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72:二学期だよ!? 全員集合!

いよいよ物語は佳境へ!!

SSS機関は学校へそして生徒へと訴えかける。

 夏休みは長いようで短い期間で終わってしまった。俺は宿題を後の数週間でできる限りのことは尽くした。最終日に近づくと徹夜も続いたので始業式の今日も少し眠い。


「のぶっち久しぶり〜! ……そんな気がしないけど」


「確かにね〜。宿題できた?」


「余裕っしょ!......てか大丈夫?くまできてるよ?」


「ああ、ちょっとだけ徹夜した」


「後で膝枕貸したげる♪」


「助かる~」


「信男君、おはよ」


「天使ちゃん! おはよ」


「るなっち、はよ~」


珍しい三人が教室に揃って話しているとやはり視線が気になる。俺たちを憎むようなうらやむような視線は担当の神宮寺が来るまで続いた。


「みなさん、おはよう。今日は始業式だが皆さんに素晴らしいお知らせがある」


急に神妙な面持ちになった神宮寺はとんでもないことを言い放った。


「今日からSSS機関所有校と合併する! 君たちは選ばれた収容番号エージェントとなるのだ! よろこびたまえ!」


個性のないモブたちは自分も比古のようになれると歓喜の声をあげる。それは俺たちを除いたお祭りのように蚊帳の外の出来事のようだ。


「ちょっと持ってください。普通吸収とか合併とかってすぐにじゃなくて年越とか来期に回されるんじゃないんですか?」


クラスのインテリの一人が先生に問いかけると神宮寺は顔圧をかけて返す。


「君は学校の意向に不服だと、そういいたいのか? 君の推薦の件、なかったことにできるんだぞ?」


「え!? いえ、そんな......。すみません。なんでもないです」


「ちょっと待ってくれよ! それでいいのか?」


「なら、いまからディベートでもしようか? 我々賛成派と君で」


「うちも反対~」


「私も、信男君と同じくこの合併には賛成できないでーす!」


きらりと天使ちゃんが俺をフォローしてくれた。ありがたい。廉は行動を起こさずただ俺たちの行動を見ているだけだった。


「ディベートとは言っても別に討論するばかりではない。全校生徒が参政権を持っている。そして、モブの諸君にはこれをさずけよう」


というと神宮寺は銃のようなものを多くの生徒に手渡した。


「それはペキュラーと同等に戦える抗議砲だ。それを使ってペキュラーを叩き潰せ! マジョリティの恐ろしさを教えてやれ」


俺たちペキュラーとモブの人数比は入学当初ほぼ同数だった。だが、降谷の一件もありいつのまにか俺たちがマイノリティのような風潮となってしまった。

 銃は自分たちの正しさを証明するための拡声器でしかない。誰かに向ける銃口は誰かを傷つけるただの嫌味や口げんかにすぎないというのに彼らは楽しみを持って俺たちにちゅうちょなく打ち付ける。


「ちょっと冷静に考えられないのか!!」


「ペキュラーはいらない! 俺たちが学園の主役なんだ! 能力者はすっこんでろ!」


「そうだ! SSSは俺たちのなしえないことを与えてくれる、それの何が悪いんだ!」


「自分の個性を捨ててまで、理解しないまま力を勝手にもらおうとしてるだけだろ!」


「お前が言うなよ」


そこにいたのは廉だった。銃口をこちらに向けている。彼もまた、モブとしての自覚があるのかわからないが俺を執拗にけしかける。


「どうしたんだよ、れんれん」


「そうだよ、れんちー! うちら仲間でしょ?」


「勝手にそう思われてしんどかった」


「れん、お前......!!」


こいつの中の腐れ魂が俺たちに牙を向けたのか? それともこいつにも何か意地があるのか?


「おい、お前! さっさとそのペキュラーやっちまえ! 俺たちの敵を倒せ!」


「できねえなら俺がやってやるぜ! ヒャッハー!!」


一人の生徒が天使に向けて銃を突きつけると逆に廉が銃弾を解き放った。


「“お前”じゃねえよ。むらじ れんっていう名前があるんだよ。それに、言い忘れてたが勝手に仲間みたいにされたのはしんどかった。でも、今はこいつらといるのが楽しいと思ってる。だから、俺もこいつのように自分の個性を見つけたい。それが対等な友達だろ、信男」



「初めて名前言ったな? ツンデレめ~」


「うるさい! ここは分が悪い。みんなと合流して作戦を立てよう」


「ちょっとれんちーカッコよぎじゃね?」


「おい!! 主役は俺なんだからちゃんと立てろよ!?」


「私も、みんなに負けない自分らしさを見つける! だって収容番号つけられたら個性無くなるじゃん!」


きらり、廉、天使と行動を共にして途中礼と合流でき、5人で陣形をくんでモブたちの応酬に立ち向かった。


「信男さん、私と会うのサラッとしすぎてませんか?」


「ごめん、急いでたから」


「また、友達なくしたいんですか?」


「いや、そんなことは……」


言いかけると礼の凍てつくような蔑む目つきをしていた。驚くと急に冷刀を持ちこちらを見つめていたのでぶっ殺されるかと思ったが、家庭科室に大量に沸いていたモブたちに対しての眼差しだった。



「みなさん、どいてください。 居合:我流天晴がりゅうてんせい!!」


多くの生徒たちが薙ぎ払われて入れるようになった家庭科室に籠城することを提案すると全員がうなずき、入っていった。するとそこには亜莉須先輩と木村裕也、そして羽生時雄が一緒に立っていた。


「はにゅううううううううううううううううう!!」


なぜそうなっているのかは容易に想像がつ居いた。羽生が木村裕也を誘ったのだ。あいつが俺の個性が欲しいがために。この土壇場に紛れてこいつは自分の事しか考えてない奴なんだと心底震えた。




乱闘ディベート編へ突入!! 物語も混戦を極めるぞ!

次回、「木村VS亜莉須。因縁の決着」

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