74:榊 皐月はヤンデレである
ボスラッシュ続きます。
「ペキュラーは敵!!」
『俺たちの敵だ』
「平等なSSSランク制度を独り占めにしている!」
『平等な自由を!』
銃撃がひどくなるにつれ、学校中の生徒は俺たちに牙を向ける。俺たちに行ったって仕方がないと言うのに彼らは目先の当てやすい的を狙っているだけなんだ。
「如月信男!! 私と正々堂々、勝負しろ!!」
「皐月さん......」
「ま、待てよ。俺との、勝負は」
「お前は少し寝てろ。また亜莉須先輩に泡ふかされたいの?」
「くそっ。あいつが終わったら、次は俺だ......」
「彼女に勝てたならな」
礼、天使、廉、きらり、愛海、亜莉須の6人は信男を心配して加勢しようかとも考えたが俺自身がそれを止めた。だって彼女のお望みはタイマンだから。みんなには申し訳ないけど後ろの人たちが戦い始めたときに助けて欲しい。
「榊 皐月! 俺と勝負だ!」
「楽しく、遊びましょう? デザイア……」
「ラヴ・マシーン! 鎌をへし折れ!」
デザイアとラヴ・マシーンは俺と皐月さんの頭上で戦っている。俺は彼女に近づこうとするが彼女は距離をとって怨念をためている。
「そうやって、殻に閉じこもっていても仕方ないじゃないか! あなたはもっと自由に生きていいんだ!」
「そうやって、太陽のように理想論を並べて、誰もがあなたみたいになれるわけじゃないのよ!! 日陰者ならわかるでしょう!?」
「分かる。だけど、閉じこもってちゃダメなんだ。青春は爆発してこそ意味があるんだ。俺が、魅力のペキュラーになって張っちゃけたように、自分らしい夢に向かって!」
「夢? 愛? 本当にあなたは残酷なほど主役面してるわね。私なんか嫌いなくせに」
「俺はあなたのようなヤンデレ系もちょっとありだと思っている!」
『めんどくさくなるやつ!』
手芸部+羽生に突っ込まれたが俺はいつでもだれだってウエルカムだ。それが如月流ハーレム道なんだ。
「私にそれを言うことが何を示すのか本気で分かってんの?」
「それでこの戦いが終わるなら、それでいい」
「はぁ......。だからあなたが好きなのよ。芯の強さは個性では表せないもの」
そういうとデザイアをしまい込み、降参するように手を広げた。俺は彼女には手を出さず、彼女の肩の上の空気を切り裂いた。
「これであなたとは終わりだ」
そういうと後ろにいた生徒は怒りをあらわにした。勝敗のない勝利を好まない群衆は決着をつけるように指示を飛ばす。言葉の刃はモブという非特定性によって苛烈に、卑劣に並べられた。俺はそいつらに対して大きな声で抵抗した。
「なら、お前たちの誰かが俺と戦え! 群れて戦うな! 今、ここの戦場で、個を持って話せ!」
俺は理想的すぎるのかもしれない。誰もが自分の個性を発揮するなんてものは幻想かもしれない。でも、ここにいるみんなは誰もが個性を持っている。みんな、迷っているんだ。でも、偶然に与えられた俺はみんなになんていえばいいんだ?
「言うようになったなぁ。如月信男」
「羽生、起きてたのか。お前と戦う気もないぞ」
「ほんと、ものまねっていうのはつくづく他人任せな個性だよな」
「別にお前に個性がないなんて一言もいってないだろ。ものまねできること自体が立派な個性だろ。俺にも誰にもできえない。お前が見つけたんだろ、それ。誇れよ」
「なんだよ、それ! あーあ、俺はお前になれないって言うのがやっとわかったよ。お前の器のでかさは誰もまねできない、最悪の個性だよ!」
最悪なのはこの状況の方だと言い返したかったが、肩を落とす羽生の姿に今の俺にはなんの励ましの言葉もかけることができなかった。
「まったく、面白くもないな君は。以前の輝きは、ぎらつきはどうした?」
「比古!?」
そこには羽生の肩に手を置く比古の姿があった。比古は羽生のことなど見向きもせずに突き飛ばす。
「おいおい、一年坊がよく言うなぁ。俺は俺の道をいくことに決めただけだ。もう何者にも染まらないと決めただけだ。」
「大変つまらなくてよろしい」
「比古、お前に羽生のことをとやかく言う資格はない」
◇◆◇
まったく、ここは地獄だな。理想主義の反吐がたまりすぎてる。俺は興味のない羽生を追い出し、如月信男と対峙した。
比古を止められるのは......。
次回「個性が強くて何が悪い。」
タイトル回収早くね?




