57:疾風のごとし!? 佐伯もも見参!
さて、2回戦だ!!
つかの間の休息はおわり、グランファイトは二回戦へと持ち込まれた。二回戦の初戦は俺と佐伯ももという輩だ。どんな奴かはわからないが可愛い女の子だと良いんだが…
『二回戦は速攻で小津虹郎をリングから引きずり下ろした俊足の女神佐伯もも!! 対するは期待の番狂わせ(ダークホース)如月信男!今回も魅力で女性をサレンダーさせてしまうのか!? 期待が高まります』
彼女はショートヘアのだが亜莉須先輩のようなふんわりとしたイメージの顔立ちだ。それに睨まれると可愛げしか感じない。
『それではみなさんご一緒に、グラン、レディ・ファイトーーーーーーーーーー!!!』
俺は彼女を見つめて一気に終わらせようとしたが、そこに彼女はいなかった。周りを見渡しても見当たらなかった。上を見上げると二本の剣を持った佐伯がとびかかろうとしていた。俺はマジックステッキを現出させてシールドを張った。
「ラブリーシールド!! は、速い!」
「防戦一方とは芸がないで? 先輩」
いやん、方言女子かよ。ここにきてそういうキャラが現れたとは俺も楽しいぞ! しかし、相手の個性を幹わなければこの勝負、くっ
「しかも、剣撃が強い! 二刀流とは今までにないタイプだ」
「それはありがとうね。やけど、【せっかち】のももちゃんとはボクのことや。一瞬で終わらせる! 破璃剣法:瑠璃竜巻!!」
両腕を伸ばし、まるで自分をベイゴマのように回転させていた。トンデモねえ!俺はシールドを張るもその勢いにやられ、少し吹っ飛んでしまった。ここでやられては王の名が廃る!
「ラヴ・マシーン! 俺を彼女の方へ飛ばせ!! 」
急遽ラヴ・マシーンを現出させて場外に行きそうになった体をもとに戻し、彼女の方に魔法をかけた。
「ラブリー・ロイヤルフローラル・ハリケーン!!」
「遅いで! もっとチャキチャキせなボクには追い付けんで?」
「それならラブリー・ロイヤルフローラル・ハリケーン/ラブ・クレッシェンド!!」
避け続ける佐伯に俺は立て続けに魔法を唱えた。よけても避けてもその魔法弾は彼女を追いかけ続ける。そしていずれぶち当たる。その大いなる尊さと恋の春風にまみれるがいい!!
「ぐっ!! 中々やるな! でも負けへん! ボクはお前みたいな変態には絆されんぞ!」
佐伯の速さが増し、リングを縦横無尽に行き来して分身したかのように見えると一瞬で姿を消した。そしてフッと笑いが見えた途端に俺は彼女の気配を感じた。俺は一つ目の刃は防ぐことができたが二つ目が振り下ろされる事に気づけずに倒れてしまった。
『おぉっと如月選手! 地面に倒れてしまった! 5カウント以内に立たないと失格となってしまいます!今のところ立ち上がる気配なし! カウントを開始します! 1!』
「マスター!!」
「モブッチ!」
『2!』
俺は、負けたくない。けど、体が言うことを聞いてくれない。立て! 俺!立て!
『3!』
「立て! モブ男! お前の夢はここで終わりじゃないだろ!!」
「そうだよ! のぶくんはここで決して諦めない! よね?」
「師匠の諦めの悪さは俺も知っているつもりです! ここで立たなければ俺は幻滅しますからね!」
『4』
俺は膝をゆっくりとあげ彼女たちの応援を聞き、手を支えにして立ち上がろうとした。相当ダメージが蓄積されているのか体が重い。十八番の幻術で彼女を惑わすこともできそうにない。でも、俺はそんなこと以上に高みに行きたい! 強くなりたい、大きく成長したい。そして父さんに...
「信男君、君が頑張り屋さんだってことは私が一番知ってるよぉ! きらりちゃんも! 応援して」
「モブッチ! うちはモブッチのことは信頼してるから頑張れは言わないからね!! 自分の力で立って!」
「ダーリン! 優勝したらお姉さんがいいことしてあげる。だから、立って!」
「「立てぇ! 信男先輩!!」」
皆の声が力になる。俺の体から底知れぬ力が湧いて出てくる!!
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
立ち上がった瞬間、覇気が満ち、そこにいた女性のほとんどが気絶して倒れてしまった。だが、佐伯だけは立ち上がっていた。俺は今までにない力を振り絞り、現出魔を呼び出した。呼び出されたラヴ・マシーンはいつになく人間味を帯びた姿をしていたという。俺はそれと一体化したような感触がした後、彼女の速さに追いつくことができた。
「にゃ? なにぃ? ボクの速さに追いついただと??」
「これが君の観ている景色か。とてもいい景色かもしれない。でも、一度くらいは立ち止まってゆっくり見つめるということをしたらどうだ?先輩からのアドバイスだ」
そして、俺は両手を大きく広げてラヴ・マシーンと共に技を繰り広げた。
「ラブリー・ロイヤルフローラル・ハリケーン/スラッシュ!! オゥラッ!恋はいつでもハリケーンなんだよ!!」
「うわぁああああああああああ! でも嫌いじゃないかもぉ」
すでに佐伯は戦闘不能になり、場外に追いやられていた。俺の勝利は確信した。
「お大事に!!」
『き、決まったぁ! 如月信男選手、準々決勝進出となります! やはり番狂わせの如月信男。最後の最後で大逆転を見せました。2回戦初戦から熱い戦いとなっています。続いての2回戦2試合目を執り行います。準備して下さい。』
俺はすぐに佐伯の方へと向かった。手芸部のみんなもこぞって俺の後ろに着いた。
「痛てて、やぁ、速かったなぁ自分。さすがハーレム王とか言われてるやっちゃ」
「そんなことないよ。君も十分早かった。早すぎるくらいだよ。」
「せや! そんなに早かったらボクをお嫁さんにしてぇな! 決断は早い方がええ! ボクはボクより早い人を旦那さんに迎えたいんや! な?ええやろ? パイセン」
「い、いやぁ、お嫁さんはちょいと早すぎじゃないか?」
「「「「そうよ(です)!」」」
後ろにいたあやたちがみな顔を赤らめつつ眉をひそめて彼女の天真爛漫な発言に苦言を呈した。俺はこういう子好きだけどな...いやはやモテるってつらいよな。ハハハ
怒りながらもきらりは佐伯に釘を打ちつつ次戦に備えてみんなを後にしたのだった。
次回はきらり戦!
負けないで!ここで勝ったら信男がきっとデートをしてくれるはず!負けヒロインじゃないよ
次回「きらり、ここに散る!?」
グランファイト、スタンバイ!




