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ラヴが大爆発した日
ラヴが大爆発した日
あたしはひとりで
海辺のコテージで紅茶を飲んでいた
退屈で
退屈を退屈で埋めて
他にすることもなく
海のむこうをなんとなく
眺めているとなんとなんと
巨大パイナップルが飛んできた
隕石のようなそれは
ほんとうに隕石なんじゃないかと思ってたら
にっこり笑って手を振って
あたしに『ハロー』と言ってきた
妄想だ
夢だこれ
遂にひとりの寂しさに
幻見るようになっちゃった
そう思っていると
パアーン!
大爆発
あたしは爆風に飛ばされて
お尻をコンクリートに打ちつけて
ごろんごろんと転がされて
目が覚めてみれば腕の中
ウホッ?
北京原人ってこんなのだったっけ
それともアウストラロピテクス?
あったかいあったかあい腕の中
あたしはパイナップルの果肉まみれで
にっこり笑った
にっこり笑ったんだ
まるで産まれて初めてのように
にっこり笑ったんだ
原人が火を起こして
あっためてくれて
でもあたしにはやっぱり
これといって
することはなかったんだ