85:如月信男を祝え!
祝え! 主人公、如月信男の誕生日である!!
今日は、12月24日。つまり、如月信男の誕生日である。しかし、今回は休日である25日のクリスマスにクリスマス兼誕生パーティが信男宅で行われようとしていた!
「こんにちはー」
「おう。礼、いらっしゃい」
「はい、お邪魔します」
「おじゃまー。あれ、うち二番手な感じ?」
「そうだね、とにかく二人とも入りなよ。寒いし」
すでに家族でパーティの飾りつけとツリーの飾りつけの終えた信男の家に二人がお邪魔する。二人はそれぞれ霧江に料理を教えてもらいながら晩御飯を支度していた。続いて、天使月姫と結城姉妹が現れた。
「いらっしゃい、天使ちゃん」
「うん! お邪魔するね。今日はプレゼント交換会楽しみにしていてね?」
そう、今日は大人数になったのでやってみたかったプレゼント交換をすることにした。ちゃんと俺も用意している。誰に当たってもいいように無難に筆入れにした。増えて困るもんでもないしな。
「こんにちは」
「ちはぁ」
「愛海さんに亜莉須先輩もいらっしゃい。さあ、あがって! いつも以上に一階が広くなってるから」
「「お邪魔しまーす」」
天使は葵の元にはしりだし、ほっぺをすりすりしていた。かわいくて一目ぼれをおこしているらしい。葵は少し嫌がりながらも少し顔を赤らめていた。愛海と亜莉須の方は霧江の方に行き、お土産のようなものを渡すそぶりを見せていた。さらに麗美がここに加わり、去年のメンバーほぼそろった。後は廉と一年生くらいだ。信男が噂をしているとインターホンが鳴った。廉が一年生と共にやってきたのだ。意外な組み合わせに信男は驚いた。
「うえ!? れんれん? それにみんなで揃ってなにしてんだ?」
「いや、こいつらお前んち知らないだろうと思って昨日虹郎を通じて待ち合わせて一緒に来た」
「師匠より、先輩してますよね。連先輩って」
「無口だけど、意外に気の利くところがあるから嫌いじゃないわ」
「しーな、ほれちゃいそうですー。なーんて言ったら、先輩どうします?」
「くそー、廉め。後で覚えてろよ! とにかく、みんな入って! 歓迎するから」
「「「「お邪魔します!」」」」
勢ぞろいしたところでみんなでババ抜きや大富豪をした。そして夕ご飯を食べて、メインイベントであるプレゼント交換へと移った。
万能AIアセクサにクリスマスっぽいBGMをかけてもらって流れる間、プレゼントがぐるぐると回る。どれが誰のかがわからなくなるまで回し続ける。「止めて」と一言声を掛けるとアセクサが反応してBGMが止まる。ポンっと誰かのプレゼントが全員の手元に渡る。
「誰のだろう?」
そういって信男がプレゼントの包装紙を開けるとそこにはスノードームがあった。信男は一瞬で誰のプレゼントかわかった。
「これ、もしかして礼の?」
「そうです......。気に入っていただけましたか?」
「めちゃくちゃよく作られてるじゃないか! この真ん中にいる子は俺?」
「そうです! よくわかりましたね」
スノードームの真ん中には、如月信男とラヴ・マシーンが小さく雪にまみれている非常に可愛い一品となっていた。
「うちのは......これは、のぶっちっぽくないな」
「きらり先輩のは自分っすね! 女性が多いので手鏡にしてみました」
虹郎が元気に解説するときらりは残念そうに呟いた。
「にじろーかよぉ......。ま、後輩のプレゼントはもらってあげるわ!」
「あざっす! ん? 褒められたのか?」
「ゲゲ、筆入れ? 誰のこのセンスないの」
「え、俺だけど? まずかった?」
信男の筆入れを手にしたのは西野真子だった。彼女は、少しバツが悪そうにも見えたが虚勢を張って信男をたしなめる。
「こんなダッサい筆入れ誰ももらわないわよ! まあ、私は仕方なく? もらってあげてもいいけど」
「しょぼん もらってあげて下さい」
「私のは、本? 料理の本ね......」
「あ、それ俺だわ」
廉のプレゼントである料理本は愛海の手に渡った。
「これで、料理の勉強でもしろってこと?」
「何あげればいいかわかんなかったし、料理なら誰でもするかなって......」
「役に立つと思うわ。ありがとう」
「ど、どういたしまして?」
愛海の不思議な笑みに廉は困惑しながらも答えていた。そういう廉がプレゼントを開けるとそこにはお菓子が入っていた。
「ん、俺のはお菓子か」
「それ、しーなの手作りクッキーでーす♪ ホントは信男先輩にあげたかったけど、仕方ないんで連先輩にあげまーす」
「随分なげやりだな。信男、ひとつやるよ」
「お、いいのか?」
「ぜひぜひ♪」
しいなが首を小刻みに縦に振ると廉は信男の手にクッキーを渡した。信男がクッキーを口にするとうまい、うまいと何回も言っていた。もっとちょうだいと廉にジェスチャーをするが廉は信男に背中を向けてクッキーを無心で食べ続けていた。
次に天使がプレゼントを開けるとそこには可愛いシュシュが入ってた。
「よかった! 男子に渡らなくて......。 それ、ウチの手作りなんだよね!」
「ホント!? すごい、器用だね。 ありがとう、大事に使わせてもらうね」
水色系のシュシュをボブ頭の天使にちょこんと乗っかる。チョロンとアホ毛のようになった髪型に可愛らしさを感じて、信男はいつもとは違うドギマギを覚えた。 天使のプレゼントはと言うと亜莉須先輩の手に渡った。ネコのぬいぐるみのようだ。手乗りくらいのサイズでとても愛らしいものだった。
それぞれがそれぞれのお互いがお互いのために考えたプレゼントは全員の幸せを分かち合った。
次回もお楽しみに!(思考放棄)




