ウデ・クツシターVSアシ・グンテー
はじめに言っておくが、このお話は腕に靴下をつけた男と、足に手袋を履いた男との対決ではない。彼らの対決を期待してこれを開いた人は「タイトル詐欺だ! 金返せこのやろう! うんこはげ!」と思うだろう。
そんなあなたに私から、1つだけ言わせていただきたい。
「違うだろーーーーーーー!!!!!!」
そう、違うのだ。ウデ・クツシターもアシ・グンテーもただの名前であり、そのものではないのだ。例えば田中強という男がいたとしよう。彼が都会に住んでいて、めちゃくちゃ弱かったら詐欺だと思うだろうか。私は思わない。田中だから田舎にいろ、強なんだからだから強くあれ。そんなことは受け取り手の勝手な要望だ。
どんな名前でもいいじゃない。名前にウデとかアシとか入っててもいいじゃない。凶文字が入ってたっていいじゃない。
友達に魁人くんって子がいるんだけど、大人から散々言われてたよ。やれ鬼が入ってるだのやれ親が馬鹿だの、挙句の果てにはその子の親は育ちが悪いんだ、という者までいた。私から言わせれば、人の名前にケチをつける彼女らのほうが育ちが悪いというものだ。
魁人くんは私と同い歳で、家が隣同士だった。柵の間からよくお互いの家の庭に遊びに行ったものだ。懐かしい。魁人くんは中学生に上がるタイミングで引越し、それからの情報は僅かにしか入ってきていない。
確か高校卒業と同時に鬼になって40人の人間を食べ、裸のまま海の上を走ってオーストラリアに向かったという話をちらっと聞いた記憶がある。
鬼長い前書きとなってしまったが、このタイトルがタイトル詐欺ではないということを伝えたかったのだ。
それではウデ・クツシターVSアシ・グンテー開幕! とくと見よ!
ウデ・クツシター。彼は筋骨隆々、スポーツ万能、頭脳明晰、容姿端麗、一石二鳥、森羅万象、仲人口は半分に聞け、温故知新、犬も歩けば棒に当たる、穴があったら入りたい、雲湖朕鎮、臥薪嘗胆、三位一体、身長60mの超人である。チャームポイントは両手に装着された靴下だ。
対するアシ・グンテーはシジミくらいの大きさの、黒くて小さな貝である。黒の網タイツを履いた足がチャームポイントだ。
まずは大食い対決からだ。今回2人に食べてもらう料理はつきたての餅。制限時間は30分だ。ウデとアシが司会の前で睨み合う。
「やんのかコラ」
「なんだとコラ」
「あ?」
「あ?」
このままだとえっちすぎてR18つけなきゃいけなくなるので、強引にスタート!
「ムシャムシャ」
「ムシャムシャ」
両者猛スピードで胃の中に餅を収めていく! 彼らの胃に限界という文字はないのか! っていうことを言うには序盤すぎるか! ジョバンニー!
「我を呼んだか」
「牛乳もらってきて!」
私が呼んだジョバンニを勝手にパシリに使うウデ・クツシター。餅を流し込む作戦だろうか。もしそうなら、今回は飲み物禁止なので、牛乳が到着した時点で彼の負けになる。
「牛乳屋行ったら、明日にしてくださいって言われました」
「んだとコラァ!」
ウデは食べていた餅をちぎり、網に乗せて焼いた。焼きあがった餅を砂糖醤油にくぐらせ、味付け海苔を巻き、ジョバンニに投げつけた。ウデが腕によりをかけて作った焼き餅だ。
「ぽっと出のくせにずるいぞ! 私だって作ってもらったことないのに!」
ウデの恋人のロースがやきもちを焼いている。ジョバンニは嬉しそうにムシャムシャと食べている。
「パクパクパクパ⋯⋯うっ」
突然その場に倒れるジョバンニ。今日の気温は39℃。もしかしたら熱中症かもしれない。そう思ったスタッフ30人は各自氷を持ってきた。
首や脇の下などに氷を当て、救急車を呼ぶスタッフ。
「ちが⋯⋯うっ⋯⋯ぐっ⋯⋯」
ジョバンニが何か言っているが、言葉になっていない。熱中症の症状によるものだろう。
「救急隊に電話したんですけど、12時21分としか返ってきませんでした!」
「お前時報にかけてんじゃねーよ!」
「うるせぇ! 人の間違いを責めるなぁ!」
スタッフ同士で喧嘩が始まってしまった。ついには掴み合いになり、2人ともヌタッフに成り果ててしまった。ヌタッフのせいで電波が通じなくなり、救急車も呼べずジョバンニは帰らぬ人となった。
そうこうしている間に大食い対決は終わっていた。ウデ・クツシター330g。アシ・グンテー5100g。アシ・グンテーの圧勝だ。身長3000倍という体格差でよく勝てたものだ、と皆賞賛した。
次の種目は旅行だ。制限時間内により満足のいく旅行をした方が勝ちとなる。制限時間は1時間、よーいスタート!
「旅行といえば豪華なメシよ」
そう言って寿司屋へ向かうウデ。
「いやいや、旅行といえば温泉よ」
そう言って近くのスーパー銭湯に向かうアシ。しかし、組の構成員であることが周知の事実である彼は入店拒否されてしまった。
「大会のためなんだ! 負けたら殺されるんだよ!」
「ダメだね。今回許したら前例を作ることになっちまう。毎回そんな理由で赤の他人を助けてたんじゃ、こっちが死んじまうよ」
受付のバイトの小僧に足止めを食らうアシ。アシは決意した、裏の世界から足を洗うと。
「もしもしー? 組やめる! うん、うん、はーい、はーい、あーい」
スーパー銭湯に入ることが出来たアシは、すぐにすっぽんぽんになり味噌の湯に入った。アシはシジミに近い貝なので、その湯は極上の味噌汁になったという。
隣の寿司屋の大将が銭湯に味噌汁を汲みに来る。1杯分をお腹のポケットに汲み、店へ戻っていった。
「うーん、やっぱり旅行といえば舟盛りよなぁ。こんなにいっぱい1人で食べてええんやろか。幸せ〜」
存分に楽しんでいる様子のウデ。返ってきた大将がお椀を差し出す。
「ズズ⋯⋯なんだこの美味いシジミ汁は! まさに極上! シジミこそ入っていないがこの風味は紛れもなくシジミ! しかもかなり質の良いシジミの出汁だ! なんなんだこの店はぁ!」
シジミ汁の予想外の美味さに思わず叫んでしまったウデ。旅行満足度対決はウデの勝利となった。得点としては、ウデの舟盛りが6点、シジミ汁が90点で96点。アシは組をやめたことでマイナス50点、風呂に入ったことでプラス30点でマイナス20点となった。
最後の対決を始めようとしたところで会場である公園に雷が落ちた。公園は停電してしまい、対決は一時中断となった。
この続きを書くのはテレビの前の君だ!
活動報告でリレーをやってる人をたまに見かけるので、やってみたいなと思い本編リレーを考案しました。誰かこの続き書いて! 30倍面白くして!
※もし書くとしたら感想欄じゃなくて、小説として投稿してください。書いたら教えてくださいね! 食べに行くから!