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85.5(特別編):バレンタインより愛をこめて

バレンタイン近いのでバレンタインイベント挿入します。

2月14日......。

この日は女性が男性にチョコをあげる日......。いや、もうその時代も古く、友達同士でおいしいお菓子を食べる日となりつつあった。とはいえ、かの如月信男はそうはいかない。ハーレム王の第一歩を踏み出しつつある彼にとってこの日はとっても特別な日となっている。


「ああああああああああ! バレンタインじゃああああ!」


「うるせえ」


「なんでそんなに冷静なんだよぉ、れんれんは!?」


「わーぎゃー騒いだってもらえるわけじゃあないだろ」


「いいや、あるね。なぜなら俺には手芸部のみんながいるから」


その頃一方手芸部の女性陣はというと誰が最初に信男にあげるかで争いが起きようとしていた。


「あや、それもしかしてモブッチの?」


「え!? ああ、そうです。もちろん、初めに渡すのは私ですけど......」


「あ? うちに決まってんじゃん!? うちの手作りケーキをあーんさせてあげんの!」


きらりとあやは額をぶつけてにらみ合っていると、いけしゃあしゃあと麗美が手を華麗に振り信男の元へと急ぐ。


「ちょっと待てやこらぁ!!」


「麗美さん? もう卒業なんですから、おとなしくしてください」


礼は冷刀を現出させ、きらりは現出装・ヒップ&ホップを身に着け、麗美の行く先を阻む。麗美は妖艶に唇を指でなぞる。


「そんなこと、できるわけないじゃない。むしろ逆よ、卒業するからダーリンを独り占めしたいのよ」


「卒業前に締めねえとこっちのあれの虫がおさまんねえんだよ! なんの虫だっけ」


「きらりさん、腹の虫です」


色欲蝶キンキー・バタフライ、ヒップ&ホップ、冷刀が交じり合い、一人の男をめぐる戦いは激戦を極める。外は銀世界。礼の冷刀の刀身が大きく増し、きらりの足蹴を払いのける。


「まじ、礼の野郎、環境に左右されんのチートすぎ」


「そうね。まずは厄介で正統派な礼ちゃんをやろうかしら?」


そういったにもかかわらず、間髪入れずにきらりに振袖でビンタをするようにはためかせ距離を取らせていた。きらりは不意打ちを食らって少し怯んでいた。その姿に気を取られて礼も麗美の毒牙にむしばまれる。


「男性の方が効き目のある媚鱗粉キスケイルでは、私たちに決定的な有効打はありませんよね? 私が先に信男さんに渡します! 札杜流のその先をいった我流の切れ味を見せます。我流居合、かいつぶり」


「さあ、それはどうかしら?」


麗美がそういうと、礼ときらりの身動きが途端に止まり、その場にへなりと座ってしまう。


「な、なにをしたんです///」


「ああん// こいつ、変な鱗粉どくつけたん♡......だろ//」


二人の吐息が甘くなり、火照っている間に麗美は余裕しゃくしゃくと信男に近づいて行く。


だが、礼は諦めずに重い体を突き動かしてギリギリのところで、麗美の背中を傷つける。


「おい、ついた! 私は負けません! 私が最初に信男さんの元にチョコを、渡す!」


まわりに凍てついた風と今にも刺さりそうな氷柱が礼の周りに浮かぶ。氷柱をくないのように見立てて麗美ときらりに投げ飛ばす。


ヒュンヒュンヒュン!


投げ飛ばされた氷柱は風を切り、彼女らの制服に命中。見事、身動きを取れなくさせていた。礼はポニーテールをファサっとなびかせて、氷柱に操られたマリオネットのようになった二人を鼻で笑う。


「の、信男さん!」


さっきまでの事がなかったかのようにしおらしくなって信男の元に駆け寄る礼。彼女らの洗浄など知ったこっちゃない信男は鼻の下と舌を伸ばしてアホそうに返事をする。


「はあい! 礼も俺にバレンタイン?」


「も? とはどういうこと......」


礼が信男の手元を見ると、彼の両手にはすでにチョコレートが優しく包まれていた。礼は少し冷ややかな目と口調で問いただす。


「誰の、チョコですか?」


「ああ、しいなだよ。さっきもらったんだよ! 後輩からのチョコ、うれしいなぁ」



礼は少しご機嫌斜めになり、乱暴に自分のチョコを手渡した。


「はい、そうですか。 じゃあ私からもプレゼントさせていただきます。くれぐれも、気を付けて食べてくださいね......?」


そういうと彼女はスタスタと足早に教室へと戻った。信男は礼の言葉に首をかしげながらもクリスマスプレゼントをもらった少年のように乱暴な手つきで包装紙を開ける。丸く小粒のチョコレート。どうやら手作りのようだ。信男は、なにも考えずに口にほおばる。すると、ガチンという音と共にチョコが割れずに口の中に潜んでいるのが理解できたのだ。札杜礼の渡したときの感情がチョコに残留してチョコをコンクリレベルで固まらせていたのだッ! 信男はほっぺを抑えてチョコを舐めていた。


「か、かはいおぉ(かたいよぉ)......。ごへんははいぃ(ごめんなさいぃ)」


礼はその信男のへたった声に罪悪感を覚えつつも寒さで隠れるように顔を赤くしていた。

引き続き本編をお楽しみください。

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