04スパイ
ジャムパン「突然の招集すみません。」
ジャムパン「捜査員が銃撃犯の拠点を襲撃しましたが、直前に逃げられてしまいました。」
ジャムパン「拠点が判明してすぐ行動したのにも関わらず、です。」
ここに集まったのは9名。
ジャムパンさん、ピザパンさん、コロッケパンさん、短パンさん、俺の5人。
そして捜査本部でコロッケパンさんの連絡を聞いた4人。
この中に・・スパイがいる・・?
部長「しかし本当かね。この中にスパイがいるだなんて。」
係長「ジャムパンくん、キミの部下もいるじゃないか。」
ジャムパン「容疑者という意味なら私も含まれています。」
ジャムパン「もちろん自分は違うとわかっていますが。」
アゲパン「自分もそうですよ!スパイだなんて濡れ衣です。」
カレーパン「自分も同じです。どうやってスパイを調べますか?」
ジャムパン「連絡の距離と速度から考えて、携帯が用いられたと考えます。」
ジャムパン「そして論理的にひとりスパイではない者がいる。」
ジャムパン「この者に全員の持ち物検査及び電話メール通信のあるアプリの確認をしてもらいます。」
部長「論理的にスパイではない者か。誰だね?」
ジャムパン「地方から応援に来てくれた後輩くんです。」
ジャムパン「彼からもたらされた情報で、銃撃犯の拠点が判明しました。」
ジャムパン「もし彼がスパイならば、こんな形で情報を与えることはないでしょう。」
係長「しかしわざとアジトを教えて信用させようとしている可能性は?」
ジャムパン「それについては」ピリリリリ・・
ジャムパン「失礼・・・・拠点の所有者を逮捕したと連絡が来ました。中国人です。」
係長「中国・・」
ジャムパン「急なことで連中の対応は間に合っていません。」
ジャムパン「既にスパイがいて疑われていない状況で、わざわざ疑われる演出をする意味はないでしょう。」
係長「わかった。すぐにでもスパイをあぶり出し、犯人を捕まえろ。」
係長「ほら早く調べろ。私の準備は万端だ!」
係長さんは、携帯を机の上に乗せ手を広げた。
後輩「はい、失礼します。」
他に通信機を持っていないこと、そして携帯の中身を確認した・・んだけど・・
これって・・
係長「プライベートへの干渉までは認めていないぞ。」
後輩「は、はい。」
ホーム画面が・・死体の写真だった。
・・
・・・・
係長さんから始まり、部長さんやジャムパンさん、ピザパンさんを確認した。
部長「孫と触れ合う気分だった。もう一回やる?」
やりません。
男の身体検査したって楽しくない。
あと人を疑うって結構つらい・・
後輩「次は・・アゲパンさんですね。」
アゲパン「・・」
アゲパンさんが突然逃げ出した!
短パン「待ちやがれ!」
コロッケパン「急発進はご遠慮ください!」
カレーパン「お前がスパイだな!」
アゲパンさんはすぐ捕まった。
後輩「身体検査の結果、怪しい携帯が2台ありました!」
係長「この・・売国奴が!恥を知れ!」
カレーパン「しかしこれで安心して捜査できますね。」
ジャムパン「カレーパンさん、あなたもスパイです。」
カレーパン「な!?」
カレーパン「濡れ衣ですよ。身体検査すればわかります。」
ジャムパン「スパイがひとりとは限らない・・そんなの常識でしょう。」
ジャムパン「見てましたよ。あなたが捕まったアゲパンさんの服に何かを入れるのを・・」
ジャムパン「アゲパンさんから見つかった怪しい2台の携帯・・指紋でも確認しますか?」
カレーパン「・・クソ!」
カレーパンさんは逃げようとするも、ピザパンさんと短パンさんに阻まれ捕まった。
俺は・・動けなかった。
身内に裏切者なんて、初めてのことだった。
それもこんな・・片方のスパイが犠牲になってもう片方のスパイを逃がそうとする。
これが・・警視庁・・
ジャムパン「身体検査はやり直しです。」
ジャムパン「このどさくさにまぎれて他のスパイがこっそり身体検査済みの仲間に怪しいブツを渡した可能性がありますので。」
・・徹底してる。
でも既に検査済みのお偉いさんはなんて言うか・・
部長「2回でも3回でも身体検査していいぞ。」
部長「なんならおじいちゃんと呼んでくれてもいい。」
係長「徹底的に調べろ。見逃しは許さん。」
なぜか係長さんまで協力的。
警視庁だからなの?
・・
・・・・
身体検査の結果、他の人はシロだった。
夕食の時間になったので、いったん解散。
俺はジャムパンさんたちと一緒に食事をとる。
コロナが怖いのでみんな2メートルは距離あけてる。
ピザパン「係長はさ、外国人強盗団に奥さんを殺されているんだよ。」
ピザパン「臥薪嘗胆っていうのかな、奥さんが亡くなった時の写真を持ち歩いてるってうわさだ。」
そのうわさ真実だけど言っちゃいけないよね。
しかし・・不幸は、どこにでもあるんだな・・
なら不幸な人も・・・・いや、もし係長さんが不幸でも、その責任を社会に押し付けようとはしていない。
むしろ、社会をよくしようとがんばっている。
みんなが社会をよくするために協力できれば、世の中は変わるんじゃないだろうか?
でも、社会に憎しみを抱いた人たちは・・協力してもらえるのかな?
短パン「しかしまぁ、来てくれて助かったよ。」
短パン「おかげで順調なすべり出しになった・・世間の注目度が高いと色々とプレッシャーがなぁ。」
ジャムパン「どうあろうと私たちは同じように職務に取り組むものだ。」
ジャムパン「・・とはいえ、はよ解決しろと上からも国民からも厳しく言われるのはきついな。」
後輩「不幸な人による銃犯罪となれば、アメリカの銃乱射事件を連想してしまいます。」
後輩「アメリカ型犯罪が日本でも起きた・・というのはインパクト強いですよね。」
コロッケパン「見捨てられた不幸な人による犯罪か・・どうしようもないよな。」
ピザパン「おいおい、警察官がそんなこと言うなよ。」
コロッケパン「ピーマンが嫌いなやつもいれば、ナスが嫌いなやつもいる。」
コロッケパン「大人になれば食べられるやつもいれば、食べられないままのやつもいる。」
コロッケパン「同じもん食っても感じ方は人によって違う。」
コロッケパン「・・他人の気持ちなんて絶対わからんよ。」
コロッケパン「オレは他人に対して”その気持ちわかるよ”とか言うやつが嫌いだ。」
ピザパン「な、何マジになってんだよ。」
ピザパン「いつもの百連発ジョークはどうした?」
コロッケパン「ははは、明日からお前は二百連発ジョークと言うようになるだろう!」
コロッケパン「では第一弾!」
電話「空気読まない電話だよ!」
後輩「あ、先輩からです。」
サンドパン「食事中のところすみません、みなさん少しよろしいですか?」
ジャムパン「キミは・・サイバー対策課のサンドマン。」
サンドパン「サンドパンです。」
サンドパン「銃乱射事件の犯人が潜伏しているとおぼしき場所を特定しました。」
おお!
・・先輩も同じこと言ってきたりして。
後輩「もしもし後輩です。」
先輩「よしよし、まだ銃殺されてないな。」
先輩「そんな後輩に情報だ。ホームレスに銃を渡すイベントがあるみたいだぞ。」
先輩「・・阻止して銃を押収するんだ。日本に違法な銃などいらん。」
後輩「・・・・と言ってますが。」
サンドパン「な!?あなたは誰ですか?なんでそんなことわかるんですか!?」
先輩「誰だお前?」
サンドパン「警視庁サイバー対策課のサンドパンです。」
先輩「・・警察官だよ。地方で刑事兼サイバー対策やってる。」
先輩「東京でホームレス使って転売やってるやつ見つけて、不透明な金の流れを教えてやったら協力してくれてな。」
脱税をネタに脅したんですね。
先輩「ホームレスを集めて銃犯罪の手先にする計画がわかったんだ。」
ピザパン「弱者を利用とは許せないな。」
短パン「まったくだ!」
サンドパン「な、な・・そんなやり方・・」
先輩「ミイラ取りがミイラにならないようにするのは当然として・・」
先輩「刑事ってのは、捕まえるのが仕事なんだよ。うちの超かわいい後輩が活躍する予定なんで邪魔すんな。」
サンドパン「・・なるほど、突然の活躍はそういう理由でしたか。」
サンドパン「後で連絡先を教えてください。」
後輩「れ、連絡先聞いてどうするんですか・・?」
サンドパン「教えを乞います。」
サンドパン「警視庁は日本最大の警察組織です。一番でなければいけないんです!」
貪欲さがすごい。
これが・・警視庁・・なんかもう圧倒されまくり。
ジャムパン「チームをふたつに分ける。」
ジャムパン「増員した上で片方は銃撃犯の確保、もう片方は銃の受け渡しの阻止だ。」
ピザパン「はい!」
コロッケパン「はい!」
短パン「はい!」
後輩「はい!」
先輩「がんばれ後輩」
・・
・・・・