78:みんなで準備! 文化祭
よし、文化祭やるぞ!! ってあれ?
やっと楽しいイベントが始まる!!
文化祭! それは人生の中でもっとも思い出に残る瞬間、これこそ青春!
今年は10月31日のハロウィンに合わせて文化祭が行われるのだが、その準備のため飾りつけや催し物を考えていくのだが......。この雰囲気はなんだ!? 準備が整っていないだと?
「え!?」
「『え!?』じゃねえよ。俺たちゃあ気づいたんだよ。お前たちの思い出作りに貢献させてんじゃねえかって......。だから今年はやらん」
「いや、みんなの文化祭でもあるんだよ?」
「みんな!? お前、まだ仲間だと思ってんのか? 俺たちはまだお前が比古にしたことを許しちゃいないんだぞ」
「俺が何したんだよ!」
「平等だ、個性だと言っておきながらあいつの個性を否定した! 降谷の時もそうだ......。時間が解決してくれると思ったんだろうがそうはいかないぞ」
「個性を否定したわけじゃない! あいつらが俺たちの個性を否定してたんだろ!」
「やめなよあんたら! あんたたちにのぶっちの何がわかるんだよ!」
「如月信男の言う通りだよ」
「降谷さん......」
クラスのもめごとに駆けつけてきた天河美琴と降谷善治。二人が俺のことを擁護してくれるなんて変わるもんだな。
「ぼくはあの時、君たちを道具にしようとしていた。比古も君たちをたきつけるようなことを言ってただ争いを見たかっただけなんだ。そんなの前会長が許すわけもないし、ぼくも改心した身としても見逃せない。見て見ぬふりはもう嫌なんだ」
「あんたの口が開くのをどんだけのぶっちが待ってたか分かってんのあんた」
怒るきらりの前に天河が割って入ってきた。
「すまない、比古への対処に追われていた。そこは我々の落ち度だ」
「生徒会は引っ込んでろよ! 何もしてくれない癖に」
生徒の一人が口を開くと他の生徒がそれに乗っかり賛同する。文化祭ムードはなく、信男たちへのヘイトが溜まっている。
「どうしよう......。文化祭はみんなの思い出になる行事なのに」
信男が困っていると天河が弦の一声を掛けた。
「これからの行動で示すしかない、まずは文化祭の準備を進めよう。君たちも思い出作りはしたいはずだろ?」
天河の一言により渋々彼らは準備に取り掛かった。文化祭全体を盛り上げるための備品づくりはクラス一丸となって分担されているがうちのクラスはゲートを作る予定となっているようだ。
「如月君、そっちの折り紙とって」
「ああ」
委員長に従ってゲートを彩る。他の生徒もきらり、れん、天使ちゃんと共に作業に取り掛かる。一生懸命に何かをやるのも思い出になるものだ。
「如月君はもっと自己中心的で非常識な人間だと思っていたよ。」
「いやぁ、こういう時はちゃんとやるよ。委員長」
「そうだよ! のぶっちはなんだかんだでやり通すタイプなんだかんね」
「きらりナイスフォロー!!」
「自己中は当たってると思うぞ。もうちょい自省してもらいたいね」
「廉!? そりゃないよ?」
「連って面白い奴だったんだな!」
全員が廉の皮肉にみんながクスっと笑い出し俺は少し苦笑いしたが、あいつの面白い所がクラスに知れてうれしかった。作業を始めてやっと空気が柔らかくなった瞬間だった。
「よし! 今日の作業はこのくらいにしておこうか」
「でもこの大きいオブジェどうすんのよ」
「他のクラスも困っているだろうし手配はこちらでしておく」
「さっすが生徒会だぜ!」
生徒一同が生徒会を持ち上げて、今回の作業は切り上げることにした。
この日、俺たちは思いもよらない惨状を目の当たりにすることをまだ、知る由もなかった。
準備準備~♪
だが、最悪の事態に!
次回「学園大パニック! 犯人は信男!?」




