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83:ヒロイン

うわー、麗美も亜莉須も引退なのかーー! 

って、なに乱戦してんだぁあああ!

 「信男さんには能力を使わないようにと釘を刺されましたがやむを得ないですよね」


「アタシたちの中で誰が信男にとってのヒロインかってシロクロはっきりさせるときが来たようね」


「こんなことしなくたってウチがよゆーで一番って言いたいけど、しーなにとられてんのよね」


「先輩たちは信男先輩と長いお付き合いかもしれないです。でも、私の方が信男さんのことをたくさん好きです!」


「先輩たちには悪いけど、ボク信男さんに結婚の約束してるし。奥さんとしては見逃されへんで」


「「「「あんたが一番ない!!」」」」



俺は止めたのに彼女たちは俺を外野にして争い始めてしまった。こうなったのも全部俺の余計な一言のせいだった。少し、時を戻そう。


~数時間前、家庭科室~


 文化祭も終わり、通常の雰囲気が戻りつつあった11月。俺たちは今まで以上に自分たちの時間を作った。今日はいよいよ麗美さんと亜莉須先輩の引退だ。これまで以上に部活に顔を出すことはないだろう。


「いよいよ、二人は引退かぁ......。寂しくなるよ」


「そうだねぇ。今年は文化祭が一日しかなかったのが悲しかったねぇ」


「亜莉須の言う通り、最後ぐらい派手にしてくれたらよかったのに」


麗美がぼやいていると礼が冷静になだめた。


「仕方がありません。今年は学業重視で厳しくなっていますから」


「来年は復活できるように勉強しないとだね! 信男くん」


「姉さん、後は私たちが手芸部を盛り上げて見せるから。ね、廉くん」


「え、俺? ま、まあ頑張ります」


「廉くんは最初に会った時より表情が柔らかくなったねぇ。先輩として嬉しいよぉ」


「亜莉須先輩! 俺だって、天使ちゃんだって変わったんだよ!?」


「え? そ、そうかなぁ」


天使が少し照れていると礼が机をたたいた後、俺をにらみつけて引っ付いたようなスマイルで語り掛けた。


「私だって、変わりました。よね? 信男さん」


「確かに、最近るなっちひいき多いよね。もちろん、真のヒロインを立てるために言ったんだよね? のぶっち」


続いてきらりが反対側に立って座る俺を見下ろしていた。凍てつく視線と母性のようなまなざしは俺の心に罪悪感を生んだ。やらかした。天使ちゃんの状況が変わってみんなと普通に過ごせてるねって言いたかっただけなのに!


「あら、ダーリン。アタシを忘れてないわよね?引退するからって蚊帳の外なんてごめんよ」


「先輩は引っ込んでください! ここは次世代ヒロインのしーなを立てるべきです! 現に私は最近信男さんに膝枕しました! みなさんは一体『いつ』個人で膝枕したんですか!!」


こうして今に至る。そこにモモも加わるものだから俺の制止する声は届くこともなく、5人は個性を現出させ引退式そっちのけで盛り上がってしまった。亜莉須先輩も先輩でイベントが始まったかのように声援を送る。愛海と廉は白を切って読書をしている。


「我流天晴!!」


「あんたはいつも動きがたんちょーだから分かりやすいっしょ! JK・デスローリング!」


きらりが礼に回し蹴りをお見舞いしようとするも礼の切り返しの速さには敵わなかった。それを漁夫の利とるようにしいながメイドインデビルのしっぽで足払いをする。


「へへ! しーなを舐めてたら痛い目見ますよ♪」


「破璃剣法、馬耳東風!! よそ見は禁物やで!」


しいな含む三人を吹き飛ばし端へと追いやったモモの強風は彼女の練り上げられた速さだからこその技だ。すると麗美の方が礼に向かって走り寄っていった。


「でも、礼? あなただって十分信男に好かれてるわよ?」


麗美は平気で礼の首をしめて持ち上げる。


「れ、麗美さん。それでも、私は......!」


「礼をやるのはウチだっつーの」


きらりの蹴りが麗美にジャストヒットして、しいなとモモがやりあっている方へと飛ばされていく。三人は山になって倒れてしまう。きらりは礼に寄り添うも礼はそれを払いのける。


「なに、してるんですか! 私たちは争っているんですよ!」


「そうだけどさぁ」


いざこざは少し収まるものの未だにピリピリしている。そこに嫌なタイミングで嫌味たらしく虹郎の双子の兄、雅が女性を二人抱えて見物に来ていた。雅はこちらをみるなりニヤリと笑いだす。するとお抱えの女子たちはクスクスと笑い出した。争い鎮まる中、虹郎だけは心の灯火が鎮まることはなかった。



久しぶりに現出させた気がする。

次回は雅と虹郎の場外乱闘!

師匠から弟子へ引退組から現役生へ繋ぐバトン!

次回「バトンが渡る君へ」


※いつも読んでいただきありがとうございます。よろしければブックマーク、感想、評価、レビューお願いします。こちらでも、できるだけ誤字脱字、矛盾点のないように改稿しておりますが、何か気づいた点があればご指摘いただけると幸いです。

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