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46:やっぱり 部員を増やそう

榊 皐月のおかげでだいぶスロースタートとなってしまった如月信男。

2年生になっても受難は続く!!

榊 皐月事件から一週間4月も中盤に差し掛かるころ、如月信男は少し焦っていた。


「ああああああ!! なにもしてねえ!! 青春してねえなぁあ!」


「女の子に膝枕されて耳かきさせてるやつが言うことか?」


きらりに膝枕されて耳かきされて気持ちよくなりながらぶつくさと不満を言う如月にドン引きする廉は汚物を見るような目で蔑んでいた。


「羨ましいの? じゃあ、天使ちゃんがやってあげようか?」


「い、いや、大丈夫だ。それより、部員を増やす予定はないのか? あの黒服集団が襲ってくるかもしれんぞ」


「そんなの関係ないない! 俺らのハーレムを阻害しない限り、ほっときゃいいのよ」


「でもさぁ、モブッチ。 新たな出会いもありなんじゃね? うち、後輩欲しいし」


「それは部長としても賛成かなぁ」


きらりの意外な発言に手芸部発展を望む亜莉須先輩が同意していた。だが、麗美と礼は少し懸念していた。


「部員が増えるということは同時にライバルが増えるということですよ? それでいいのでしょうか」


「要は甘えられる時間が減っちゃうってことでしょ? あやちゃん、もしかして怖いの?」


「私は、マスターへの想いで幻装を会得しましたけど? 」


「なに? マウント?」


「へぇえ...貧乳のくせにイキってるじゃん。れみパイセン、この子シメる?」


麗美のあおりにきらりが加勢し、共に礼をにらみつける結果となってしまったが、ここは如月信男が男らしく介入し、制裁した。だが、問題は部員の増強だ。にらみを利かせている顧問の西京にも部活である照明をするためにも部員は必要だ。それに、きらりの言う通り、新しい出会いというのも悪くない。と考えを巡らせていたところ、部室のドアが急に開かれた。


「頼もおぉおおおお!」


一斉に扉をみる信男たちが見たのはひとりの初々しい男子だった。男子は彼女たちを見るなり、少し顔を赤らめていた。挨拶を最小限に済ませ、まっすぐに信男の元に向かった。


「信男先輩! いや、師匠!! あなたのうわさは、入学時からかねがね聞いておりまして......。えーと、恥を忍んで頼みます! 俺を弟子にしてください!」


「おいおいおい! で、弟子だって? しかも噂までもう広がってるのか? ハーレム王の?」



「はい! 学園随一のハーレム王になられるお方だと!」


「ほーん、で?」


「はい! 一年男子の噂を聞いた俺は、チャンスだと思ったんです。彼女が欲しくて高校デビューしたのに連戦連敗......。だから、この不肖 小津おず 虹郎にじろうを弟子にしてください!」



「ふーん、だめだね」


「ありが、え!!?? なんでっすか?」


「俺は、この娘たちと青春するので精一杯なんだ。他を当たりな、青二才」


小津はがっかりしつつもまだあきらめなかった。


「僕は諦めませんよ。 諦めだけは悪いのがとりえなんでね。こうなれば秘策を!」


信男はまさかと思ったが、そのまさか、彼はなんと個性能力者ペキュラーだったのだ。信男の前で現出を始めた。彼の現出は何か、もしかしたらあの黒服の刺客かとも少し警戒しつつ様子を見ていた。


「<現出 心激棒>! ハァッ!!」


雄々しい掛け声とともにマレット【打楽器に使うバチ】のようなものを信男めがけて叩き始めた。


「あふれかえる魅力! 男の憧れ! 如月信男先輩に、少しでも近づけるように努力しますよ!!」


「お、おう。そうか? 俺やっぱ、魅力出っちゃってるか?」


「ええ! 油田のように!」


「そういわれちゃあ、悪い気がしねえなぁ!?」


信男の機嫌が小津の個性によってどんどんとよくなり、彼に対する不安感もそがれていった。天使たちは呆れ笑いで見守っていた。信男は彼の肩をポンっと叩き、目を輝かせながら話し始めた。


「お前! いい個性持ってんじゃねえか! 相手の機嫌を損ねず褒めまくる。<太鼓持ち>っていうやつか?」


「まぁ、そんな感じっすね。で? 弟子にしてくれます?」


「それは、保留だ。 まずは部員となって修行だな。後は一緒に部員集めを手伝え!」


「新入生にやらせるの? モブッチ、結構スパルタっしょw 新人くん大丈夫?」


小津はきらりの胸圧に圧倒されながらも勢いよく答えた。


「だだだだだだ、大丈夫でしゅ!!」


赤らめながらも信男をエスコートしながら歩き出す小津。彼は信男だけを連れ、一年生の校舎へと向かったのであった。

祝え! 新入部員の誕生である!


次回「小津虹郎は如月信男の弟子である!?」

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