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76:青春にエピローグはない。

青春は続くよどこまでも......。

如月信男の決意はすべてを動かしていく!

比古との戦いから一日空いて俺たちは自分たちの個性、というより能力について討論をした。個性と能力の発現は別物なのか......。なくなれば個性自体もなくなるのか? 本当になくなっていいのかを必死に考えた。でも、俺の考えは変わらなかった。


「やっぱり、能力はいらない。個性があれば十分だ」


俺の言葉に廉が疑問を投げかけた。


「やっぱ、そうなるよな。もしそれで個性がなくなったら?」


俺は分からないなりに俺の思いを伝える。


「そうだったとしても、俺は俺だ。だろ? みんな」


「そうですね。争いになるなら手放したいです」


礼を筆頭に全員が俺と同じように現出という名の個性を手放すことに決めた。


「それなら、理事長に会いに行って現出を消す方法を聞こう!」


「そうすんなりとうまくいくか?」


「行くさ、れんれん」


そう言って俺は家庭科室を後にする。礼やきらり、一年の虹郎までもが一緒に行くと聞かなかったが何とかなだめて天使ちゃんと二人で行くことにした。


「信男くん、ほんとにいいの? みんなが行きたいって言ってくれてるのに」


「いいんだ。その思いだけで十分だ。余計な争いは避けたい。......で理事長室はどっちだ?」


「こっちやで」


「おう。ってももちゃん!?」


「理事長の部屋知らんやろうと思ってついてきたわ。他の子には内緒やで」


「いや、ありがとう。助かるよ」


佐伯ももも加えて三人で行動することにした。ももの先導で迷うことなく校長室や理事長室のある所まで来た。だが、そこに立ちはだかるのは意外な人物だった。


「待っていましたよ。如月信男」


「お前!? って誰?」


「ご紹介遅れました。私、SSS機関の副長官 さかき 師走しわすと申します」


「お前もしかして、皐月の父親!?」


「はい。娘がお世話になったようで。なので私個人としてもあなたにお会いしなければならなかった。このような対面になるとは思っていませんでしたけど」


「師走のおっちゃんはボクに任せて信男先輩は先、行って!」


「そういうわけにはいきません。現出:メアリーウォール」


そういうと榊 師走の後ろから大きな壁が廊下を塞ぐように現れた。どうやらこの人を倒さない限り前へは進めなさそうだ。


「そんなの、ボクが一瞬で片を付けるよ! おっちゃん!」


ももが先行して破璃双剣を現出させて一心不乱に師走の方へと向かった。だが、自慢の刀は彼の出したもう一つの現出された刀で受け止められていた。


「現出:長刀大蛇ながたなおろち。私は特殊な体質で二つも個性を持てるんですよ? 天は二物を与えず、とはよく言ったものですね。まあ、これも機関から頂いたものですけどね!」


「そんなまがい物に負けるボクじゃない! 破璃剣法、つむじ斬り6連!!」


「データ通りの動きしかしない分、対処がしやすいですね」


「おっさんのくせにデータ人間とかスポ魂マンガかよ!」


「うっ、これ以上の戦闘は体力の消耗が激しいですね」


二つも能力を使っていてはそりゃそうだろと思ったけど、少し壁の方が薄くなってきたので二人で抜け出そうとするが壁から目がぎょろっと飛び出してレーザーのようなものをひりだしてくる。


「俺もやるしかないか......。現出!」


ステッキを繰り出そうとした瞬間、背後から赤いカマキリの鎌が師走を捕らえて異次元へと飛ばしてしまった。


「デザイア、最後のお仕事だから頑張って」


さかき 皐月めい! 大丈夫だったのか!?」


「ええ、それより早く行きなさい。......父親のことは任せて」


「でも......」


「いいから行って! ......あなたの望み、叶うといいわね」


そういってデザイアの作り出した異空間へと入っていった。


「なんやったんや......。あの子」


「話せば長い。早く行こう」


俺たちは理事長室と書かれた扉の前までたどり着くことができた。俺はノックを3回してみたが反応がない。思わずドアノブを回すとそこには誰もいなかった。確かに机には櫛ヶ科 兼志朗の文字が刻まれたネームプレートが存在している。


「留守......なのかな?」


「だったらどうして鍵なんて開いてんだよ。それに皐月の父さんが立ちはだかった意味も分からんくなるぞ」


「まあ、分からんだろうな」


「親父!?」


そこにいたのは紛れもなく俺の親父、如月信男だった。なぜおれの親父がいるんだ?


「お前はこう思っているんだろう? 『どうしてこんなクソ親父がいるんだ』と」


「ああ、なんでいんだよ」


「簡単なことだよ。アナグラムって知ってるか? 言葉を並べ替えるやつ。kusigasina kensiroを並べ替えてみろ。kisaragi sinnosuke になるだろう? つまりは俺がラスボスってこと。俺を越えなければお前に未来はない」


「あんた、相当面倒くさいな」


そういった時の親父の笑顔は忘れることはない。ついに親父と俺の親子喧嘩が始まるということだ......。

関白宣言ならぬラスボス宣言!

如月心之介を止められるのは......。

個性の先に何があるの!?

次回「猶予の一年間」

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