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52:篤井修 炎のレッスン

今日は謎回...。俺はどうしてこんなものを書こうと思ったのだろう。しかし、筆は止まらなかった。

 今年の体育祭は6月だということで5月から体育会系の連中は張り切って筋トレに励んでいる。もちろん俺も今年のP-1グランプリに出場するつもりだ。もちろん、優勝狙いだ!お昼休みに中庭でお昼を食べていると礼ときらりが注目を浴びながらこちらに向かっている。一年生たちは彼女たちに熱視線を浴びせている。


「あの二人が去年の優勝者かぁ。すごそうだな」


「きっとすごい強いのよ」


「あの人たちにつるんでるあの男の人はなんだ?」



彼女たちは視線をよけながら俺に話しかけてきた。


「なにかいずらいですね...。」


「すげえ見られてんじゃん。ねえモブッチ、ちょっと別のところで食べよ」


「分かった」


俺は彼女たちへの興味をまじまじと見せつけられたのでますますあの大会で優勝したくなった。俺たちは弁当を持って家庭科室へ向かうことにした。


「はぁ...。あの大会ってすごいのねぇ...」


「それだけ、関心があるのでしょう。本校ならではの行事ですから」


「他のところは?」


「危ないからってやってないそうですよ。...ところで、マスターは何を考えてるんですか?」


「分かった。グランプリで優勝して注目を浴びたいんしょ?」


「あ、バレた?」


「下心が見え見えです。私たちどれだけ一緒にいると思ってるんですか?」


「ていうか、最近全然構ってくんないじゃん!」


「ごめんって!! こうやって3人で話すのも難しいくらい多くなったし」


彼女たちの言う通り、俺のハーレムは俺個人の対応力にかかっている。お抱えとはいえ、ずっと放置していれば俺の魅力の効果が消えてしまう可能性だってある。そのあたりは心していきたい。俺たちが談笑していると大きな音を立てて小津がドアを開けた。


「小津!! なにやってんだ!!」


「さーせん、師匠。で、でもこの人がアツくて...。」


そういうと、彼は倒れてしまった。その後ろには熱く燃えあがる一人の男がいた。


「やぁ、君たち! ちゃんとトレーニングしてるかな?」


「篤井さん...。」


「篤井? ああ! 去年も体育祭の時に現れた熱血野郎!」


篤井あつい おさむ...去年の体育祭の前日に礼を追いかけまわして、挙句には俺ともバトルする羽目になった変な奴だ。そいつは去年と同じ勢いでやってきた


「久しぶり。如月信男君!! 去年は負けてしまったけど今年は絶対に負けない! それに今年はボクもP-1グランプリに出場することにしたんだ。君とは最善の状態で戦いたい。もちろん女王の二人にも!そこで、ボクが考案した特訓を受けてみないか?」


「うち、パス」


「右に同じです」


「俺もめんどくさそうだからやだ」


「なぜ!! 弟子の前で恥ずかしくないのかね!?」


「そいつは弟子じゃない」


「ええ!? ちょっと師匠??」


篤井は昼休みからクラスに戻るまで僕たちを勧誘し続けたが断った。他の手芸部のみんなにも言っていたらしく、申し訳なさと恥ずかしさがあってつらかった。俺も執拗に追いかけられ回された。靴箱の中の手紙、ストーカーのように電柱をまたいで特訓とささやきいれる。次の日になってもなぜか俺、きらり、そして礼の三人にだけ執拗に懇願してきた。とうとう俺たちは折れた。


「わかった、分かったよ。受けるよ」


「...今回は私たちの負けのようです」


「熱意には負けるっしょ...。 でもあと一週間くらいあるよ?」


「大丈夫! メニューは考えてある!! 一週間で腹筋バッキバキだ!」


それを聞いてちょっと気になったきらりが目を輝かせた


「まぢ!? ちょっと腹筋女子に憧れあるんだよね!! やろやろ!」


「ええ? 私はもう十分ですよ。筋肉は剣道や居合でついてますし…。これ以上女性らしくならないのは...」



「ま、ひんにゅうだからね。じゃあ、うちとモブッチのあつーいストレッチでも見とけば?」

「やります。あなただけには独占されたくありませんから。それにグランプリの後じゃんけんで勝ってデートできたのは私でしたし、今回も私がマスターとデートします」


「なんだとこら!?」


いつも仲良くじゃれあう彼女たちはいつになく白熱しているようだ。小津は置いてけぼりになりつつ、帰ろうとしていた。すると篤井は彼をガシッと掴み、圧を掛けた


「君は信男君の弟子ということで強制参加です!! 一緒に頑張りましょう!」


「ええええええ!? 俺だけとばっちり!? はぁ、あの人の周りってすげー人だらけで疲れそう...」


そして、篤井修の熱いレッスンが放課後に行われた。不参加を決め込んでいたメンバーも見学しながらヤジを飛ばしていた。篤井は謎のエクササイズを俺たちに教え始めた。


「右腕を反対に伸ばしてひねりを加える! まずは柔軟な体を手に入れるのです! 体感こそ筋力を呼び起こすのです!! それワン、ツー! ワン、ツー!」


「もっともっと!! 腹筋は耐え忍ぶこと! 回数をこなすことじゃあありません! そこ!! 休まない! 美ボディは自らの手で勝ち取るもの!だからこそ、勝ち誇って見せるものなんです!」


「走り込みも重要ですが、肉体改造には一にプロテイン、二にプロテイン! さあ、グイッと飲みなさい!」


俺たちへの指導は夕方まで続いた。そして教え込み終わった後、俺たちにメニュー表を渡した。


「ボクが教えるのはこれが最初で最後。後は継続あるのみ! 後はみんなのやる気次第だ。ボクもこれの倍頑張るから!!」


「はい! おさむっち!ううん、修先生! うち、これでダイエットしてもっとエッチな水着着る!」


「私は...食べることから始めます...」


「うう、きんにくつー...」


篤井は最後に俺を呼びつけた。


「如月君、君はとても男らしくなったね。それも友達も多くなった」


「多いことは問題じゃないよ。なあ、篤井。P-1では容赦するなよ?」


「当たり前さ。 君のような男と戦えることをボクの筋肉は喜んでいる!」


夕焼けのクロスタッチ(お互いの腕をくっつけること)は友情を高め、それぞれの想いを胸に体育祭へと挑むのであった。



次回...は体育祭へと向かいます。


次回「仕組まれたグランファイト」

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