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79:学園大パニック! 犯人は信男!?

うわああああああああああ!

大変だ! みんなで作った作品がああ!

 放課後、俺たちが制作の続きを励もうと思って執務室を覗くと、そこにはめちゃくちゃになった俺たちの血と汗と涙の結晶があった。あっけにとられて話す気にもなれなかった。立ち尽くしているとそこに委員長が現れ、俺の胸倉を急に掴んできた。


「君は......。君という人間は!!」


「へ?? いやいやいや! なんか誤解してないか?」


「ではこれは誰のせいだって言いたいんだ! 僕たちはもちろんこんなことはしない......。だが、キミはどうなんだ?」


「俺がそんなことをする奴だと思ってんのか?」


「じゃあクラスメイトに聞いてみようじゃないか!!」


俺たちは社交ダンスのようにお互いの胸倉を掴みながら至って真面目に教室へと入っていき、そろってクラスメイトにいきさつを話し始めた。


「「で、どう思う?」」


「仲良くこられても説得力にかけるけど、執務室で起きたってことは場所を知っている俺たち内部の人間あるいは生徒会の人間じゃないか? 他のクラスはどうなんだ?」


礼に聞いてみると彼女のクラスで作った備品も壊されていたようだ。というかこんなに貢献してるのに犯人扱いされてるの?


「じゃあ、生徒会が?」


「それだとおかしくないか? 自分の評判を下げるようなことはしないでしょ」


「じゃあ、生徒会にうらみのある人間......。やっぱモブ男だな」


「なんでそうなんの!? 俺は恨みなんてないよ? むしろ恨まれてると思うけど?」


「決定的な証拠があるぞ! 如月信男!!」


そういうと教室に入ってきた比古が血眼になってスマホの写真を見せてきた。そこには比古のクラスの備品の被害の様子が映っていた。


「これをどう説明するのか楽しみでやってきたぜ」


「一年の教室なんて最近行ってないぞ? なにを根拠にいってんだ」


「お前が俺のことを嫌いだから言ってるんだろうが!!」


「別に嫌いとかじゃない。合わないんだよ。合わない奴と話す気にもならんのだが」


「はぁ? そんなこと言っていいと思ってんのか? 俺みたいな真面目な奴ほどお前に必要だろうが!」


「なに? 仲間になりたいの? 嬉しいけど俺の仲間を傷つけた奴はごめんだよ。というか、今は犯人探しとかじゃなくてぐちゃぐちゃになった備品をどうにか当日までに直す方法だろ? クラスの出し物もつくるんでしょ? なら、やらないと」


「そんなこと促す奴が犯人って言ってるようなもんだろ!」


「そう思うならそうしろよ。俺は作業に戻る」


俺が段ボールのゲートに手を伸ばして割れた部分をなんとかして修復する。中々うまくいかない。そうか、折り紙を使えば何とかなるかもしれない。折り紙を捜していると顔の横から救いの手が伸びた。


「はい、のぶっち。 うちも手伝うっしょ」


「ありがとう! 急ピッチで仕上げないとな」


「......。色使いがなってない」


委員長が適当にいろんな色をはっつけていたのを見かねて参加し始めた。俺はちょっとうれしくなった。委員長の指示に則って文化祭を盛り上げるゲートを仕上げていく。


「如月信男は俺たちをだまそうとしている! あいつが犯人なんだよ」


「もうやめなって比古君。君は彼に負けたんだよ」


「だまれ! 人じゃないくせに!!」


俺はその言葉に反応し、きらりと委員長にその場を任せて比古を連れだした。


「その言葉を二度と口にすんなよ」


「お、怒ったw で、どうすんの?」


「それだけだ。 じゃ、さっさと帰ってクラスの出し物修正するんだな」


比古は手を伸ばしてきたが俺は反応せずに教室へと入っていった。俺は彼にかまっている暇はない。瞬間瞬間を大切にしたいと決めたんだ。教室に戻り、段ボールゲートを完成させた。その際にクラスの出し物が決まり、お化け屋敷となった。去年もしっかりクラスに関わればよかったな......。さて、こんどは部活動の方でも考えないとな。


「悪い。 部活の出し物を決めるから今日は俺たち抜けるわ」


「ああ。 今日は手伝ってくれて感謝するよ。それと、すまなかった......。私は君に嫉妬していたようだ」


「もういいって、言わなくていいよ」


委員長は深々と頭を下げた。彼が言おうとしてたのは犯人が誰かということだろう。でも、俺はそんなことはどうだっていい。委員長が説明しているのを後目に別れを告げ、俺たち手芸部は家庭科室に再集合した。


「俺たちも、出し物をしなくちゃな」


「そうだねぇ。 去年は人形劇やっちゃったし、今年はより派手にしたいねぇ」


部長である結城亜莉須はぽつりと語るときらりがアイデアを出してきた。


「メイドさんの格好がしたいんですけどぉ、なんかいい方法ない?」


「うーん、なにかないかなぁ......。輪投げとか?」


「普通じゃないか?」


「お前はないのかよ、れんれん」


「輪投げの輪を変えるとか」


「女の子が髪につけてるあれ、なんていうんだっけ?」


「ん? このシュシュのことですか?」


礼がポニーテールを下ろしてシュシュを手渡した。......これだ! 


「このシュシュを大きくして輪投げにしよう! シュシュっと輪投げ!!」


「ネーミングセンスは置いといていいんじゃないか? 斬新で」


「私もいいと思います。他にない色で手芸部は個性を出さないとですね」


「いいよぉ。シュシュの作り方は私が教えてあげるねぇ」


「ま、部活に入ったからにはやるしかないわね」


「先輩、しいなと一緒に可愛いシュシュつくりましょうね!」


というわけで今年の文化祭はシュシュ輪投げに決定しました。やったね! 後は、あいつだな......。俺は鼻歌交じりに亜莉須先輩のシュシュづくり講座を聞くのであった。

シュシュで輪投げしようぜ!! ご主人様!

次回「シュシュっと文化祭!」

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