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真夏の夜話 弐

作者: 柏木匡

夏の風物詩です。


怖くないと思いますよ。


一話完結型なので短編として投稿しております。

ご了承ください。

 皆さんの帰り道には十字路はありますか?

二つの道が交差する場所。子供頃なんとなく怖かったその場所。

電灯が点滅する十字路はとても不気味です。


 今夜はその十字路のお話しです。



 彩乃は今年で28歳。

中小企業に勤めている。今夜は久しぶりの合コンだった。

28にもなると飲み会の誘いは減り、友人達は結婚雑誌を買うようになった。


 毎年6月は掛け込むように友人達が一人また一人独身を卒業していく。

彩乃は容姿は普通だと自分では思っている。

自慢できるものは長く綺麗な髪だった。


 飲み会は思ったほど面白くなく終電前に友人の恵美と抜けだし

彩乃の家で呑み直す事になった。


 最寄りの駅をおり、タクシー乗り場に向かう。

土曜の夜、タクシーには長蛇の列が既に並んでいる。


 二人は歩いて家に変えることにした。距離は2キロもない。

なるべく明るい大通りを選んで帰る事にする。

二人とはいえ女性である。何かあってからでは遅いのだ。


 途中、彩乃の通っていた中学を通り過ぎ

道は住宅街へと進んでいく。ここは閑静な住宅街で区画整理も

きちんと碁盤のようにされている。


 彩乃の家もその中にある。

道を挟んで両脇には住宅が並ぶ、街灯はあまり多くなく

ときより不安になるが住宅からの灯りでさほど気にはならなかった。


「あ……お酒切らしてるかもしれない」


彩乃は先程から自宅の冷蔵庫の中身を思い出していた。


「嫌だからね。おじさんのウィスキーとか無理」


 恵美は飲めるお酒はチューハイのみである。


「まぁ家は通り過ぎちゃうけど奥まで突っ切ればコンビニあるから」


彩乃は住宅街を通り過ぎ大通りにあるコンビニに向かう。


「結構歩いたのにまだ歩くの?」


恵美は髪の毛を結んでいたがそれをほどきながら歩く。


 確かに歩いた。ここまで来てお酒がなければもっと酷い

彩乃は恵美の手をひきコンビニを目指す。

家を過ぎ、何本目かの十字路を過ぎた時のことだった。



 恵美は立ち止まって上を向いていた。きょろきょろと何かを探して

いるようだった。


「恵美なにしてんの? 星なんて今日見えないよ。曇りだし……」


そういって彩乃も空を見上げる。

空は雲で埋まっており星は全く見えない


「いやさぁ……なんか上からなんか聞こえたんだよね」


恵美は不思議そうな顔をしながら彩乃に追いつく。


「変な事言わないでよね………これだけ家があれば怖くないけど……」


彩乃はそう言って歩き出す。



 あと3本ほど路地を渡れば大通りである。

車の音とライトが左右に動いているのが見えた。


「あと少しでお酒だ! いくよ恵美」


恵美と彩乃はふたり並んで次の十字路へと向かう。


 


 十字路の真ん中あたりに来た時だろうか

ふと手を叩くような音がする。拍手ではない。

変則的にリズムが変わる不思議な音だ。犬を呼ぶ時の様な気になる音がした。


 思わず足を止める


「……なんか聞こえるよね? 手を叩くような音……」


麻美が顔をむけ同意を求める。


「うん……なんだろう……いまいちどこから聞こえるかわからないのよ」


彩乃は辺りを見渡す。


 周りにはなにもなく十字路のマークの上に二人が立っているだけだった。


その時、今度は二人の上から手を叩くような音がした。


 二人は上を向いた。

しかしそこには曇った夜空が広がっておりなにもない。



彩乃は恵美に話しかけようと視線を戻した。




彩乃は思わず口に手をあて、声を上げる事さえできなった。


 

上を向いている恵美も声も出せず、目だけを動かし助けを求める。


 

 恵美の後ろには腰の曲がった老婆が恵美の髪を鷲掴みにしていたのだ。

その形相は憎しみだけの表情。恵美の髪の毛を根こそぎ引き抜こうとしている

ように見えた。


 恵美は必死に体を動かす。だが顔は空に強引に向けられ

老婆は右手で髪を左手で恵美の首根っこを押さえている。


助けをこう視線を彩乃に向けた恵美は恐怖の表情にかわった。


 彩乃は声がでなかった。体も思うようにうごかなかった。

恵美の視線がこちらを向き表情が恐怖を超えたのを彩乃は感じた。

 

彩乃は上を見上げてしまった。先程、音がした頭の上を




 そこには異様に背の高い老婆が彩乃を見下ろしていた。


彩乃はその老婆に髪を掴まれ上へ上へと釣り上げられていく。


恵美は髪の毛を掴まれ下へ下へと引き込まれていく。



 十字路の中心には二人の抜けおちた髪の毛だけが残った。






 






 


 

ここまでお読み下さって感謝致します。



夜に投稿するつもりが今は朝。


作者は幼少の頃、夜の十字路は苦手でした。

現在は夜の不良の皆さんが苦手です。


8月5日 本文修正 

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― 新着の感想 ―
[一言] 読みました。怖くはありませんでした。 僕は割りと夜は好きですね、夜散歩するのは気分が良い。夏は寒くないので夜歩きするには一番良い季節です。
[一言] 一つだけ気になりましたので。「大道り」ではなく、「大通り」だと思いますが?
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