表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/117

38:如月信男の誕生日 前編

さて一年生編最終回前編(情報過多)です!

舞台は大イベント如月信男の誕生日編!!

みんな! いままで応援ありがとう!

これからもよろしくぅ!

 もう12月だなんて驚きだろうが季節は確実に冬である。さて、如月信男はハーレム王の誓いを立て、その後もなんの起伏もなく人生を謳歌している。だが、ここ数日の違和感に気づき始めていたのだった。手芸部のメンバーがよそよそしいのだ。みんなそれぞれに声をかけても変に距離が遠く感じる。あのれんれんでさえも言葉使いがおかしい。


「どうしたんだれんれん、何かあったのか?」


「なにもないでございますよ。そうだ、さいきん俺もマジック&ドラゴンズのパック買ってみましたぜ」


「お、おう。なんで変な敬語? ま、いいけど。で、何組もうとしてんの?」


「ドラゴンナイト。蒼炎ブルーフレア竜騎士ドラゴンナイトいいよな」


「ああ、まあドラゴンナイト系は魔法カード消費しにくいからライフを維持して高火力出せるらしいからね。でも俺はダークストーンマジシャンをエースにしたいからなぁ」



たわいもない趣味の話に花を咲かせる信男たちだったが、どことなく変な緊張感があった。あみやきらりにもたわいない話をするもやはりどこかぎこちない。放課後、珍しく活動を休み、一人帰る信男は一人ぶつぶつと文句を垂れていた。


「みんななんか知らないけどどこかよそよそしいんだよなぁ。また俺知らないところで何かしてんのかなぁ......。明日、全員呼び出して真相を聞いてやろ。はぁ、久しぶりにマイファーストストーリーでもしようかぁ。セクション3からパラレルワールドを行き来して謎といてくの難しいんだよなぁ」


すると突然いかにもなやくざな3人組が現れた。一人は時代錯誤なリーゼントともう一人はこれまた時代錯誤なモヒカン野郎だった。だが彼らの真ん中にいるのは普通の人間だ。黒髪でサラサラの短髪。


「星矢さん、こいつガン飛ばしてきやしたぜぇ!? どうするよ、大也」


モヒカンは真ん中を星矢と呼び、リーゼントを大也と呼んでいた。すると大也が一歩前へ出て


「あぁん!? まじかよ澗汰。そらぁ罰金もんだなぁ!?」


「バッキン門? そりゃどんな門だ?」


「あほか。大也、こいつに礼儀というのを分からせてやれ」


星矢は大也に指示して信男へ向かってきた。大也は普通のバットをどこからともなく取り出し、思いっきり振りかざした。それを見た信男は驚きながらマジックステッキを現出させた。


「なんだ? こいつもペキュラーか? にしても普通の武器だな。おらぁ!」



「うわぁ、こいつ能力者だぁ! モブの俺らに能力使ってきましたぜ! バットも折れてやがる!」


 大也は大げさに倒れこみ、星矢にすがりついていた。信男はますますよくわからなかった。こいつがペキュラーでないならどこからバットが出てきたのかと…考えても意味もなく、信男はただ早く帰りたいので一気に三人まとめて魅力の餌食にしてやろうとしていたがいつのまにかモヒ澗汰がいない。後ろを向くとチェーンソーを持ってハイになったような顔でこちらに襲い掛かる。


「こいつが武器を他のヤツに提供していたのか! しかたねえ、ラブリー・ロイヤルフローラル・ハリケーン!」


モヒ澗汰は魔法の勢いに乗ってどこかへと消えていった。残りの二人を探してみたが、もうそこには誰にもいなかった。ただそこには一枚の紙きれが落ちていた。そこには走り書きで


【近いうちに遭えるだろう。モブ代表 比古ひこ 星矢せいや


「なんだこいつ、変な奴......」


そう吐き捨てて紙きれをクシャクシャにしてポケットに入れて家路についた。帰ると母が夕飯の支度をしていた。妹の葵がポテトチップスを貪り食いながらテレビを見ていた。母は妹に太るからやめなさいとくぎを刺すもおいしいからやめられないと言い張ってやめなかった。俺はそれを横目にして


「葵、最近太ったんじゃないか?」


少し冷ややかな目で言うと彼女はすぐさま袋を洗濯ばさみで閉じて部屋にそそくさと戻っていった。


「ありがとね、のぶちゃん♪」


「昔の呼び方はよしてくれよ。ていうか、なにか手伝うことない?」


「いいわよ。またニンジン分厚く切ったり、指切られても困るから。学生は部屋で勉強してなさい」


 母親に流されて信男は沈んだ表情で二階にあがって自室の扉を開いた。すると、窓が全開になっていることに気づいた。そして学習机に寄り掛かる自分の父親の姿が見えた。信男は声を発しようとするが彼は口を指で押さえた。周りを見渡して心之介は小声で話し始めた。


「どうやら、現出魔をうまく使えているようだな」


「おかげさまで......」


「少し話さないか?」


「あんたに話すことはない。母さんが取り乱す前に帰れ」


「今週はお前の誕生日だろ? だから来てやった言うのに。冷たいなぁ、うちの息子は」


「忙しくて忘れてた。そうか、俺の誕生日......。あんたは一度も顔をみせなかったがな」


「俺は研究で忙しかったんだぜ? それに今日は早めにプレゼントを用意してある」


「へぇ、どんな?」


「ペキュラーにまつわる情報だ。ペキュラーの能力はある機関によって研究されている。それがSSSスリーエス機関。機関の情報によるとある実験体が逃走し、その能力が暴走して今の世の中になったらしい」


「なんでその機関を知ってるんだ。それに能力が暴走って...?」


「それは機密事項、男のミステリアスさ。暴走した個性はいにしえの個性を持つものの遺伝子を注入し、<ソウゾウ>という人工的な個性によって生まれたものだそうだ」


「で? 情報ってのはその個性を生み出した人間の話だけか?」


「いや、本題はその研究の先に見つけたものだ。お前にとってもいい情報だ。ま、お前はすでに体験したが個性というものは自己成長することができる。そして、最近分かったものは現出装の個性ではより強くなると【幻装】というものになる。現出魔を使用しているお前には会得できないが、お前の取り巻きはより魅力的になるかもな。もしくはそれを体得した刺客が現れるかもな。お前の夢は俺と同じように嫌われやすいからな......」


「さっさと帰れ! クソ親父!」


信男が怒り狂って大声を出すと心之介は逃げるように窓から抜け出した。大声を聞いた母はびっくりした表情でドアを開けた。


「今、お父さん......いたの?」


「うん、でも追い返しちゃった。ごめん」


「ううん、いいのよ。きっとあの人もあなたの誕生日を祝いたかったのかしらね? そういえば、友達は誘ってないの? 今週の土曜でしょ? さっさと誘わないと青春できないぞ♪」


「ああ、うん」


生返事をして今日は俺の大好きは母お手製ハンバーグを平らげた。ご飯も久しぶりにおかわりもした。そしてめっちゃ寝た。そしていつも通り朝を迎えた。水曜日。今日も家の前には天使がいる。いつも通りの登校。しれっと聞いてみた。


「あのさ、今週の土曜日ってアイテル?」


「ん!? あー土曜日ね! そういえばすごい大事な用事がアッタナー」


「まあ、大事な用っつうならしかたないけど......」


途中でれんれんと合流して彼にも話を聞くとなんと毎日暇人な彼でさえ予定があるという。何ということだ。そう思った信男は片っ端から手芸部のメンバーに声を掛けた。結果は惨敗。信男は気を落とし、金曜日になってしまった。しかもだれも家庭科室に来ていない。一方的に休みにされたのだ。家に変えると親もなぜか挙動がおかしい。母も右手と右足が一緒に出ていて変だ。


「あ、そうだ。私と葵で今から少し出るけどかまわない?」


「こんな遅くに? 何しに行くんだよ」


「明日、ライブなんですよ。トウキョウで。ですので、今からでないとなんです」


「ここトウキョウですよ。 もしや、徹夜組か? ていうか、明日俺の誕生日じゃねえか!」


「お友達は?」


「誘ったけど、全員なぜか予定がありやがるとよ!! 今年は孤独なバースデイになりそうだぜ!!」


「あ、ふーん」


「おい......。葵も母さんもおかしいぞ?」


「「いってきまー」」


「えぇ......」


彼女たちはその言葉を最後に行方不明になってしまうことはここでの信男にはまだ知る由もなかった。

次回は一年生編最終回! 最後は温かく終わりましょう!

次回!『大勝利!…あ、これ違う奴だわ。

 次回『如月信男の誕生日 後編』 次回もぜってぇみてくれよな!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ