気絶から復活した家族と待っていると、約8分後に、獣人族の少女は目覚めた。


「……此処は?」

「目覚めたか」

「……貴方は?」

「冒険者のゼンだ。君は?」

「私は、黒猫人族のリンです」

「では、リン。最後の記憶は?」

「何故? それに裸!?」

「最後の記憶は?」


 彼女には悪いが、きちんと確かめないとな。


「……は、はい。顔も分からない、嫌な匂いがした黒いフードを被った者に声を掛けられてからの記憶が……

 教えてください。私は、何をしていたのでしょうか?」

「あんたは、化け猫になっていて私達を殺そうとしたのよ」

「そんな……」

「それを、ゼンが助けたのよ」


 リンと名乗る獣人族の少女は周りを、俺達を見て答えた。


「……本当みたいですね。私を助けて頂いてありがとうございます」

「あのぅ……」


 此処で、家族の奥さんが口を挟んだ。


「とりあえず、何か着たほうが……」

「そうだな」


 家族の娘さんと同じぐらいの背丈だった為に一着借りた。


「服をありがとうございます」

「気にしないでください」


 さて、どうしようか?


「……聞いて欲しい事があります」

「何だ?」


 獣人族のリンが、姿勢を正し、片膝を突いて、俺を真っ直ぐに見上げて言った。


「私、黒猫人族のリンは、冒険者ゼンに永遠の服従を立て、従者になる事を誓います」

「「「「「は!?」」」」」


 俺達と家族がハモった。


「ゼン様には、このリンからの誓いを受けて欲しいと願います」

「……」


 俺が何らかの理由でロザリアから離れた時に、ロザリアが危険になるのも……


「その誓いに偽りは無いな?」

「勿論です!」

「証明するすべは?」

「私の尻尾を捧げます」

「ウソ!?」

「ロザリア、どうした?」

「彼女の誓いは本物よ!」

「尻尾だからか?」

「そうよ! 獣人族がする誓いで尻尾を捧げるのは、生涯に一度限りよ!

 この誓いは、獣人族全てが、神聖にして最も誇りにしている事らしいわ!」

「……分かった。リンの誓いを受けよう」

「……ゼン様、ありがとうございます」



厳しくも温かいメッセージを待っています!

そして、星の加点とブックマークをお願いします。


伏線? 有りましたよ。

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